6月20日(土) 2009 J2リーグ戦 第22節
徳島 2 - 0 横浜FC (18:34/鳴門大塚/4,896人)
得点者:18' 柿谷曜一朗(徳島)、29' 羽地登志晃(徳島)
スカパー!再放送 Ch181 6/22(月)17:30〜(解説:逢坂利夫、実況:高松良誠、リポーター:藤原美佳)
☆勝敗予想ゲーム
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この一戦のプレビューで徳島にとっての必要ポイントとして挙げた『選手同士の距離感』。前々節、前節の特に前半はそれが良くなくセカンドボールを相手に握られ後手を踏んだだけに、今節のチームにはその確かな改善が求められたが、結果から言えば徳島は修正してきたと言えるだろう。事実、勝負を決めた2点はともに距離感の良さが実を結んだもので、さらにそれらは課題とされた前半に奪ったものであった。
しかし試合を振り返れば、立ち上がり先にリズムを出したのは横浜FC。出場停止から戻ってきた左サイドの片山奨典が活発な動きでチャンスを作れば、積極的に前へ進出した田中輝和が際どいシュートを放つなど選手たちは気迫を全面に出したプレーを披露。前節の勝利を巻き返しの勢いへ繋げたいという気持ちをピッチ上で体現していたと言えよう。
だが、序盤で相手に傾きかけたその嫌な流れを徳島の新しい力が一瞬にして変えてしまう。その新しい力とは、わずか3日前にC大阪から移籍してきたばかりの柿谷曜一朗─。
彼の今節での起用については様々な憶測がされたが、「起用するか否かで僕の中でも迷いましたが、紅白戦で見たときに全く問題なくすぐにでも使えるなというイメージが出来た。また無難にサブとかに入れて使っていくよりも、積極的に使っていこうとするチームの意思を周りの選手も感じてくれた」と美濃部直彦監督はスタメン起用を決断。自信を持って送り出すと、その指揮官の信頼に応えるように柿谷はいきなり結果を出したのだ。18分、ペナルティエリアやや右外側で羽地登志晃がマーカーともつれ合いながら背後へ落とすとそのボールへいち早く反応。ワンタッチ目を頭で縦へ持ち出し、角度のないところからも鮮やかなシュートでネットを揺らした。
ただここで忘れてならないのは、高い技術と決定力もさることながら、柿谷が取っていたポジショニング。羽地のプレーに対してしっかりフォローできるいい距離へ入り込んでいたということだ。今節徳島に求められた部分をこのニューカマーがいきなり率先してやって見せたと言っていいだろう。
さらにこの先制点を機に効果的な距離感の保て始めた徳島はそこからセカンドボールの支配を強めていく。百戦錬磨の経験を活かす倉貫一毅と献身的に運動量を増やす青山隼のボランチ2人を中心に繰り返しこぼれ球を拾っていった。すると29分、チームはもう一度それを結実させる。再び羽地にくさびが入ると見るや今度は石田が巧くフォローに入ってセカンドボールを奪取。そのまま右サイドを単独で持ち上がり余裕を持って折り返すと、タイミングを計って走り込んだ羽地がドンピシャのヘディングを叩き込んだ。時間帯的にも畳み掛ける2点目。しかもやるべきことを実践した挙げた2つ目の成果という意味でもこの追加点は大きいものだったように思われる。
とはいえ、後半になると徳島はそれがやや崩れ始めた。それによってスペースでボールを拾われ試合の主導権を横浜FCに引き寄せられると、後半途中に投入された須藤右介を起点とする攻めにたびたび危ないシーンを作られていった。その点については藤田泰成も「後半はプレスがちょっと甘くなり、はまってないというか前から行けてなかったような感じもありました」と振り返ったが、次の徳島の課題としてはいい距離感が保てなくなってきた時間にどうするかだろう。チームはその課題に向かい合いもう一段のステップアップを目指さなくてはならない。
対して横浜FCだが、「前節より自分たちを表現できた」と樋口靖洋監督が語ったように決して内容は悪くなかった。特に後半は後方の選手がボールをどんどん追い越す積極性を発揮。前線の難波宏明や池元友樹も再三ボールを引き出して起点となっていた。それだけに最後の仕上げで工夫と精度が足りなかったのは悔やまれる部分。中3日ですぐにやってくる次節・札幌戦ではそれをどこまで解決出来るかがカギとなろう。
さて話を徳島に戻すが、今節の勝利でチームは第2クール負けなしを継続。勝点の積み上げペースを大きく高めている。加えて柿谷という期待の戦力の融合度も今節の実戦で一気にアップしたのは間違いないだろう。
これからさらなる上位4チーム追撃へ。過去の汚名を返上した徳島が楽しみでならない。
以上
2009.06.21 Reported by 松下英樹
J’s GOALニュース
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