3月15日（日）J1 第2節 新潟 vs 鹿島（14:00KICK OFF/東北電ス）
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開幕戦で初勝利を挙げた新潟が、ホーム開幕戦で王者・鹿島を迎え撃つ。キーマンはFW矢野貴章。今季採用した4-3-3のシステムでは3トップの右サイドに入る。前節は得点こそなかったが裏を狙ってゴール前に迫る動きを見せるなど、「らしさ」は披露した。ホーム初戦、自らの今季初ゴールでチームの連勝に貢献する。

鹿島は11日のACL・水原戦から中3日。コンディションにやや不安がある。それでも開幕戦の浦和戦の鋭いカウンターと堅守に見られるように、チームとしての熟成度は高い。対新潟戦は、リーグ戦ではここ4シーズン負けなしと相性もいい。王者らしく、持ち味を発揮して開幕2連勝を狙う。

「非常に楽しみですね」。鹿島戦を前に、矢野の口からは力強い言葉が自然に出た。浦和との開幕戦をビデオで研究した。攻守の切り替えの速さに警戒しながらも、「自分たちが新しいフォーメーションになって何ができるか。それを試すにはいい相手」と言う。

新潟は開幕のアウエィFC東京戦で4-1。J1昇格後初の開幕戦白星を挙げた。結果とともに、4-3-3の布陣の手ごたえをつかんだ。矢野は、左のペドロ・ジュニオール、中央の大島秀夫と並んで3トップの右サイドのポジション。得点こそなかったが、ペドロ・ジュニオールと並んでチーム最多の4本のシュートを放った。相手DFの隙を突いての裏への飛び出しなど、スピードを生かしたプレーを要所で見せた。

「大島さん、ペドロとうまく連係して動けた場面があった」。右に張っているだけではなく、中央、逆サイドへも走った。流動的に動くことで相手に守備の的を絞らせない時間帯を作った。鹿島戦ではそれを再現し、増やすことで自分たちの攻撃のリズムにつなげる。

なにより求めるのは結果。チーム、そして自らのだ。「8割ダメでも、最後のところで（ゴールを）取れれば」。FWとしてゴールゲットにかける意欲をこう表現した。昨季は6得点と目標の2ケタ得点には届かなかった。自分のゴールが遠いことと、残留争いを演じて13位にとどまったチームの苦闘が重なった。それを経て、「得点、ゴールの重みがあらためてわかった」。3トップのうち、ほかの2人は開幕戦で得点を決めた。矢野がホーム開幕戦で得点すれば今季の新潟の「売り」、3トップの得点がすべてそろう。矢野のゴールは誰よりもホームを沸かせる。

鹿島は開幕戦、ACLと、中3日が続く。主力が出続けているため、疲労の蓄積は否めない。浦和戦、ACLと途中出場の小笠原満男がスタメン出場する可能性もある。もっとも、コンディション以外の部分では不安要素は少ない。

開幕・浦和戦では鮮やかなカウンターで2得点。文句なしの勝利だった。ACL・水原戦では相手の徹底したロングボールの前にボールを奪う機会を失ったが、序盤はサイドで起点を作ってスピーディーな展開に持ち込むなど、すきを突く攻めを見せた。テレビ観戦した新潟の鈴木淳監督が「水原が強かった。鹿島の守備が悪かったとは思わない」と言うように、敗戦はチーム全体の歯車が狂ったわけではなかった。むしろ、ディフェンスラインの裏のケア、前線のプレスなど、修正点を確認し、高いモチベーションで新潟戦に臨んでくる。

新潟は、鹿島戦は分が悪い。ここ4シーズンは3引き分け5敗。リーグ戦では2004年のセカンドステージ第12節を最後に白星がない。鹿島の分厚い攻めと堅い守りの前に、チャンスを作れず押し込まれる展開になっていた。ただ、矢野が「今年は希望がある。鹿島だからどうというのではなく、自分たちの戦いをする」と言うように、今季は堂々とぶつかる自信がある。

接戦に持ち込み、少ないチャンスをものにすることで新潟の流れになる。鹿島は序盤からスピードと運動量で押さえ込みに来る。

自分たちの形で先制点を奪った方が開幕2連勝に近づく。

以上

2009.03.14 Reported by 斎藤慎一郎（ニューズ・ライン）