5月16日（土）J1 第12節 清水 vs 大分（19:00KICK OFF/清水）
スカパー！生中継 Ch183 18:50〜（解説：澤登正朗、実況：桑原学、リポーター：小野響子）
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　ここ6試合勝利から遠ざかっている15位の清水と、ケガ人が続出して8連敗中の18位・大分。どちらも背水の陣で臨む第12節は、チームの今後を左右する大勝負となる。

　試合内容が特別に悪いわけではないが、なかなか勝ちきれないという状況の清水。今週は珍しく長谷川健太監督が水曜の時点でスタメンを明言し、早くから大分戦に臨む姿勢を明確に示した。そのメンバーとは、GKを西部洋平から山本海人に代え、岡崎慎司を中盤に下げて、フローデ・ヨンセンと原一樹の2トップ。ボランチは原一樹と山本真希で、フィールドプレイヤーは最後に勝った川崎Ｆ戦（第5節）と同じ形となる。先制点がなかなか取れないという現状（前半の得点も少ない）を踏まえ、「いちばん点が取れている形」（長谷川監督）で、立ち上がりから貪欲にゴールを奪いにいくという姿勢をチーム内外にはっきりと打ち出した。

　実際このところの清水は、試合終盤に相手を押しこむ攻撃的なサッカーを見せ、ここ5試合では後半30分以降に4点を奪っている。その中でもっともうまく機能していたのが、この布陣というわけだ。そうした攻撃を前半から実践するために、長谷川監督はあえてすべてをさらけ出し、チームのマインドを変えようとしている。その思いが選手たちに伝わり、立ち上がりから迫力のある攻撃を見せられるかどうかが、今節最大の注目点となる。
　また、最初からこの布陣を採用できるのは、その他にジョーカーとして期待できる選手が増えてきたという裏づけもある。前節・鹿島戦では、藤本淳吾と辻尾真二が途中出場で攻撃を活性化させ、辻尾は持ち前のスピードを生かした突破から初アシストを記録。「永井も途中から出しても計算できるようになってきた」（長谷川監督）ため、終盤はさらに攻撃的な交代のカードを切ることもできる。
　もちろん、リードを守りきる展開になった場合には、ベテランの伊東輝悦やマルコス・パウロを投入して、ゲームに落ち着きをもたらすこともできる。そう考えると、先発したメンバーも力を出し惜しみすることなく、思いきったプレーができるだろう。そうすれば、前半からチャンスは必ず作れるはず。あとは、それを生かして先制点を決めきれるかどうかが、最大の焦点となるゲームだ。

　一方、大分のほうは、主力選手にケガが相次ぎ、MFの金崎夢生と高橋大輔で2トップを組むなど、本当に苦しい戦いが続いている。おまけに頼みのエジミウソンも前節で負傷し、ブラジル人トリオは全滅。DF上本大海は今節も出場停止で、まさに泣きっ面に蜂という状況だ。
　昨年のナビスコカップ決勝では清水に快勝したが、そのときのスタメンのうち、ウェズレイ、高松大樹、ホベルト、エジミウソン、深谷友基、上本大海という主力６人が欠場濃厚。さらに途中交代で良い働きをした森島康仁も出られない。8連敗はチームワースト記録だが、もはや監督や戦術うんぬんの問題ではないだろう。
　だが、清水との対戦成績は5勝4分3敗と相性が良く、とにかく引き分けでも何でもいいから連敗を止めたいという思いで必死に戦ってくるだろう。当然、1人1人が大分らしく厳しいマークを見せ、攻撃では金崎らが独力で局面を打開できる能力を持っている。追いこまれた大分は、清水にとってもかなりやりにくいはずだ。

　だが、清水のほうも相手の台所事情を考えている余裕はない。「相手がどうこうというより、自分たちがしっかり試合に臨めるかどうか」とキャプテンの兵働昭弘は語り、「集中すれば本当にやれると思うので、いかに立ち上がりから集中してやれるか」とDFの青山直晃も言うように、チームの意識は統一できている。あとは本当に、キックオフ直後から自分たちのサッカーができるかどうかに尽きる。

以上

2009.05.15 Reported by 前島芳雄