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【J2:第9節 水戸 vs 横浜FC】レポート:苦しみ続けたエース難波の執念のロスタイム弾で横浜FCが念願の初白星。水戸は横浜FCのパスサッカーに対して手も足も出ず、完敗。(09.04.19)

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4月19日(日) 2009 J2リーグ戦 第9節
水戸 0 - 1 横浜FC (13:04/笠松/3,241人)
得点者:89' 難波宏明(横浜FC)
スカパー!再放送 Ch185 4/20(月)13:30〜(解説:遠藤雅大、実況:上野晃、リポーター:佐藤愛美)
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「いつかこういう試合が来ると思っていた」と吉原宏太は語る。これまで幾度となく中盤を省略してロングボールに頼りがちなサッカーに対して警鐘を鳴らしてきた吉原。ついにその“いつか”が来てしまった。

水戸の武器は前線からのプレスとボールを奪ってからの素早い攻撃。しかし、この日の横浜FCに対してそれは全く通用しなかった。「しっかりサッカーをしてくるチーム」と吉原が評した横浜FCのパスサッカーは水戸に手も足も出させなかった。中盤でテンポのいいパス回しで水戸のプレスを翻弄。細かなパスだけでなく、左サイドの三浦淳宏を中心にサイドチェンジを多用し、長短のパスをうまく織り交ぜながら水戸のDFラインを下げさせることに成功。プレスというよりどころをもがれた水戸はゴール前に張り付けとなり、横浜FCの攻撃をしのぐので精一杯となった。

水戸の攻撃は高い位置でボールを奪うということが前提にある。だが、それと同時に高い位置でボールを奪えないときの術がないということをこの試合で露呈してしまった。ここ数試合、2トップを目がけたロングボール攻撃で活路を見出してきたものの、この日は全体が押し下げられたために、ロングボールを蹴ってもセカンドボールへのサポートがおらず、高崎寛之と荒田智之が前線で孤立することとなってしまった。そういう状況が必ず来ることを予想して、吉原はこれまで何度も苦言を呈してきた。つまり、ポゼッションの重要性だ。DFラインを押し下げられた状態から主導権を握り返すためにも中盤で時間を作ることが必要になってくるが、それができていないことこそが水戸の最大の課題だと吉原は言い続けてきた。

それでも水戸は耐え抜いた。GK本間幸司を中心に横浜FCの猛攻に対し、ゴールを死守。横浜FCの決定力不足にも助けられ、スコアレスドローで終わるかと思われた後半ロスタイムに、ついに水戸は果てる。鄭容臺からのスルーパスを受けた三浦知良がトラップミス。しかし、そのこぼれ球に素早く反応した難波宏明がゴールに突き刺し、土壇場で横浜FCが決勝ゴール。水戸は最後の最後で勝点1を逃すこととなってしまった。

しかし、悔しい敗戦になりながらも「いい薬になったと思う」と吉原は穏やかな表情を見せた。「つなぐサッカーが必要だということがはっきりした」と森村昂太が言うように、これまで結果が出ていたことで見過ごしがちになってきたポゼッションの重要性を選手たちが意識するいい機会となるに違いない。「このままじゃいけないとみんな気づいてくれると思う」と吉原は期待を込める。今、水戸は4位につけているものの、積み上げていくチームであることに変わりはない。この日の横浜FCのように相手から学ぶべきこともまだまだ多い。前線からのプレスと速攻という武器は確実にチーム内に浸透しているが、それに何を加えることができるかによって今後の水戸は変わってくる。水戸は戦いながら強くなるチーム。木山隆之監督が今後どういうアプローチでチームを強化してくのか。この日の敗戦により、今後の水戸がさらに楽しみになってきた。

横浜FCにとってはこの上なくうれしい1勝だ。8試合勝ちなしというトンネルから抜け出した勝利であり、苦しみぬいたエース難波のゴールで挙げた勝利でもある。喜びもひとしおだ。ただ、最も喜ぶべきなのは「90分ほぼイニシアチブを取れて戦えた」(樋口靖洋監督)上で結果を出せたことだろう。そこに大きな価値がある。

甲府戦翌日、樋口監督は頭を悩ませていた。甲府戦ではチームの目指すポゼッションサッカーで主導権を握ったものの、甲府の個の力を最大限に利用したサッカーに力負けした。その試合を見た知り合いの関係者から「もっと現実的なサッカーをしたら」と勧められたという。しかし、樋口監督は「自分は頑固者だから」と自らに言い聞かし、ポゼッションサッカーを貫くことを改めて決意することとなった。「やっぱりサッカーとは攻守において主体性がないといけない。つまり、中盤でしっかりボールを展開してゲームを作ること。それが僕の考えるサッカー。それをやらないとチームは強くならない」。

その指揮官の頑固さがついに実を結んだ。前々節岡山戦ではロングボールを多用してくる相手にお付き合いするように「蹴り合ってしまった」(早川知伸)が、この試合では岡山同様水戸がロングボールを中心に攻め込んできたものの、横浜FCは細かいパスをつないで対応。水戸のプレスに対しても横浜FCは恐れることなくパスをつないでいなすことに成功したのである。「樋口監督が求めてきたことが形になって」(早川)勝利につながったことにより、チームは大きな自信を手に入れることとなった。

しかし、横浜FCは8試合勝利がなかったチーム、1つの勝利によってすべてが解決したわけではない。とりわけ、決定力不足は最大の課題と言えるだろう。この日も序盤から再三チャンスを作ったものの、決めきれず。難波のゴールで辛うじて勝利をおさめたものの、内容的にはもっと楽に勝てる試合であった。ゴール前での工夫や連携、緩急のつけ方など詰めないといけない点は多い。また、パスサッカーという「理想のサッカー」を完成させるためにはまだまだ痛みを被るに違いない。しかし、そうした壁を1つ1つ乗り越えていくことで大きな目標に到達することができる。そのためにはトライする「勇気」とミスをしても続ける「我慢」が必要だ。「今は爆発前の準備のとき」と戸川健太は言う。試行錯誤を繰り返しながら、力をつけている最中の横浜FC。この日のサッカーをベースに戦っていけば、必ず爆発するときは来るだろう。

この日の横浜FCに加え、これまで低迷していた札幌がC大阪に勝つなど、積み上げてきたチームがいよいよ力を発揮しはじめてきた。これからJ2は本当の戦いに突入していく。水戸の戦いもこれからが本番だ。

以上

2009.04.19 Reported by 佐藤拓也
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