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【J2日記】札幌:グラウンドの除雪作業(09.03.04)

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チームがキャンプ地の九州でニューウェーブ北九州との練習試合を行った3月1日、ホームタウンの北海道札幌市ではクラブ職員と、その呼びかけに応じたサポーター有志およそ300人以上が、冬期間は屋外に置かれていた札幌ドームの天然芝サッカーグラウンドにスコップ等を持参して集い、毎シーズン恒例の除雪作業を行なった(天然芝を保つにはサッカーグラウンドをドーム内に入れたままでは難しい)。

もちろん、すべての除雪作業を人力で行なうわけではない。ある程度の高さまでは除雪機械で行なうことができるのだが、グラウンドの表面ギリギリの高さからは機械ではなく手作業で行なわなければ芝生に傷がついてしまうのだ。
 今シーズンは6年ぶりに地元で開幕戦を行なう(3月8日・対仙台)。とはいえ、3月上旬の札幌市内にはまだまだ雪が降るためグラウンドの除雪作業をしなければ開催をすることができない。そしてその作業を業者に委託してしまうとかなりの額の経費がかかってしまう。それが、サポーター有志らが立ち上がることによって限りなくゼロに近づくのだから心強い。無事、ホームでの開幕戦を迎えられそうな気配だ。

そんな札幌サポーターのスタジアム外でのパワーは、なにも開幕前だけでなく、常日頃から感じ取ることができる。
練習場である札幌市西区の「宮の沢白い恋人サッカー場」では、練習が終わると数多くのサポーターがグラウンドに下りて芝生の痛んだ部分を補修する作業を行なう。その光景を連日、目にすることができる。小さな子供からお年寄りまで、その年齢層も幅広い。慣れた手つきでドンドンと作業を進めていく常連さんとおぼしき人も多数だ。

「かつてはサッカーにはまったく興味がなかったけれど、コンサドーレが出来てからはすっかりハマってしまった。定年退職をしてからは、時間があるときにはこうして宮の沢にきてグラウンドを直すことを日課にしているんだよ。以前は定年後に何をしようか悩んでいたけど、まさかこんな毎日を過ごすとは思わなかった(笑)。自分が直したグラウンドで選手が練習して試合に挑むんだから、こっちも気合が入る。勝ったときは、やっぱりすごく嬉しいよね」
ある日、グラウンドの補修作業を終えた男性と話をさせてもらう機会があった際、このように聞かせてくれた。地元にチームが誕生したことが、この男性の人生に大きな影響を与えたということなのだろう。

リオネル・メッシやカカーといった欧州リーグのスターが魅惑的なプレーを披露すると、その映像は世界中に配信されて大きな注目を集める。だが、そうした世界的なプレーヤーといえども極東の国・日本の札幌という場所に住む、それまでサッカーに興味のなかった男性の定年退職後の生活に影響を与えることは難しいだろう。それができるのは、やはり札幌の選手なのだ。身近に住む若者たちが、自分の触った芝で練習に励み、目標に挑む。そうした日常というのはプライスレス。ある意味では、莫大な年俸を稼ぐワールドクラスの選手のスーパープレーよりも重い価値があると言っていいだろう。

「勝ったときは、やっぱりすごく嬉しい」
前出の男性はこう言った。でも、負けた翌日も変わらずに宮の沢に来てグラウンドを直すのだという。

昨年の札幌は6シーズンぶりにJ1の舞台に挑みながらも、ことごとく黒星を重ねてJ2へと降格した。夏場以降はほとんど勝てなかった。それでも、練習後にグラウンドの補修作業に参加するサポーターの数はまったく減っていなかったような気がする。
秋口になると、札幌市内は日が暮れるのが一気に早くなる。ときには真っ暗な中で、サポーターが芝生の補修に励んでいるような日もある。もちろん、冷たい雨の日だってある。それでも、多くのサポーターが黙々と芝生の補修をするという光景は毎日変わらない。そうした姿を見ると「このクラブにはそのうちきっと良いことがあるはずだ」と思ってしまう。もちろん、根拠なんてない。でも、そう思ってしまうのだから仕方ない。

以上

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2009.03.04 Reported by 斉藤宏則
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