4月29日(水) 2009 J1リーグ戦 第8節
鹿島 1 - 0 神戸 (19:04/カシマ/14,473人)
得点者:1' 岩政大樹(鹿島)
スカパー!再放送 Ch183 4/30(木)20:00〜(解説:柱谷幸一、実況:加藤暁、リポーター:高城光代)
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開始1分、歓喜は訪れた。内田篤人が獲得した右CK。野沢拓也がニアサイドを狙ってボールを蹴ると、岩政大樹が頭で合わせ、神戸ゴールに吸い込まれていった。
「最近はファー(サイド)を狙っていて。企業秘密なので言いたくないのですが、ただ、前半にマルセウがいないということで、ゾーンに入る選手があまり高くないという情報がありました。タク(野沢)とそこを狙おうと話していました。そこにいいボールが来たと思います」
試合後、岩政は1つの狙いを持っていたことを明かした。この得点は、リーグ最速で通算1,000ゴールを達成した記念のゴール。大型スクリーンと、スタジアムを取り囲む帯状LED映像装置に「1,000」の文字が躍り、スタンドはいきなりお祭りムードになった。しかし、その雰囲気が緊張感を奪ってしまったのか、鹿島の選手がシュートを打てどもゴールが遠い。90分で18本のシュートを神戸ゴールに浴びせたものの、奪った得点は開始早々の1点のみだった。
試合は、鹿島のオズワルド・オリヴェイラ監督、神戸のカイオ・ジュニオール監督の知謀が火花を散らすのではと予想されていた。というのも、神戸は前節G大阪と対戦し、チームの軸である遠藤保仁にマンマークをつけ攻撃力を封じることに成功していた。鹿島に対しても、同様の作戦を取ることは十分に考えられた。迎え撃つ鹿島は、後半に失速する試合が続き2試合連続のドロー。昨年7試合連続未勝利と足踏みした悪夢が、頭をもたげつつあった。
だが、試合が始まるとマンマークはなく、[4-4-2]のチームが、[3-5-2]のチームのサイドを攻略するオーソドックスな展開が繰り広げられた。
「前半の頭は、吉田孝行と茂木の2トップで臨んだ。どうしても相手の攻撃に対して彼ら、または中盤のラインも下がってしまい、なかなかプレーができなくなり早い段階でCKから失点してしまいました。始まり方が悪かったので難しい試合になってしまいました」
カイオ・ジュニオール監督も、イメージしたゲームができなかったことを認めた。34分には、鹿島のCKから神戸がカウンターでチャンスを掴み、左サイドを進んだ吉田孝行から、中央に走り込んだ松岡亮輔にピタリと合うセンタリング。ダイビングヘッドでゴールを狙ったものの、曽ヶ端準がこれをセーブし、神戸に得点を許さない。神戸は決定機を逃し、前半の多くは鹿島のペースで進んだ。しかし、野沢のループ気味のシュートはバーに弾かれ、ゴール前に抜け出した本山雅志がトラップをミスするなど、鹿島も決定機をものにできなかった。
38分、マルキーニョスが足を痛め、興梠慎三と交代。これを機に、神戸も布陣を[4-4-2]に変更した。そして後半、アラン・バイーアを下げ、マルセウを中央に据える[4-3-3]に移行した。ロングボールでマルセウを狙い、両サイドを吉田と茂木弘人が駆け抜ける戦法をとってきた。鹿島は、これに人数を割いて対処。岩政大樹・伊野波雅彦の両センターバックがマルセウを挟み込み仕事をさせず、パク・チュホ・内田篤人の両サイドバックが両ワイドを抑えた。さらに57分には、本山に変えて増田誓志をピッチに送る。
「守備になったとき篤人(内田選手)の前に必ずいろということでした」(増田)
オリヴェイラ監督は相手の左サイドに蓋をすることで、内田の守備負担を減らし、増田の運動量を生かして2点目を狙いにいった。しかし、マルキーニョスがいなかったせいか、攻撃に迫力がない。チャンスを掴んでも相手を圧倒するような流れもなく、お互いに拙攻を繰り返した印象のまま試合を終えた。
神戸は、苦しい台所事情のなかで勝点を拾っていくしかない。マルセウのコンディションはまだまだ重く、縦への速さに欠けるため、サポート役となる吉田や茂木との連係を深めていく必要があるだろう。守備力が安定してきただけに、攻撃をつめていきたいところだ。
鹿島にとっては、試合内容が悪くとも勝点3を拾えたことが大きい。山形戦と同様の課題は残ったが、「2点目が取れていないので、そこをしっかり取らないといけない」(本山)、「押し込まれた時間があるのは仕方ない。もう一度、自分たちの形にして1点欲しい」(小笠原)と、選手もそれを認識する。次の試合こそ、チーム全体で改善を見せてほしいところだ。
次のホームゲームは、ACLのグループステージ突破をかけたもっとも重要な試合、水原三星戦(5月5日)となる。中2日の試合が2試合続く7連戦の中で最も厳しい日程となるが、一丸となって勝利を掴みたい。
以上
2009.04.30 Reported by 田中滋
J’s GOALニュース
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