4月26日(日) 2009 J2リーグ戦 第10節
水戸 4 - 3 岡山 (13:04/ひたちな/1,378人)
得点者:7' 荒田智之(水戸)、12' 小澤雄希(水戸)、31' 小林優希(岡山)、38' オウンゴ−ル(岡山)、61' 荒田智之(水戸)、64' 荒田智之(水戸)、71' 金廣閔(岡山)
スカパー!再放送 Ch182 4/27(月)17:00〜(解説:前田秀樹、実況:田中雄介、リポーター:湯本久美)
☆顔写真クイズ|勝敗予想ゲーム
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1つのプレーで水戸は生まれ変わった。いや、自分たちを取り戻したという言うべきだろうか。
2−2で迎えた後半2分、左サイドで菊岡拓朗がボールをキープ。すると、最後尾から小澤雄希が怒涛のオーバーラップを見せた。その動きはチーム全体が消極的となってしまったために「自分たちのサッカーができなかった」(菊岡)ここ数試合の悪い流れを断ち切るかのごとく、すさまじい勢いがあった。
この試合の前半も水戸らしいアグレッシブなサッカーは影を潜めた。序盤にセットプレーとカウンターから2点を取れたことにより、「気持ちが緩んだ」(菊岡)ことで、水戸の武器である前線からのプレスができなくなり、DFラインを下げて「なんとなく守れるだろうという守備」(森村昂太)となってしまった。すると、簡単にサイドを崩され、同点に追いつかれてしまう。消極的なプレーを見せる水戸とは対照的にアグレッシブにゴールを狙い続ける岡山がその後も主導権を握った。
そんな流れを断ち切ったのが小澤の動きであった。小澤の動きにより、岡山のDFラインを押し下げることに成功。岡山の中盤にスペースが空いたことで水戸が主導権を奪い返すこととなったのだ。たった1プレーであるが、この日水戸が繰り出したはじめてのアクション。それにより息を吹き返した水戸が、前線から激しくプレスをかけるサッカーを取り戻し、岡山のパスサッカーを封じ込め、主導権を奪い返したのである。水戸の目指すサッカーは攻守において自分たちから仕掛けるサッカー。ここ数試合忘れかけてきた形を取り戻した瞬間であった。
すると、チームの勢いに乗るように水戸の頼れるエースの得点力が爆発する。後半16分に右からのCKをニアで頭で合わせてこの試合2点目となる勝ち越しゴールを決めると、3分後には高崎寛之とのワンツーからDF裏に抜け出し、GKとの1対1を豪快にゴール右隅に叩き込み、プロ入り初となるハットトリックを達成。木山隆之監督が「彼(荒田)に助けられたゲーム」と胸をなで下ろしたように、3得点1アシストという大活躍を見せた荒田が水戸に勝点3を呼び込むこととなった。ついに得点ランキングの頂点に立った荒田のストライカーとしての才能はとどまるところを知らない。彼の存在の大きさをあらためて痛感させられた試合であった。
試合後、「ちょっと怒っています」と木山監督は険しい表情を見せた。勝利はしたものの、2度2点リードしながらも消極的なプレーから相手の追撃を生み、「大雑把なゲームになってしまった」(木山監督)ことは反省材料であり、「DFとしてはそんなにうれしくない」と星野圭佑が言うように決して手放しで喜べる勝利ではなかった。しかし、それでも後半に自分たちの力でここ最近の悪い流れを断ち切ったことに大きな意義がある。「この試合はウチらしいアグレッシブなよさを取り戻すことが目的だった」と菊岡が話すように、水戸らしさは確実に垣間見ることはできた。「攻撃でも守備でも課題ばかりだった」という菊岡の言葉通り、ミスも多く、内容がよかったわけではない。ただ、それでも水戸の掲げるスタンスを取り戻したことは次につながるはずだ。勝敗よりも前に水戸にはやることがある。それは攻守においてアグレッシブに戦うこと。それができれば、チームは間違いなく前進していく。次節仙台戦、取り戻した水戸らしさを全開にして勝点3を狙いにいく。
一方、岡山はまたしても初勝利を逃すこととなった。前節からメンバーを入れ替えて挑んだ今節。序盤から攻撃的な姿勢を見せたものの、リスクマネジメントができずに失点を重ねてしまった。ただ、西野晃平を中心としたテンポのいいパスワークでの攻撃は水戸にとって脅威であった。「荒田が3点を取らなければどうなっていたか分からない」と木山監督が振り返るように力の差があったわけではない。この日のようなパスサッカーを続けながら守備の整理さえできれば、必ず光が射してくるはずだ。結果が出ない今だからこそ、やるべきサッカーを曲げてはいけない。
以上
2009.04.26 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
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