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【J2:第12節 水戸 vs 鳥栖】プレビュー:水戸だけで積み上げた本間幸司J300試合出場メモリアルゲーム。勝って最高の「幸司スマイル」を見ることができるか。鳥栖はトジンのプレーが鍵を握る。(09.05.01)

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5月2日(土)J2 第12節 水戸 vs 鳥栖(13:00KICK OFF/水戸
スカパー!生中継 Ch185 12:50〜(解説:野々村芳和、実況:西達彦、リポーター:佐藤愛美)
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 サッカーは野球と違い、攻撃と守備の時間が分かれているわけではない。攻撃と守備は常に表裏一体。攻撃に出れば、当然守備に隙が生まれ、守備を固めれば、攻撃が手薄になる。この両者のバランスをうまく取れたチームこそが強いチームと言えよう。とあるブラジル人監督が面白いことを言っていたのを聞いたことがある。「サッカーとはブランケットのようなものだ」と。肩までブランケットをかけると足がはみ出てしまうし、足を入れようとすると今度は肩が出てしまう。つまり、一番心地いい場所にブランケットを置くことと、チームの攻守におけるスタンスを決めることは似ているというのである。

 その点、水戸は分かりやすい。リーグ最多タイの19得点を挙げている一方、リーグワースト2位の16失点。ブランケットにたとえると思いっきり肩を温め、脛ぐらいまではみ出している感じだ。「足を温めた方がいい」と言えども、それがチームのスタンスなのだからしょうがない。「ウチは下がって守備ができるチームではない」と木山隆之監督が言うように、攻め勝つことこそ水戸の目指すべき道なのだ。

 とはいえ、守備とはゴールを守るだけのためにあるわけではないからサッカーは面白い。いい攻撃をするためにもいい形でボールを奪うことが必要なのだ。水戸の目指すサッカーは前線から積極的にプレスをかけて高い位置でボールを奪って、そこからスピーディーに攻め込むサッカー。いい守備をすることが大前提にある。「前からのプレスをしっかりかけたい」と木山監督はあらためて語る。ただ、ここ数試合「チーム全体で守備をやっている感じがあまりない」(本間幸司)。前線からのプレスをかけられず、DFラインを下げられてしまい、いい守備ができていないことで失点を重ねてしまっている。「点を取りに行っている分、リスクが出てしまうのはしょうがないけど、守り方はしっかりしないといけない」と本間は語る。7日で3試合目という過酷な日程の中、プレスをかけ続けることは大変だが、だからこそ、そこで踏ん張ることができるかがこの試合の鍵を握る。鳥栖も積極プレスが売りのチーム。運動量で負けることは許されない。「疲れはあってもやることをしっかりやらないといけない」と木山監督は厳しい口調で語る。苦しい中で自分たちのサッカーを取り戻すことができるか。選手たちの底力が試される一戦だ。

 前節、仙台戦では敗れはしたものの、光明も見えた試合であった。木山監督が「1点を取れたのはよかった」と振り返るように、0対2になりながらも攻撃的姿勢を貫き、高崎寛之のヘディングゴールが生まれたことは大きな意義がある。その攻撃的姿勢を生んだものこそ、後半から採用した4−3−3システムだ。高崎を前線の中央に配置し、右に吉原宏太、左に荒田智之を置いたシステム。ボールを奪ってから手数をかけずに前線にボールを入れ、3人が果敢にゴールを狙い、仙台に脅威を与えた。今節も「最初から4−3−3で行くことも考えている」と木山監督が言うように、かなりの手ごたえをつかんだ様子。前線に3人を並べることで前線からのプレスがかかりやすくなり、さらに厳しい日程ということで運動量低下が懸念される中で中盤を省略して攻める形がさらに明確になるという利点もある。3トップというと超攻撃的システムと考えられがちだが、逆にリスクが排除され、バランスの取れた形になることだろう。水戸がつかんだ新たなシステム。水戸の誇るトリプルキャノンのゴール競演に期待したい。

 鳥栖に関して、ここで下手なことを書くと岸野靖之監督を発奮させてしまうことになるので気をつけたいが、なかなか調子が上がらず、現在14位と苦悩の日々が続いている。11得点16失点、肩も足もブランケットから出てしまっている状態だ。島田裕介、山田卓也、柳沢将之、磯崎敬太といった経験豊富な選手を補強したものの、藤田祥史が抜けた穴は大きく、チームのバランスは取れていない様子。昨年同様、前線からのプレスと細かなパスをつないで攻める形は変わらないが、前線で起点ができないため攻撃にリズムの変化が生まれず、単調な攻撃になってしまっている。また、前線にボールが回らず、中盤でボールを失うケースが多く、そこから速攻を食らって失点するパターンが多い。当初4−4−2だったシステムを前節4−5−1に変更するなど試行錯誤は続いているようだ。ただ、前節新外国人トジンが来日初ゴールを含む2ゴールを決めたことは大きい。結果を出せばFWは変わるはず。彼が前線で力を発揮できるようになれば、再び「強い鳥栖」が戻ってくるに違いない。理想は第6節湘南戦だろう。2度ビハインドを負いながらも最後まで諦めずに4対3で逆転勝利。まさに鳥栖らしい執念の勝利であった。戦術や技術以上に、あの気迫を出すことが今の鳥栖には必要だ。

 ただ、水戸にとって注意すべきなのはトジンよりも脅威の左足を持つ島田である。彼のセットプレーの恐怖は草津時代に経験済み。こうした過密日程の試合ではセットプレーが勝負を分けることが多いし、また、水戸は2戦連続でセットプレーから失点を喫しており、不用意な位置でFKを与えないことや極力CKを避けることが求められる。一撃で試合のすう勢を変えられる男の左足こそ、最大に警戒しなければならないだろう。

 この試合は本間幸司のJリーグ通算300試合出場のメモリアルゲーム。JFL時代から水戸のゴールを守り続けてきた男。水戸だけで積み上げた300試合だけに大きな価値がある。「普通の試合と変わらない気持ちで戦いたい。でも、絶対に勝って決めたい」と意気込みを語る。この試合でもいつも通り人間離れしたバネと反応の鋭さでファインセーブを見せてくれるはず。試合後、最高の「幸司スマイル」がスタジアム中にはじけ飛ぶに違いない。

以上

2009.05.01 Reported by 佐藤拓也
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