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【J2:第11節 鳥栖 vs 栃木】レポート:新システムに光明を見せた鳥栖とアウェイ初勝利を最後に逃した栃木。ベンチもスタンドも一体となった90分間は、勝点を分け合う内容に悲喜が交錯(09.04.30)

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4月29日(水) 2009 J2リーグ戦 第11節
鳥栖 2 - 2 栃木 (19:03/ベアスタ/4,250人)
得点者:19' 稲葉久人(栃木)、74' トジン(鳥栖)、86' 松田正俊(栃木)、87' トジン(鳥栖)
スカパー!再放送 Ch180 4/30(木)17:30〜(解説:サカクラゲン、実況:南鉄平、リポーター:ヨンヘ)
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互いに勝点1を上積みし、どうにか体裁は整えたものの、試合後の両監督の表情には大きな違いがあった。
「ここ(ベアスタ)でどんなに勝っても、もう笑うことができないほど、前々節の熊本戦の敗戦と今日の引き分けは非常に悔しい」と岸野靖之監督は笑顔を全く見せずに会見場を後にした。
「勝機を見せつつも、前節(甲府戦)同様勝てなかったことは残念」と松田浩監督は一瞬笑顔を見せた。
結果は2−2の引き分けだが、試合を通して得た感触は、両監督には大きな違いがあったようだ。

この日も、前節岐阜戦で用いた4−3−3で、鳥栖は試合に入った。前線から相手にプレッシャーをかけ、できるだけ高いところでボールを奪いゴールを目指す作戦である。このシステムには、選手たちも概ねの好感触を持っていた。DF飯尾和也は「点が取れるような気がする」、MF高橋義希は「前線に飛び出しやすい」、MF島田裕介は「どこにでもボールに絡める」、FWトジンは「自分にはあっている」とそれぞれのポジションで利点を感じていた。
しかし、前半にその好感触を見せる場面は少なかった。それは、栃木の徹底した2ラインと高い守備位置によるものだった。

栃木の4MFと4DFは、鳥栖にボールを保持されていると、きれいにラインを並べ、付け入るスペースを与えなかった。その2ラインの距離をできるだけ近くに引くことで、鳥栖の攻撃の自由を消していた。くさびが入れば数的優位を作り、囲みこんでボールを奪ってしまい、シンプルに前線に預けてしまう。DF裏にボールが入れば、GK小針清充が積極果敢に飛び出してくる。この守備が、試合開始15分過ぎからはまってしまうと鳥栖は栃木の選手たちの外側でボールを回すしかなかった。
こうなると栃木のペース。19分にMF本橋卓巳の身体を張ったボールを受けたFW稲葉久人が冷静にゴール右隅に決めて先制点を奪った。

後半に入ると先に動いたのは鳥栖だった。後半開始からMF山田卓也を入れて、縦に偏りがちだった攻撃にサイドでのタメを作る作戦に出た。63分には、MF野崎陽介を左サイドに入れて、突破も試みた。この2人の投入が、鳥栖にポジションチェンジと個の打開をもたらして、栃木DFに穴を開け始めた。
74分には、MF島田裕介からのクロスをDF飯尾和也が折り返し、FWトジンの来日初ゴールが生まれた。このゴールで鳥栖は勢いに乗るかと見えたが、松田監督(栃木)もDF入江利和とMF栗原圭介を続けて入れて流れを断ち切った。86分には、この2人が左サイドから崩して再び突き放すことに成功し、わずかな残り時間に“アウェイ戦の初勝利”を期待させた。しかし、鳥栖もMF山田卓也からの展開されたボールをMF野崎陽介がクロスを上げて、この日2点目となるFWトジンのシュートを生んだ。

交代で入った選手が、その持ち味を出し尽くして引き分けたこの試合。シュートの本数もポゼッション率も鳥栖のほうが高かったが、試合後の監督の表情には大きな違いを見せた内容だった。両チームの置かれた立場の違いが、その表情の違いとなったのだろう。今節を終了して14位の鳥栖と17位の栃木では、自ずと違いが出ても仕方があるまい。上位を目指さないといけない鳥栖は、システムを変更してまだ2試合目。システム変更の好感触を少しでも早く実感とし、サポーターとファンに結果として見せてほしい。
栃木は、試合ごとに戦い方に落ち着きを見せてきた。若い選手と経験を持った選手が一体となり、チームとしての形が見え始めている。今後も上位が手を焼く相手になるに違いない。
今節のベアスタは、前後半で互いに違う顔を見せてくれただけでなく、監督采配を含めたベンチの駆け引きを堪能することができた試合だった。

『試合はピッチだけで戦うのではない』
戦況を見つめる監督も、常に戦う姿勢を準備している選手も、スタンドで力の限り応援しているサポーターも、一緒に戦っているのである。
それぞれの役目は違っていても、目指すものはゴールであり、守るべきものもゴールであることに変わりはない。
役目が決まれば、自ずとなす仕事が決まる。それが“プレー”であり、その集合体が“スポーツ”である。
サッカーほど、試合時間を共有できるスポーツは見当たらない。
体力も精神力も使い切ってしまう90分間のドラマである。

以上


2009.04.30 Reported by サカクラゲン
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