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【J2:第7節 仙台 vs C大阪】レポート:善戦以上の内容で仙台がC大阪と渡り合うも、流れを失い一転して苦しい展開に。試合にけりをつけたのは、若き旗頭の見事な一発。(09.04.12)

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4月12日(日) 2009 J2リーグ戦 第7節
仙台 1 - 2 C大阪 (13:04/宮城ス/12,425人)
得点者:26' 梁勇基(仙台)、44' マルチネス(C大阪)、76' 香川真司(C大阪)
スカパー!再放送 Ch181 4/13(月)09:30〜(解説:鈴木武一、実況:守屋周、リポーター:村林いづみ)
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結局のところゴールシーンのみに関して言うと、システム云々は関係のない、各々の選手の技術の高さによるものだった。その点ではフットボールの「楽しさ」という部分が存分に見られた90分であった。だが試合の流れが両チームの間を移りゆく過程においては、フットボールの「恐ろしさ」が見えた一戦でもあった。元を辿れば一人の選手の負傷、それによる選手交代と戦い方の変更が続く中、仙台は流れを失い、C大阪は息を吹き返した。

おそらく、これまでC大阪と戦ってきたどのチームよりも素晴らしい前半を送ったはずの仙台が、終わってみれば無敗を続けるC大阪の軍門に下っていた。桜の花は、まだ咲き続ける。

破壊的な攻撃力を持つC大阪にも、臆することなく前からのプレスで挑むことにした今節の仙台。狙いは見事にはまった。立ち上がりにはC大阪に素早い攻めからチャンスを作られることもあったが、ペナルティーエリア内で前を向いた香川真司からのスルーパスを受けた乾貴士の決定的なシュートを林卓人が足で止めてみせたあたりから、流れは仙台へ。C大阪のダブルボランチであるマルチネスと羽田憲司に狙いを定めたプレスが機能し始め、相手ゴールに近い位置から仙台は逆襲に出る。25分に中央からドリブル突破を仕掛けた後に放たれた中島裕希のミドルはGKキム ジンヒョンが右手一本で弾き難を逃れるが、直後の26分、ペナルティーエリア内左に生まれたスペースへ、平瀬智行からのパスを受けて飛び込んだ梁勇基のシュートは、好守を見せるGKを上回るものだった。右足で若干巻き気味に放ったグラウンダーのシュートが、ゴール右隅に柔らかく転がり込み、仙台が先制する。

さらに得点後も、仙台の積極性が生み出したこの流れの中で、C大阪は悪循環に陥りかけていた。プレスによってボールが巡ってこない前線の選手たちが中盤の浅い位置まで降りてもののそこでミスを犯す。特に香川は、前線でこそ脅威を発揮するものの、ハーフウェーライン付近では集中を欠いたプレーを続けるなど、本人も試合後に認めていたが厳しい評価となる内容のプレーだった。仙台の側から見れば、攻守両面において狙い通りの前半だったのだ。

ところが、たった一発のミドルシュートが、スタンドのサポーターも含めた仙台の側の人間を黙らせる。

目安2分と表示されていた前半ロスタイムの本当に終わりかけである47分。酒本憲幸が放り込んだボールを仙台守備陣がクリアするが、ゴール正面30メートルの落下点にはマルチネスがいた。この場面だけ仙台の選手によるチェックが遅れ、それによりGK林もポジションを修正できずにブラインドの状況に。そんな中でマルチネスが左足を振り抜いたミドルは、「グラウンダーではなく、本当にピッチすれすれの弾道で無回転のまま飛んできて、自分の前でワンバウンド」(林)というあり得ない弾道を描きながら、うなりを上げてネットに「刺さった」。そのまま次のキックオフを待つことなく前半終了となったこともあり、スタジアムのどよめきはしばらく続いた。

そして、流れが決定的に変わる後半を迎える。試合開始直後に右脇腹を負傷したもののプレーを続けていた田村直也(試合後、病院へと直行。詳細な診断は明日とのこと)が、やはり続行不可能ということで、代わって富田晋伍が、そのまま左SBに入る。これには左で上手く前へ飛び出し、攻撃の起点となってほしいという手倉森誠監督の狙いもあったのだが、まるでこのタイミングを狙っていたかのように、前半は早いタイミングでのクロスに終始していた感のある酒本が、仙台の急造の「左」をえぐり始めた。攻勢を期待されて投入されたはずが、一転して攻撃の矢面に立たされることとなった富田は明らかにプレーのバランスを崩し、影響が仙台の布陣全体にまで波及しかねない勢いに。

手倉森監督の動きは早かった。富田の持ち味をもう一度引きだそうという考えもあったと思われるが、富田を一列前へと上げて、前節の東京V戦、さらには昨年第3クールのC大阪戦でも高く機能した3ボランチへと布陣を変更。空いた左SBには本来CBであり守備は計算できる一柳夢吾を入れるという修正を試みる。

ところがこの際、FWの平瀬を下げて1トップ(梁と関口訓充を加えれば3トップとなるが)としたことが、別の展開を生んだ。前半から流れを作ったC大阪ボランチへのプレスにおいて、仙台の2トップ、特に中島が果たした役割は大きかったのだが、布陣が変わったことで、誰がボランチへ圧力をかけるのかが曖昧になった。それにより球の回りがスムーズになったC大阪は、両ウイングバックを上手く絡めた攻撃が可能となり、結果的に仙台を追い込み始めたのだ。

そんな背景が、76分の逆転弾にはあった。ゴールまでまだ遠い位置でカイオからのワンツーを受けた香川。最終ラインを飛び出したエリゼウの不用意なタックルをかわしてからは速かった。力強いドリブルでペナルティーエリアに持ち込むと、ゴール前に残っていた仙台のほぼ全守備陣を引き連れながらゴール左方向へと進み、目の前で仙台守備陣が一人、また一人とバランスを崩し倒れていくのをひとしきり眺めた後、ゴールのニアサイドをぶち抜く強烈なシュートを決めた。

悪い内容にも関わらず、勝点3を奪えるだけの武器がC大阪にはあったということだ。試合の流れを考えると、ここでゲームはほぼ終わった。

内容においてC大阪相手に見せ場を作り、実際に相手のちょうど倍である24本ものシュートを放ちながら敗れた仙台としては惜しまれる、という感情以上に悔しさの残る一戦となってしまった。しかし今節のC大阪は、同じく内容で圧倒しながらもスコアレスドローに終わった前節での思いを晴らした。仙台の次節・岐阜戦は中2日でやってくる。中3日である岐阜に比べ疲労の面では厳しいが、悔しさが薄れない内に戦えることを今はメリットに…そう信じて臨むだけである。

以上
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