4月19日（日） 2009 J2リーグ戦 第9節
徳島 2 - 1 福岡　（15:04／鳴門大塚／3,731人）
得点者：27' 登尾顕徳（徳島）、37' 高橋泰（福岡）、68' 三田光（徳島）
スカパー！再放送 Ch182 4/20（月）15:30〜（解説：逢坂利夫、実況：高松良誠、リポーター：藤原美佳）
☆顔写真クイズ｜勝敗予想ゲーム
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勝利の立役者を挙げればそれは間違いなく守備陣。三木隆司の急な体調不良によって急きょ今季初スタメンを言い渡されたCB登尾顕徳がタイトな寄せで福岡の2トップを抑え込むとともに得意のヘディングで先制点をもたらせば、GK上野秀章は再三のビッグセーブでチームに活力を注ぎ込む。またディフェンスリーダーを託されたぺ スンジンは終始強さを見せて福岡の長いボールを跳ね返し続け、左サイドの三田光に至っては安定した守りから勝負どころと見るや高い位置でボールを拾って狙いすましたクロスで決勝点ももぎ取った。

ただ、彼らの際立った活躍もさることながら、やはりこの勝利はチームが一丸となって挙げたものと言うべきだろう。加えて言うなら、90分途切れることなく気持ちを込めた声援を送り続け選手たちを後押ししたサポーターもが一緒になって闘い手にした成果だ。
いずれにしても、徳島は今節「最高の結果（美濃部直彦監督）」を出した。

ゲームは前半からその徳島の守りが冴えを見せる。特に中盤やや高い位置からの組織としての追い込みは福岡に効果的な前線への配球を許さず、危険な2トップ、高橋泰、黒部光昭へボールを入れさせなかった。するとその守りは攻めのリズムも生み出す。前節までと異なる4-5-1のシステムが「福岡のブロックの隙間に上手く人が入っていけるような戦いをするのが一つの狙いだった」という指揮官の読み通り機能し始めていった。そして27分、上手くサイドのスペースへ入り込んでボールを受けた石田がドリブルでファールを誘うと、そのFKから登尾が先制点。徳島としてはこれ以上ない試合運びでリードを奪ったと言えよう。

しかし、PKで追い付かれて折り返し迎えた後半はさすがに徳島もややペースダウン。主導権を維持するために必要であった追い込みの威力が徐々に弱まり、久藤清一、大久保哲哉を立て続けに投入した福岡に流れを引き寄せられた。が、ここで逆境を跳ね返すのがひと味違う今年のチームらしい。68分、中央を経由し右から左へワイドにボールを運んだ徳島は石田のセンタリングこそウェリントンに阻まれたものの、そのクリアを拾った三田がすかさずクロス。青山隼、徳重隆明が中央へなだれ込むように詰めるとその2人がスルーする形になってボールはそのままネットへと吸い込まれた。再び福岡を突き放す値千金の2点目奪取─。

終盤の時間帯にはアウェイでの勝点へ執念を見せる福岡の猛攻にヒヤリとする場面も作られたが、それでもその2点目で活性を取り戻した徳島は再度厳しい追い込みを復活させる。結果、アディショナルタイムに飛び出したGK上野のスーパーセーブにも救われてリードを守り切ったチームは大きな大きな価値のある勝利を手に入れた。

「今日の試合は是非勝ちたい試合だったし、この強敵との対戦をモノにすれば我々はもう一段ステップアップ出来ると思っていました」と美濃部監督も語ったが、本当にその通りだろう。徳島が発揮していた『負けない強さ』を『勝ち切る強さ』へと進化させたのは間違いない。これを定着させればよりいっそう白星を、勝点を積み上げられる集団となれるはずだ。ホーム無敗も続き、今後への期待はますます膨らむ。

対して福岡としてみれば、前半のよくない出来がそのまま敗戦へ繋がった悔いの残る戦いであったに違いない。事実、篠田善之監督も「前半特に良くない立ち上がりをしてしまいました。パスも収まらず、しっかりと連動して動く守備も出来ずに、1-1で折り返したことは評価しますが、それ以外は何もなかったです」と振り返ったが、自慢の2トップをより活かし、そこで確実に起点を作ることが次節に向けては必要と思われる。とは言え、選手の力、組織の力は疑いようもなくあるチーム。今日の敗戦を引きずることなく気持ちを切り替えてやり直せば、建て直しは難しいものでないだろう。

以上

2009.04.19 Reported by 松下英樹