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【J1:第8節 清水 vs 浦和】レポート:両チームのサポーターを感動させたエコパでの激闘は、2人のプロ初ゴールで価値あるドロー決着(09.04.30)

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4月29日(水) 2009 J1リーグ戦 第8節
清水 2 - 2 浦和 (16:04/エコパ/30,851人)
得点者:17' 原一樹(清水)、35' ポンテ(浦和)、74' 山田直輝(浦和)、86' 児玉新(清水)
スカパー!再放送 Ch183 4/30(木)23:00〜(解説:澤登正朗、実況:桑原学、リポーター:小野響子)
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 清水としてはホームで何としても勝ちたい一戦であっただけに、勝ちきれなかったことが非常に悔しいことは間違いない。ただ、観ている側にとっては、これほど興奮し、熱いものが伝わってきたドローゲームは、本当に久しぶりのことだった。

 快晴だが気温は17.3度と低く、絶好のコンディションとなった静岡スタジアム エコパ。この試合に向けて、浦和が前節とまったく同じスタメンだったのに対して、普段はメンバーをいじることが少ない清水が、スタメンを前節から5人入れ替え、システムも変更するという賭けに出た。右サイドバックには、負傷の高木純平に代わって市川大祐が5試合ぶりのスタメン。中盤は、これまでのフラットな4枚からダイヤ側に形を変え、5試合ぶりに先発の伊東輝悦がアンカー、今季初先発のマルコス・パウロが右、21歳の山本真希が左に入って、スペースへの巧みな飛び出しが持ち味の枝村匠馬がトップ下という配置。そして、エースの岡崎慎司をあえてスタメンから外し、2トップはヨンセンと原一樹のコンビとなった。
 岡崎をベンチに置いたのは後半勝負という目論見だったが、中盤をダイヤ型にしたのは、守るだけでなく「何とかレッズの堅い守備を崩したい」(長谷川健太監督)と攻撃を意識したもの。中盤の後ろ3枚には守備力の高い選手たちを置き、浦和の攻撃に耐えながら、得意の速攻でゴールを狙うという前半となった。
 そのため立ち上がりから浦和がポゼッションで優位に立ち、ボールサイドに人数をかけてサイドを崩しにかかる。そこで清水の粘り強い守りにあって手詰まりになると、ポンテが素早くサイドチェンジをして、逆サイドから揺さぶりをかけた。これに対して清水のMF3人は素早く横にスライドして対応し、体勢が整う前に前にクロスを入れられてもゴール前でDF陣がきっちりと跳ね返す。伊東のカバーリングやパウロのボール奪取能力も大いに力を発揮し、普段より1枚少ない体勢で指揮官の期待にしっかりと応えた。
 そしてボールを奪った後の速攻では、前線でボールに絡める選手がいつもより1人増えたことにより流れがスムーズになり、相手に与える脅威も確実に向上。つまり、戦い方としては、長谷川監督の狙い通りのことができていた。

 そして16分には、「何回取られてもいいからどんどん仕掛けて1本行け」という指示を受けていた原が、右サイドから強引にドリブル突破を図り、ペナルティエリアに入ってさらに抜きに行ったところで闘莉王に倒されてPKを獲得。与えられた仕事を見事に果たした原が、このPKを自ら決めて、浦和の無失点を5試合目で途絶えさせた。
 その後、より前がかりになる浦和に対して清水の速攻も効いていたが、相手の一瞬のスキを見逃さないのは首位のチームならではの力。35分に清水の中盤でのミスをついてカウンターを仕掛け、素早くパスをつないで左から崩し、ゴール前に飛び出した阿部勇樹がシュート。これはGK西部洋平に止められたが、右にこぼれたボールをポンテが押しこんで同点ゴールを奪った。

 1-1のまま迎えた後半も、清水は単に守るだけでなく、前半よりも押しこむ時間を多く作り、互いにチャンスを作りながら時計の針が進んでいく。10分には満を持してエースの岡崎が投入され(原と交代)、ピッチに入って早々に2本のシュートチャンスに絡むなど、攻撃のリズムを活性化させた。
 だが、もちろん浦和の守備も非常に堅く、そう簡単にゴールを奪うことはできない。後半20分を過ぎても、両チームとも攻守の切り替えの早さを維持し続け、球際の激しさも変わらない。スコアは動かないが非常に緊張感も見応えもあり、どちらに転ぶかまったくわからない展開となっていた。
 そんな中で、先にゲームを動かしたのは浦和。それまでも何度も前線に上がって攻撃参加していた闘莉王が速攻に絡み、ポンテがうまくボールをつないで、左から入った山田直輝が巻きこむようなシュートをゴール右隅に決めた。18歳のプロ初ゴールで、浦和が逆転に成功。

 だが、清水も勝点3をあきらめることなく、29分に永井雄一郎、37分に辻尾真二を投入して最後の勝負に出る。そして39分に辻尾の右クロスから永井が惜しいヘッドを放ち、41分にも永井が絡んで岡崎が飛び出しシュート。これはGK都築龍太に止められたものの、そのこぼれ球をつないで山本真が右からクロスを送り、ファーサイドに上がっていた左サイドバック・児玉新が左足ボレーシュート。これがニアサイドの狭いところを抜けて、鮮やかな同点ゴールが決まった。
 この1点も、児玉にとっては9年目でのうれしいプロ初ゴール。日頃から周囲にゴールがないことをつっこまれていた彼を、ベンチも総出で祝福し、チーム全員が自分のことのように大喜びしていたところに副キャプテン・児玉の人柄がよく表われていた。
 当然これでチームのムードは最高潮。再び勝ち越し点を狙ってきた浦和の攻撃も身体を張ってしのぎ、逆転ゴールを奪うべく最後の攻めに出る。アディショナルタイムに入って右クロスからエジミウソンに決定的なヘディングシュートを打たれるが、これは上に外れ、逆にタイムアップ直前には右クロスから永井が絶妙なトラップ&シュート。これも惜しくも上に外れ、その直後に2-2のまま主審の長い笛が吹かれた。

 その瞬間、ピッチ上のフィールドプレイヤー全員が、膝に手をつき、バタバタと芝生に倒れ、一歩も動けない状態に。とくに清水のほうはなかなか立ち上がれない選手が多く、本当に全ての力を出し尽くしたことが伝わる印象的な光景が、エコパの夕日に照らし出されていた。
 もちろん両チームのサポーターにも、勝てなかったことを非難する声はなく、最後まで死ぬ気で走り続けた選手たちを温かい拍手と声援で迎える。長谷川監督は試合前に「終わった後にサポーターから温かい拍手をもらえるような熱い戦いをしたい」と語っていたが、その思いは十分すぎるほどピッチ上で表現され、今後も語り継がれることになるであろう激闘が、スタジアム全体に深い余韻を残した。

以上


2009.04.30 Reported by 前島芳雄
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