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【J1:第14節 名古屋 vs 千葉】レポート:名古屋はリーグ再開初戦のホームで痛い敗戦。サポーターからのブーイングに応えるために、再び闘争心に火を点けろ!(09.06.21)

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6月20日(土) 2009 J1リーグ戦 第14節
名古屋 0 - 1 千葉 (15:35/瑞穂陸/12,457人)
得点者:81' 深井正樹(千葉)
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約1ヵ月ぶりの実戦となった名古屋が迎え撃つのは、2週間前までナビスコカップを戦っていた千葉。対照的なリーグ中断期を送ったチームによるリーグ再開初戦は、メンタル面が勝敗を大きく分けることになった。

小川佳純とマギヌンらサイドハーフの主力を欠く名古屋は、FWの杉本恵太と津田知宏を代役に起用。ツートップにはダヴィと巻佑樹を並べ、4名のFWが前線を構成する攻撃的な布陣で再開初戦に臨んできた。狙いは巻佑樹の空中戦からサイドへの展開。攻撃時には4−2−4にも見えるほどに前がかりの姿勢を見せてきた。

一方の千葉はキックオフ直前にスタメンを変更するアクシデントに見舞われた。ウォーミングアップ中にヒザの状態を悪化させたMFアレックスが出場を取りやめ、急遽FWの新居辰基をスタメン起用。4−3−3と予想されていた布陣も新居と巻誠一郎のツートップとなる4−4−2に変更せざるをえず、「試合前のロッカーはバタバタした」(深井正樹)混乱の中でキックオフの笛を聴く羽目になった。

試合前のアクシデントを思えば、状況としては名古屋が有利。しかし前半はアレックスミラー監督の言葉通り「イーブンなゲーム」となった。開始直後こそ攻勢に出た名古屋だったが、次第にペースダウン。プレーに運動量と連動性を欠き、攻守ともに組織だったプレーができない。千葉もイージーミスが目立ったが、サイドハーフの深井と谷澤達也が効果的にボールを受け、得意のドリブルで名古屋DFを翻弄。自らの突破だけでなく、まわりを生かしたプレーでチャンスを演出した。22分には新居が、32分にはCKからボスナーが決定機を迎えたが先制はならず。前半の半ばからは、盛り返し始めた名古屋と一進一退の攻防となった。名古屋は27分と34分にダヴィがチャンスを得たが、ゴールは挙げられず。それぞれ8本ずつのシュートを放った前半は結局スコアレスに終わり、勝負は後半へと持ち越された。

後半は開始早々に千葉が深井の突破から巻誠が惜しいボレーシュートを放ったが、名古屋も11分、12分と杉本が快足を飛ばしてチャンスを演出し、譲らない。だが、またも名古屋はかみ合わないプレーでリズムを崩し、主導権を握ることができなかった。単純なつなぎのパスでもミスを犯す選手たちを見て、たまらずストイコビッチ監督は温存していた玉田圭司を投入。その直後にはファウルの目立つ吉村圭司を山口慶に代えるなどして中盤の活性化を図る。玉田はサイドハーフとして積極的にパスを受け、30分の出場時間で3本のシュートを放つなど奮闘したが、先制点を生みだすことはできなかった。

勝敗の分かれ目となったのは後半31分。千葉は新居に代えて司令塔タイプのミシェウを投入し、彼をトップ下に置く4−3−3へと布陣を変更したことだった。アウェイながら攻撃への意識を強める積極策は、わずか5分後に最高の成果を挙げる。サイドに流れた巻誠一郎から中央でボールを受けたミシェウは、すかさずゴール前にスルーパスを送る。反応したのは、巻誠一郎と入れ替わりに中央に動いていた深井だった。161cmの小兵は191cmの増川隆洋と187cmの吉田麻也の間をすり抜け、ワントラップで冷静にゴール左隅へ流し込む。これが千葉にとって値千金の決勝ゴールとなった。

全体的に見て両者ミスの多いゲームだったが、アクシデントにも負けないメンタルを持ち、チームとしてのまとまりを失わなかった千葉に軍配は上がった。自分たちでリズムを崩した名古屋は自滅と言えるだろう。これで名古屋はリーグ戦では連敗の4戦勝ちなし。好守に覇気のない敗戦に、ゴール裏のサポーターからはついにブーイングが巻き起こった。
試合後の会見では「情熱を失っているのか」という質問に対し、指揮官は「精神面で問題が起きている」と認め、「今は批判されるべき時期なのだと思っている」と続けた。ストイコビッチ監督が指揮する名古屋の特徴は、ハードワークを基本とする好守にアグレッシブなサッカーだ。ハードワークを支えるのは、体力はもちろん走ろうとする「気持ち」が一番重要になる。現役時代に闘将と呼ばれた指揮官の、モチベーターとしての能力が試される。そして主将の楢崎正剛は「次は切り替えて臨みます」とコメントした。この敗戦は戦う気持ちのスイッチを再びオンにするための起爆剤としなければならない。愛ゆえのブーイングを送ったサポーターのためにも、美しく激しい名古屋のサッカーを1日も早く取り戻してほしいものだ。

以上

2009.06.21 Reported by 今井雄一朗
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