子ども達から次々と質問が飛んできた。
「選手は、まだ?」
「選手は、どんな車で来るの?」
「リフティング、何回出来るのかな?」
「イケメンはいるの?」
まるでヒーローショーで主役が登場する前のような期待感に溢れていた。お待ちかねの選手(ヒーロー)が到着すると、子ども達の目はより一層輝きを増した。
栃木SCが一昨年から積極的に取り組んでいる地域貢献活動の一環、「ゆめプロジェクト(通称:ゆめP)」に、米山篤志選手、大久保裕樹選手、川上典洋選手、手塚貴子強化育成グループ レディス監督(元なでしこジャパン)が参加。栃木県グリーンスタジアムに近い、宇都宮市立清原北小学校を訪れた。
いじめや自殺、犯罪の低年齢化など多様化する社会問題に対し、クラブとしてどのようなアプローチができるのか。模索した結果、小・中学校を訪問し、スポーツを通じて子ども達の健全な発達に関与・貢献する活動を行うことが「ゆめP」の目的。昨年は17校で講話や実技を行い、給食を一緒に食べるなど多くの子ども達と触れ合った。
木々に囲まれた自然豊かな校庭で、4、5、6年生42人を対象とした「ゆめP」はスタート。ボールを使った準備運動でお互いの距離を縮め、緊張と体を解した後は、選手も参加しての試合がキックオフ。最初は控えめだった女子も男子に負けず劣らずハッスル。大久保選手の華麗なリフティングでのドリブルに拍手が湧く一方で、選手が目を丸くするようなプレーを子供達が時折披露するシーンもあり、試合は大いに盛り上がった。楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうもの。45分では物足りない。そんな子ども達の表情が印象的だった。
「ゆめP」終了後、クラブから選手全員のサイン入りフラッグ、マッチデープログラム(ちなみに表紙は大久保選手)、ホームゲームの招待券がプレゼントされた。お礼に「栃木SCの皆さん、指導してくれてありがとうございました。僕は清原地区のサッカーチームに入って頑張っています。栃木SCも首位に立てるように頑張ってください」と、生徒を代表して挨拶した“サッカー小僧”からエールが贈られた。「ゆめP」の最後には恒例のサイン会。色紙一枚一枚に丁寧にサインを書き、握手をする選手の表情は充実感に満ちていた。余談ながら本稿著者も子ども達のアグレッシブさに負けて人生初のサインを、といっても「スポーツライター・大塚秀毅」と味気なくひねりのない、サインの範疇にも収まらない肩書と名前を書かせてもらった。非常に恥ずかしい。
「子ども達と一緒にサッカーが出来て良かったです。サッカーをもっと好きになって栃木SCを応援してもらいたいですね」と大久保選手。地元出身の米山選手は「子ども達から寄ってきてくれたことがうれしかったですね。無邪気で元気な姿を間近に見られて良かったです。自分も子どもの時、こんな感じだったのかなと懐かしかった」と身長が低かったという小学生時代に思いを馳せ、「元気で、明るいですね子ども達は。喜んでくれているのがわかって良かったです。なかなか子ども達と接する機会はありませんが、今後も活動には積極的に参加したいですね」と、小学生の頃には既に170cmあった川上選手の感想。
昨年から「ゆめP」を取材しているのだが、常に感じるのは、身近にJリーガーがプロサッカークラブが存在することの幸せ。スタジアム以外で選手と触れ合える機会は何物にも代え難く、子ども達にとっては一生忘れられない思い出となったはず。自分がもう少し遅く産まれてくれば…学校を訪問してくれた選手に憧れを抱き、プロサッカー選手を真剣に目指したのに…なんてことをついつい考えてしまう。それにしても、羨ましいぞ、子ども達。
以上
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2009.05.16 Reported by 大塚秀毅
J’s GOALニュース
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必死のDF?をする米山篤志選手。
大人げない大久保裕樹選手のリフティングでのドリブル突破。
(C)大塚秀毅
笑顔での記念写真。
(C)大塚秀毅
一枚一枚、心を込めてサインする選手達。
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