4月19日(日) 2009 J2リーグ戦 第9節
札幌 4 - 1 C大阪 (13:03/札幌ド/11,035人)
得点者:6' 岡本賢明(札幌)、19' 香川真司(C大阪)、41' キリノ(札幌)、49' 西嶋弘之(札幌)、73' クライトン(札幌)
スカパー!再放送 Ch185 4/20(月)08:00〜(解説:野々村芳和、実況:岡崎和久、プレーヤー解説:大森健作)
☆顔写真クイズ|勝敗予想ゲーム
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タイムアップの笛が鳴った瞬間、札幌ドームを埋めた観衆から大きな歓声と拍手が沸き起こった。ちょうど1週間前には同じ札幌ドームで富山を相手に後半ロスタイムの失点で1−1で引き分けてしまい、札幌イレブンにはブーイングも浴びせられた。だが、この日はこれまで無敗の首位・C大阪に勝利。それも4−1というスコアであり、地元ファンを納得させるには十分な試合だった。選手たちの表情も明るい。ホームゲームでの勝利は、昨年の4月12日以来のことだ。
「札幌が勝つべくして勝った試合」。C大阪のレヴィー・クルピ監督はそのように試合を振り返った。もちろん、19分にドリブル突破からスーパーゴールを挙げた香川真司らを軸としたC大阪の攻撃もクオリティが高かった。だが、それ以上に札幌の勢いが上回った印象だ。開始直後にゴールポストを強襲したダニルソンのミドルシュートも、チームに勢いを与えたはずである。
そして、3バックを敷くC大阪のシステムと札幌の4−2−3−1のシステムが上手くハマった感もある。C大阪は石神直哉、酒本憲幸というアタッカーを左右アウトサイドに置いているが、札幌のシステムだとこのエリアには縦に2枚の選手が並んでいる。しかも左は岡本賢明と西嶋弘之、右には藤田征也と西大伍といった攻撃力を持った選手がならんでおり、C大阪陣内のスペースを牽制してくるため石神と酒本はなかなか持ち味を出すことが出来ず。インサイドに目を向けても、トップ下に位置する香川、乾貴士という2枚の攻撃的MFが札幌のダニルソン、上里一将という守備的MFとモロに重なってしまい、前を向いて自由にプレーをする場面がかなり制限されていた。そしてこれを受けて香川と乾はオリジナルポジションを若干外へと移すこととなり、カイオが孤立する場面が目立ってしまった(ただし、この流れ対応するまでに札幌は若干の時間を要したのだが・・・)。
そして、札幌のトップ下でプレーしたクライトンと、マルチネス、羽田憲司で組んだC大阪の守備的MFとの位置関係もひとつのアヤとなった。クライトンはちょうどマルチネスと羽田との間にポジションを取り、相手が対応を困惑させた。守備の強い羽田がマンマークで付いて役割をハッキリさせるという策もあっただろうが、札幌の戦術上ではクライトンにはある程度の自由が与えられており、左右のスペースさらには前線に攻め上がったまま居残ってしまうという場面が多々あるため、そうするとマンマークの対応ではバランスが崩れてしまう。そうしてマルチネスと羽田の2人がどちらも中途半端にクライトンを気にしたままのプレーを強いられるという展開となってしまった。
これらが、この試合で札幌がC大阪を上回った要因の大きなものと言っていいだろう。
そうしたなかで、試合の大勢を決めたのは41分に生まれた札幌のキリノのゴールだろう。
1−1で迎えたこの時間帯、試合の主導権としては札幌もC大阪もどちらも握っていないニュートラルな時間帯だったが、ここで相手DFのミスからボールを奪ったキリノがフリーで飛び出して2点目を決めた。
白星から遠ざかっていた時期の札幌は、良い内容でゲームを進めながらも決定力を欠いて勝負を決める得点が挙げられず、引き分けあるいは負けという結果になってしまっていた。それがこの試合では相手のミスをしっかりと、それもエースストライカーが得点に結びつけたのだから勢いがつかないわけがない。後半立ち上がりにはセットプレーから西嶋が、73分にはカウンターから抜け出したクライトンがそれぞれ得点し大量4点を挙げて勝負を決めた。
試合後、クルピ監督が「大差で負けている試合で選手たちに学んで欲しい」と語り、札幌の石崎信弘監督も「いま自分のなかにあるのは問題点をいかに修正していくかということ」と快勝後ながら冷静に心境を明かした。
クルピ監督の言葉を読み取ると、今はまだチームとして学ぶ時期だということなのだろう。これがもしシビアに勝点が求められるタイミングだったならば、学んでいる場合ではない。どんな手を打ってでも得点を奪いに出たはずである。実際にクルピ監督はビハインドを追った試合ながらも交替枠を2つも残したままタイムアップの笛を聞いている。やはり、まだまだ目先の勝点にこだわる段階ではないということか。09年シーズンのJ2リーグは、まだ9節を終えたばかりだ。
以上
2009.04.19 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
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