12月29日（月）第88回天皇杯準決勝 Ｆ東京 vs 柏（13:00KICK OFF/エコパ）
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　2008年も残すところ3日となる12月29日（月）、天皇杯の準決勝のFC東京vs柏レイソルが、静岡県のエコパスタジアムで開催される。

　FC東京は、仙台で開催された準々決勝で清水エスパルスと戦い、赤嶺真吾の2ゴールで１−２の逆転勝利。クラブにとっては、東京ガス時代の1997年以来、FC東京となってからは初のベスト４進出を決めた。一方の柏レイソルは、岡山でサンフレッチェ広島と対戦。２−２で90分を終え、延長戦に突入。フランサのゴールで、準決勝に勝ち進んだ。過去、日立時代は優勝経験もあるが、柏レイソルとなってからは、1999年にベスト４に進んで以来のこと。ともに、それぞれにとって、クラブに新たな歴史を刻み込むため、決勝の地、元日の国立競技場を目指す。

　『３６５日右肩上がり』を言い続けてきたF東京の城福浩監督は、「一日でも長くやれるのは大事なこと。自分たちのやってきたサッカーを、個としてもチームとして出し切れる試合にしたい」と、試合に向けての気持ちを語った。「もう一度ここに帰ってきて練習しよう。これを全体練習の最後になってはならない」というメッセージを選手たちに伝え、前日練習を締めくくった。

　F東京は、準々決勝で警告を受けたDFの茂庭照幸が警告累積で出場停止。そこに入るのは、チーム最古参の藤山竜仁。「こういう大事なときにチャンスが巡ってきた。今サッカー界はなかなか大変で、みんなも苦しくなってきてるようだけど、オーバー30がまだまだ必要だって言うところを見せたい」と表情を引き締める。
「こういう世の中、『若いほうがいい』という流れがあったりして、年を重ねるごとに逆らえないところもある。でも、戦って結果を残して、生き残っていく姿を見せたいし、そういう世間の状況を覆すくらいのパフォーマンスをしてみせたい」と、サッカー界のみならず、同世代の働く人たちを代表して戦いたいという思いもある。
そして、「ここまで生き抜いてきたし、これからも生き抜いていきたいと思っている。現役にいるうちにアジアを経験して、それが後の自分の将来にも、FC東京がレベルアップすることにとっても大事なこと。勝って、みんなで国立にいきたい。何が何でも勝って、ここに帰ってきて、みんなで国立にいきたい」と、遠征に向かうバスに乗り込んでいった。

　対戦相手が柏であるということに関し、決定した直後に「自分のプレーを見せたい」と意気込んだ鈴木達也だが、前日練習後には「柏だからといって、力が入り過ぎないように、それだけは気をつけようと思います」と笑ってみせた。しかし、「今シーズン途中にここにきて、ここの一員となった。今日もサポーターの人から、『決勝に連れて行ってください』と言われ、そういう思いを背負って戦えることを誇りに思う。僕自身はこの小平で一日一日ベストを尽くして、チャンスをもらって試合で結果を出してきた。それがまた明日のピッチで出せるように、いつもどおりやりたい」と、内に秘めた思いは熱い。

　古巣対戦という意味では、鈴木がF東京に移籍したと同時期に柏へと移籍した栗澤僚一もそうだ。「お互いのプレーを知っている同士だけど、今はレイソルの一員として決勝にいくことだけを考えたい」という。『あくまでも、冷静に』というところが彼らしいところだ。
　一方、対戦相手がF東京となり、「FC東京に決勝に行かせたくないという気持ちがある。絶対に勝つ」と熱い思いを口にしたのは李忠成。しかし、彼がそれ以上に強い思いを見せるのは「石さん（石崎監督）のため」ということ。３年間チームを指揮してきた石崎信弘監督が今季限りということが決定している柏。その石崎監督は、ある日のミーティングで、選手たちに「優勝してうれし泣きをさせてくれ」「国立に連れて行ってくれんかのう」と伝え、選手たちの気持ちもより強くなったという。

　五輪予選のメンバーに選ばれ始めた頃、「石さんのおかげで自分は変われた」と語っていた李。準決勝を前に、「石さんに対してのみんなの気持ちも強いと思うけど、一番お世話になった分、誰よりも僕の気持ちは強い。石さんの最後、有終の美を飾ってもらいたい。石さんにタイトルをとらせたいってみんなで思っています。だから、絶対に勝つ」と、その思いを話し出したらとまらないほどだ。

　それぞれ、元日の国立への想いを胸に秘め、戦いのときを待っている。ピッチでその思いを叶えるのは、どちらのチームになるのか。
準決勝、F東京ｖｓ柏は、午後1時キックオフ。

以上