3月15日（日）J2 第2節 草津 vs 福岡（16:00KICK OFF/正田スタ）
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最高の内容ではなかったが、最高のスタートだった。佐野達新監督率いる草津は敵地で熊本を２対１で下し、記念すべき初陣を白星で飾った。開幕戦で戦果を挙げて帰還した草津の戦士たちは、勢いに乗ってホーム開幕戦を迎える。

草津が開幕戦で勝利を収めたのは06年以来２度目で、両試合ともアウェイ戦。Ｊ昇格後、過去４回のホーム開幕（うち２回がオープニングゲーム）は１分３敗と勝利がない。開幕２節・福岡戦に挑む草津が狙うのは、ホーム開幕初勝利、そして初の開幕２連勝だ。

開幕戦後の監督会見で、佐野監督は開口一番「我々が目指すサッカーとは程遠い内容だった」と不満そうな表情を見せた。自分たちのサッカーが出来なかったのは事実だが、指揮官が選手に何を求めるかは伝わってきた。試合終盤、ＦＷ都倉賢がファールを受けて倒れ込んだとき、「立て！」と叫び、闘い続けることを要求した。佐野監督は基本戦術としてトータルフットボールを掲げるが、ベースは「闘争心」だ。

開幕先発メンバーも様々な思惑が込められていた。10日の練習後、都倉の起用に関して触れた佐野監督は「開幕戦はああいう展開（落ち着かない試合）になると思っていたので高さのある都倉を使った」と漏らした。抜擢された都倉は期待に応えて制空権を支配。闘志みなぎるポストプレーで勝利に大きく貢献した。鬼軍曹の異名を持つ指揮官は、理想のサッカーを追求しながらも、一方で勝負に徹する柔軟性を持ち合わせている。

開幕戦という独特の雰囲気が漂うゲームで草津の選手たちは躍動した。都倉をはじめ、攻守で存在感を示した櫻田和樹、献身的なカバーでピンチの芽を摘んだ田中淳…、選手はそれぞれに個性を発揮した。そんな中でも際立ったプレーを魅せたのが廣山望だ。流動的な動きでトータルフットボールを実践、切れ味鋭いドリブルでサイドをえぐり高精度クロスを供給し続けた。「課題もあったが選手全員がファイトしていたし、素早い切り替えなどチームの特長も出ていた。開幕戦で勝てたことでチームは良くなっていく」と廣山。今季の背番号10は、草津を新境地へと導いてくれるかもしれない。

草津にとって今節の相手・福岡は天敵だ。過去11戦で２分９敗。いつの間にか福岡のリズムに引き込まれ、受身での戦いを強いられてしまう。開幕戦で福岡は、Ｊ初参戦・富山と対戦しスコアレスドローで終えた。熊本から移籍したストライカー高橋泰にボールが渡るシーンが少なく、チームが機能していない状態だ。しかし、佐野監督は「大久保、高橋の２トップは強烈だし、チーム力は相手が上だ。開幕戦で引き分けただけに気合を入れ直してくるだろう」と警戒を強める。草津は組織的な守備で福岡を分断し、奪ったボールを最短距離でゴールまで運びたいところだ。草津は前節、ＣＫから先制点を奪ったが、攻守においてセットプレーもポイントになる。また、熊本に突破を許し続けた左サイドの守備強化が求められる。

佐野監督は週の半ばに練習試合（紅白戦）を実施し、調子の良い選手を起用する方針を示している。今週も11日に日本大とテストマッチを行い、12日の練習を非公開とした。10日の練習後に「福岡戦でサプライズはあるか？」と指揮官に聞いたところ、「サプライズなんてない。うちは全員がレギュラーだ」と一喝された。福岡戦のスタメンは開幕戦から大きく変わることはないと思われるが、?サプライズ?が起きる可能性もあるだろう。15日（日）のホーム開幕戦は、バトルゲームを勝ち抜いた勇者たちが、草津の?誇り?を胸に敷島のピッチに立つ。今季の草津は、「闘争心」と「競争心」をエネルギーとしてＪ２を席巻する。

以上

2009.03.13 Reported by 伊藤寿学