4月4日（土） 2009 J2リーグ戦 第6節
草津 2 - 2 水戸　（13:03／正田スタ／6,144人）
得点者：5' 都倉賢（草津）、25' 森村昂太（水戸）、61' 高崎寛之（水戸）、69' 都倉賢（草津）
スカパー！再放送 Ch182 4/6（月）07:30〜（解説：三浦俊也、実況：吉田学、リポーター：円戸由香）
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☆水戸側レポート

両チームの選手たちは限界まで走り、闘い抜いた。そして、試合終了の笛が鳴り響くとピッチに膝を落とした。北関東ダービーのオープニングゲームとなった草津対水戸の第１ラウンドは、双方が２点ずつを奪い合った末にドロー。試合後、死力を尽くした選手たちにはサポーターから大きなエールが贈られた。

　草津の主役は、狂犬・都倉賢だった。ボランチ櫻田和樹が出場停止となった草津は、熊林親吾を中盤の底に下げ高田保則、都倉の２トップに左ＭＦ後藤涼、右ＭＦ廣山望という布陣で挑む。ゲーム開始直後からパスミスが目立った草津はカウンターの恐怖にさらされながら立ち上がりを凌いでいく。そんな嫌なムードを断ち切ったのは都倉だった。

　５分、左サイドを突破した小池純輝がマイナス気味に返した低いクロスに、左足を合わせてゴールネットを揺らす。「ニアサイドにいいボールが入ってきた。ヤスさん（高田）がＤＦを引き連れてくれたので、自分がうまく決めることができた」（都倉）。草津は、都倉の今季３点目でゲームの主導権を握るかに思われた。

　だがその後、４連勝中の水戸の強さを存分に見せ付けられる。草津は、左右ＭＦを高い位置に配置する水戸に対して、受身に回り、両ＳＢが封じ込められる。そして、松下裕樹、熊林親吾の両ボランチがキム・テヨン、森村昴太の素早いチェックで潰される。攻め手を失い防戦一方となった草津はＤＦラインが下り始め25分、森村に技ありのミドルを決められてしまう。草津が前半に放ったシュートはわずかに２本。コントロールが利かないまま後半へ向かう。

　草津は後半になっても、ボールへのサポートが遅くリズムがつかめない。「相手のプレスが速く、ボールを的確に運べなかった」（佐田）。61分、セットプレーを獲た草津は総攻撃を仕掛けるが、中途半端なシュートをカットされてカウンターを喰らう。ハーフライン付近から高崎寛之に独走を許すと、そのままゴールを決められて逆転されてしまう。「リスクマネジメントができていれば防げた失点だった」（ＧＫ本田征治）

　苦しい展開を打破したのは、再び、都倉だった。69分、水戸・大和田真史が最終ラインでルーズボールの処理にもたつくと、その隙を見逃さずに大和田とＧＫ本間幸司の間に突進。ボールを奪い取って気迫でゴールへと押し込む。「戦術ではなく気持ちが生んだゴールだった」（都倉）。草津は、都倉の同点弾で息を吹き返す。

草津はその後、サポーターの後押しを受けて水戸陣内へと攻め込んでいく。だが80分を過ぎてから選手の足はつり始め、体力は底をついた。それでも選手たちは、勝利をつかむために最後まで戦い続けた。ゲーム内容的には、水戸の方が勝っていたかもしれない。ただ、草津はそれをハードワークでカバーした。松下は「絶対に負けたくなかった。自分たちのサッカーはできなかったが、ファイトする気持ちは魅せられたと思う」と死闘を振り返った。

　草津を牽引したのは、間違いなく都倉だった。69分に同点弾を決めた際、ゴールへと転がるボールを都倉は、這いつくばって追っていった。セットプレーで守備についたときは、だれよりも大声でチームを鼓舞した。そして、ピッチを退く84分までサポーターとともに戦い続けた。「今日は自分の力のすべてを出し切るつもりだった。ファイティングスピリットを観てもらいたかった」（都倉）。チームを救った都倉のプレーは決して忘れることはできない。

　今季、栃木がＪ２に参入したことにより新たに生まれ変わった「北関東ダービー」。ダービーが、リーグ戦の１試合であることは間違いないが、この日の敷島には独特の空気が漂っていた。そしてその雰囲気が選手を闘わせた。真剣勝負はチームを大きく成長させる。草津と水戸の意地がぶつかり合ったゲームは、ダービーという名にふさわしい激闘だった。

以上

2009.04.04 Reported by 伊藤寿学