3月15日（日） 2009 J2リーグ戦 第2節
東京Ｖ 1 - 2 Ｃ大阪　（16:03／味スタ／9,378人）
得点者：23' 香川真司（Ｃ大阪）、28' 河野広貴（東京Ｖ）、67' チアゴ（Ｃ大阪）
☆顔写真クイズ｜勝敗予想ゲーム
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東京Vにとって悔しさたっぷり、収穫たっぷりのホーム開幕戦となった。

J２屈指ともいえる高い攻撃力をもつC大阪に対し、東京Vは今季はじめから一貫してきた３ボランチではなく、ダブルボランチへと布陣を変えて挑んだ。
試合前、高木琢也監督は「スタートから10分〜15分ぐらいで攻守とも相手の形に慣れることが必要」と話していたが、実際、開始直後から勢いよく攻めてくるC大阪の攻撃への順応に10分弱を費やした。
だが、徐々に試合に慣れると東京Vも自分たちの色を出し始める。
「３バックの相手だけに、空いたサイドを狙いたい」とMF河野広貴が話していた通り、河野、滝澤邦彦の両サイドの突破に加え右・和田拓也、左・藤田優人のSBも積極的に上がり攻撃に加わった。トップ下として先発したレアンドロとのパスワークもテンポよく、明らかに流れが東京Vにあった中迎えた前半23分だった。
一瞬の隙をついたC大阪は、中盤でFWカイオが頭で送ったボールを受けたFW乾貴士が「香川君が走ってくるのが見えていました」と右からクロス。狙い通り中央にフリーで走り込んで来たMF香川真司がピタリと右足で合わせ、あっさりと先制した。

だが、東京Vは決して下を向かなかった。失点からわずか5分後、MF河村崇大が通したスルーパスに反応したのは河野だった。相手のDFラインをうまくかいくぐり、GKキム・ジンヒョンと交錯しながらも一瞬早く左足先に当て、上手くボールを浮かせてネットを揺らした。試合前、「もちろん狙っていますよ」とチームファーストゴールを宣言した18歳が有言実行して見せた。

その後も、FW大黒将志が精力的に走ってボールに絡んだり、何本ものパスをつないでC大阪ペナルティエリア付近まで攻め込んだりと東京Vペースは変わらない。が、ゴールの雰囲気は作りながらもパスミスや連携不足など‘最後の1本’が合わず、追加点のチャンスを自ら逸した形となってしまった。

試合後の会見で、レヴィークルピ監督が「前後半まったく違ったゲームになった」と語った通り、後半に入ると一方的なC大阪ペースゲーム展開となった。
香川、乾の突破はもちろん、ボランチのマルチネス、羽田憲司、両サイドの酒本憲幸、石神直哉らの崩しが効き始め、数多くを作った。
後半22分にセットプレーからチアゴが追加点を決めると、試合はほぼ決まった。

なんとか反撃に出ようと東京VもC大阪陣内にボールを運ぶが、何本ものパスをつなぎながらもバイタルエリアに入る前に押し戻され、結局シュート前に奪われて逆にカウンターを受け、DFが全力疾走するというシーンが何度もみられた。
C大阪にとっては、リードして相手を前かがりにさせカウンターを仕掛けるというのは、まさに狙い通りの展開だったはず。その意味でも、後半はC大阪のゲームだったと言えるのではないだろうか。
東京Vの高校生ルーキーDF高橋祥平が、プロ2試合目にして「C大阪の攻撃力は圧力が全く違った」と感嘆していた通り、その象徴ともいえる日本代表の香川、乾の個の能力はやはり際立っていた。

ただ、２連勝しながらもC大阪の選手たちに笑顔が見られなかったのは、後半だけで16本ものシュートを放ちながらもセットプレーによるわずか1点に止まったことも、少なからず原因があるだろう。「まだまだ課題は多すぎます」と、あまりの反省に苦笑した香川の言葉は心に残った。

一方、今季初黒星を喫した高木監督だが、試合後開口一番悔しさと反省を口にしながらも、直後「トレーニングをしたことがほぼ全て完璧に出ていたようなゲームだった」と、敗戦という結果の中では最高ともいえる賛辞を選手たちに贈ったのは、手ごたえをつかんだ何よりの証拠だろう。
チームとしては「まだまだ」と、土屋征夫はじめ選手たちは語るが、開幕・徳島戦と比べ内容も、勝利への意欲も確実に進歩していたといえるだろう。試合終了直後、サポーターに挨拶へ向かいながら早くも高橋、和田の両ルーキーが土屋から身振り手振りで教えを受けている姿が非常に印象深い。チーム全体にも向上心高い雰囲気が漂っている。
東京Vの監督・選手たちも「これからのチーム」と捉えているだけに、今後の前進に期待したい。

以上

2009.03.16 Reported by 上岡真里江