3月8日（日） 2009 J2リーグ戦 第1節
岡山 0 - 0 甲府　（13:09／岡山／10,525人）
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試合は、岡山のエースストライカー・喜山康平の左足のシュートから始まった。前半5分までに、新加入のFW西野晃平（大分から期限付き移籍、昨季は水戸に所属）、甲府から移籍したばかりのボランチ・保坂一成、MF臼井仁志と、続けざまに甲府ゴールへ攻め込む岡山に、J2初戦への力みはない。高い位置からプレスを仕掛ける岡山スタイルのサッカーが積極的に生かされた、理想的な立ち上がりだ。ボールをとられても、喜山・西野の2トップがディフェンスラインにプレスにいくため、甲府は前線にボールを出せないまま時間が過ぎていく。

甲府の持ち味である早く小刻みなパス回しが機能し始めたのは、前半30分を過ぎた頃だった。甲府MF藤田健がボールを持つと、展開にリズムとバリエーションが生まれる。徐々に落ち着きを取り戻し始めた甲府だが、セットプレーでは、新加入の長身FW森田浩史が徹底的にマークされる。また大事な場面でマラニョンが決められないなど、惜しいチャンスを逃す。岡山はCB野本安啓を中心に、マークの受け渡しや、細かなラインコントロールを行ない、理想的なディフェンスを実践。西野、喜山とつないだパスを、前線に飛び出した保坂が受け、シュートを放つなど、観客席が湧くシーンもたびたび起こる。このまま終了するかに思えた前半だったが、ロスタイムに入った直後、臼井がMF石原克哉に対するタックルでレッドカードを受け退場。前線への動きだしの早い臼井の活躍が目立った前半だっただけに、口惜しさが残る折り返しとなった。

両チーム無得点のまま後半がスタート。10人となった岡山は、西野をトップに、喜山を臼井のいた位置につける4-4-1にフォーメーションを変更。プレスをかける位置が低くなり、ボールポゼッションは甲府が主体だ。岡山は自陣を守りながら、カウンター攻撃の機会を待つ。引いて守る岡山に、攻撃しあぐねる甲府は、後半16分、松橋優・大西容平に代えて、金信泳・美尾敦を投入。前線に高さのある選手を並べ、引いたところを裏に入るようにという意図である。しかし金（信泳）の鋭いシュートを岡山GK李彰剛がはじき、ナイスセーブ。流れはどうしても岡山に引き寄せられ、0-0のまま試合は終了した。

開幕戦で勝点3が欲しい甲府の硬さが出てしまった戦いだった。JFLでの昨季から徹底的に守備力強化に取り組んできた岡山は、後半の45分間、声を出し、集中して堅い守りで持ちこたえることが出来た。しかし手塚聡監督が言うように、今日の守りが「スタンダード」。そうなるよう鍛錬していくことが、岡山が残り50試合を楽しむための条件でもある。

以上

2009.03.08 Reported by 尾原千明