3月15日（日） 2009 J2リーグ戦 第2節
草津 3 - 2 福岡　（16:04／正田スタ／4,782人）
得点者：14' 都倉賢（草津）、32' 田中淳（草津）、44' 城後寿（福岡）、54' 廣山望（草津）、73' 黒部光昭（福岡）
☆顔写真クイズ｜勝敗予想ゲーム
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試合開始の約２時間前、スタジアムへと続くゲート前に陣取った草津サポーターは、迫力の重低音を発しながら選手バスの到着を待った。そして、バスがゲート前に差し掛かると、車体の前に群がりスタジアムまでの約１００メートルを共に進軍した。

無数のフラッグがはためく中、勇ましく響くチームコール。「初めてのことでびっくりしたが、勇気付けられた」（廣山望）。サポーターの手荒い?開幕儀式?でスタジアム入りした選手は、ピッチ上で闘争心をむき出しにしたプレーを披露。攻撃サッカーで天敵・福岡を撃沈し、クラブ初の開幕２連勝を果たした。

　草津はホーム開幕戦で、今季のスタイルを余すところなく表現した。佐野新監督は、左ＳＢに本来ＦＷの小池純輝を抜擢、攻撃的な姿勢を前面に出して試合に挑んだ。一方の福岡は、城後寿を右へ回し、中央へ宮原裕司、左に久永辰徳を起用、中盤に変化をつけて今季初勝利を狙う。

　序盤は福岡のペースだった。草津は大久保哲哉にポストプレーを許してＤＦラインが下がり、高い位置でボールが奪えない。福岡は、草津の前がかりになるサイドハーフと、サイドバックの間のスペースに起点を作ろうとした。しかし、草津は福岡の裏へ長いボールを放り込み、ラインに揺さぶりをかけると、相手のリズムがあっさりと崩れ始める。「ラインが下がって、空いたスペースに草津のＭＦが入ってきた」（城後）。

そして14分、先制点が生まれる。松下裕樹の絶妙なサイドチェンジから右ＳＢ佐田聡太郎がサイドを突破し、クロスを上げる。そのボールにファーサイドで合わせたのは都倉賢だった。「互いにバタバタしている時間での得点だったのでチームにとって大きかった」（都倉）。都倉の今季初ゴールによって草津は一気に主導権を手繰り寄せる。

追加点は32分。キャンプ中から徹底して訓練を積んだセットプレーから生まれた。廣山が蹴った右ＣＫに田中淳がヘッドで合わせて、ゴールネットを揺らす。福岡・篠田監督が「柳楽がブロックされ、草津がセットプレーのトレーニングを積んでいると感じた。対応しきれずに反省している」と振り返ったが、あとの祭りだった。

　２対０とした草津は、パスを自在につないで勢いに乗って攻め続けるが、44分に一瞬の隙からＰＫを与えて２対１で前半を折り返す。１点差に詰められた草津の背中を押したのは、サポーターの力だった。

　54分、右サイドを駆け上がった佐田がドリブルのスピードを緩めた瞬間に、コアサポーターが陣取るスタンドが沸きあがる。その迫力に鼓舞された佐田は対峙する相手に１ｏｎ１を仕掛けると、低いクロスを送る。それを２列目から抜け出した廣山が確実に流し込み３点目。草津は、廣山の移籍初ゴールで勝利を近づけた。

追い詰められた福岡は、田中佑昌、黒部光昭を投入して73分に１点を返すが、その３分後にＣＢ柳楽智和が２枚目のイエローで退場、反撃の機を逃した。福岡は、「移籍選手も多く、チームがまだ完成されていない」と黒部が話したが、個々の点を線で繋ぐ作業が必要となる。

　草津は、過去11戦未勝利の天敵・福岡に攻め勝った。ゴールを奪うためにリスクを負って総攻撃を掛けるスタイルは、エキサイティングだ。攻守の素早い切り替えをベースとした09シーズンのチームは、獲られたら獲り返すアグレッシブなサッカーを貫く。開幕２試合でみせた試合終盤のジェットコースターのような試合運びは修正の余地があるが、この勢いに乗らない手はない。

　開幕２連勝。草津のホーム・敷島に「魂」が吹き込まれた。今季の敷島は、とんでもないことが起こりそうな予感がする。

以上

2009.03.16 Reported by 伊藤寿学