本文へ移動

今日の試合速報

国立競技場に10,000名様無料ご招待 9/14 19:00KO 国立競技場 FC東京vs名古屋
国立競技場に10,000名様無料ご招待 9/14 19:00KO 国立競技場 FC東京vs名古屋

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第8節 熊本 vs 湘南】レポート:湘南の堅守の前に攻め立てるも得点は奪えなかった熊本。敗れた中にも得た確かな手応えと課題を次へ(09.04.16)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
4月15日(水) 2009 J2リーグ戦 第8節
熊本 0 - 2 湘南 (19:03/熊本/3,382人)
得点者:29' 坂本紘司(湘南)、89' 原竜太(湘南)
スカパー!再放送 Ch180 4/16(木)19:00〜(解説:池ノ上俊一、実況:山崎雄樹、リポーター:山田法子)
顔写真クイズ勝敗予想ゲーム
----------

 戦いが終わり、スタンドへ挨拶に行った選手達に向けて声援が送られていた光景だけを単純に見たら、「負けた後なのにえらく寛容だな」という印象を受けるかもしれないが、信じているからこそ声が出るし、手が叩けるのだと思う。しかしそれも、ただ盲目的に信じているのではなく、信じるに値する可能性の断片を見せられているからこそだ。

 この日の熊本は、前節負傷で交代し左大腿の肉離れと診断された宇留野純、そして中盤の宮崎大志郎に替わって、中山悟志と西弘則を先発に起用する4-3-3の布陣。その西が持ち味のドリブルで仕掛けたり、少ないタッチでテンポ良くつないでサイドからチャンスを作ったりと、序盤から熊本が押し込む。
 一方の湘南は、トップの田原豊が厳しいマークにあっていたが、その分、阿部吉朗や坂本紘司がDFラインの裏を狙う飛び出しでアジエルからのボールを引き出し、右サイドバックの臼井幸平からの鋭いクロスでゴールを狙うなど、速い切り替えからの攻撃を見せる。20分前後のセットプレーではファーを狙って折り返す形を取っていたが、最後の局面では熊本のGK吉田智志が良い反応で防いではいた。

 だが29分、ほんの少しの集中力の差が、ゲームの均衡を崩す。
 アジエル、田原とつないで阿部がワントラップして放ったシュートを吉田がセーブ、ボールはゴールラインを割った——ように見えた。“湘南、右CK”と手元のノートに視線を落としてメモし顔を上げると、目に入ったのは湘南の選手達が喜んでいる光景(このシーン、試合が終わるまではCKから坂本が決めたと思い込んでいたのだが、実際にはボールはアウトオブプレーになっておらず、寺川能人が拾って入れたクロスのこぼれ球を坂本が押し込んだゴール)。
「ゴールラインを割ると思って僕らも止まったところもあった」(DF河端和哉)、「もっと早く反応して、外にかき出していれば良かった」(GK吉田)と守備陣は反省の言葉を口にしたが、プレビュー( /jsgoal_archive/jsgoal/detail.php?press_code=00080732 )でも触れた「2本め、3本めのシュート」がゴールになってしまったわけだ。

 先制した湘南が、やや引いた状態からカウンター狙いへとシフトしたこともあって、残りの前半、そして後半に入っても熊本がボールを支配する展開が続いた。しかし同時に、お互いに前後の距離が開いてプレッシャーが緩くなったことで、湘南も前半よりアジエルがフリーでボールを受ける場面が増え、前半に比べてカウンターからの“得点の匂い”が増して行く。加えて、「田村(雄三)1人じゃ見きれなかったんで、ボランチをダブルにしてブロックを作り、真ん中のところを3人から4人にした方がいい」という反町康治監督の判断が効いて、ボールを保持しているのは熊本のはずなのに、湘南の守備ブロックに綻びができない焦りからか、少しずつ精度が落ちていった。

 65分ごろから80分ごろまで熊本がボールを回しながらチャンスを作るものの、この間に放ったシュートで枠に飛んだものは、取材ノートを見るとわずか1本。だが勢いはまだ熊本にあった。“次の1点”が入れば、その次の1点が取れそうな予感もあった。
 しかしやはり、ここまでわずか1敗のチームは相手のミスをきっちりとモノにする。89分、それまではピンチに直結しなかった1本のパスミスが、ゲームを決定づける決勝点につながった。矢野大輔が送った中途半端なパスをアジエルがカット、たった3分前に交代出場した原竜太が受け、右足でファーポストを狙った放ったシュートは、律儀に跳ね返って逆側のサイドネットへ。これで勝負は決した。

「いい形で狙っていたゴールが取れなくて、熊本の前線の対応にも苦労して胃潰瘍になりそうだった」と反町監督は振り返ったが、手堅くゲームを運んできっちりと勝点3を勝ち取るしたたかさを見せた。勝点差1で首位のC大阪にぴったりと食らいついているだけでなく、先発を替えずに臨んできた連戦の影響で疲労が溜まる中、信じて起用した原が結果を残したことからも手応えをつかんだことだろう。
 ホームの熊本は、内容は良かったが結果にはつながらなかった。前節もそう書いた。だが、だからと言って即座に処置が必要な状態かと言えば、おそらく、そうではない。試合後、熊本の選手達が口を揃えたように、そして北野誠監督も「やり方自体は全く変えるつもりはない」と話したように、フィニッシュの問題を除けば、必要な処置はただひとつ、継続だ。
 3人、4人が連動してのテンポのいいパスワーク、西、木島のドリブルでの仕掛け、サイドバックの追い越しからのクロスetc。「どんな相手にもこういうサッカーをして立ち向かうっていうスタイルを見せることが大事。その段階の中で、今どの辺にいるのかを冷静に判断しながら、前に進めばいい」という藤田俊哉の言葉の通り、札幌戦以降見え始めた“これからの熊本らしさ”をより強固なものにする上で必要なのは、やり抜くこと以外にはない。
 それは現場の選手達も当然身にしみているはず。見ている側は、それが必ず花開くと信じて待つだけだ。

以上


2009.04.16 Reported by 井芹貴志
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/08/05(月) 10:00 【週末のゴールをイッキ見!】明治安田J2リーグ全ゴールまとめ【0803-0804】