12月10日(水) 2008 J1・J2入れ替え戦
仙台 1 - 1 磐田 (19:04/ユアスタ/18,974人)
得点者:41' ナジソン(仙台)、53' 松浦拓弥(磐田)
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アウェーでの1ゴールとドロー。それはまさに「最低限の結果」(村井慎二)だった。ただ、試合内容も含めて、次のホームゲームに向けて一定の手応えを残したゲームでもあった。
前節からスタメンを2人入れ替えただけ(加賀健一→茶野隆行、山本康裕→村井慎二)で、初めてのユアスタに臨んだ磐田。サポーターの声が非常に大きく反響する独特の雰囲気があったが、磐田イレブンは入れ替え戦のプレッシャーに屈することなく、立ち上がりからきっちりと自分たちのサッカーをするという姿勢を見せた。仙台の選手たちが球際で非常に激しく来たが、それにひるむこともなく、当たり負けすることもなく、パスをつないでボールをキープし、サイドから崩していくという意識をしっかりと表現した。
だが、エースの前田遼一が仙台守備陣に徹底して挟みこまれ、前半はハイボールも足下へのクサビもなかなか自分のものにすることができず、思うように攻撃の基点となることができない。そのため全体を押し上げて厚みのある攻撃をするという点では物足りなかった。
それでも、ジウシーニョやトップ下の松浦拓弥が、相手のサイドバックが上がった裏のスペースに流れて長いパスを受け、そこから両サイドの駒野友一や村井慎二が絡んでクロスを送るという場面は何度か見られた。しかし、仙台のセンターバックがクロスボールに対してかなり強く、これもなかなかビッグチャンスにはつながらない。前節・大宮戦のように縦に急ぎすぎることがないのは良かったが、前半は仙台の気持ちの入った守りの前に、本当に決定的と言えるチャンスを作ることができなかった。
守備のほうは、鈴木秀人と岡田隆のストッパーと茶野のスイーパーという3バックの組み合わせ。おもに鈴木がナジソンを、岡田が中島裕希をマークするという形で相手2トップに対応した。中盤に関しては、2列目の梁勇基や関口訓充が流動的に動き、サイドバックも積極的に上がってくるため、マークを受け渡しながら対応するという形をとっていた。
その中でナジソンにはあまり仕事をさせなかったが、中島にはうまくボールをキープされ、そこにサポートに入る梁や関口に対するマークも甘くなって、バイタルエリアで前を向いてボールを持たれる場面が多くなってしまう。すると仙台は、素早く裏のスペースを狙うパスを出し、序盤はそれに対して後手後手の対応になるシーンが多くなった。
「最初は(仙台が)どんなサッカーをしてくるのか戸惑っていた」(茶野)、「前半は相手のスピードに慣れるのに時間がかかってしまった」(岡田)とDF陣が振り返ったように、(今のメンバーで)初めて戦う相手に対応しきれない部分もあった。
とくに磐田の左サイド、つまり仙台にとっての右サイドは、ホームチームのストロングポイントでもある。中島や関口にサイドバックの菅井直樹も絡み、そこに梁からのパスも加わって、厚みのある攻撃を仕掛けてきたが、そこへの対応も万全とは言えなかった。それでも、クロスやスルーパスからのゴール前の場面では、決定機に至る前に全員が身体を張ってよく食い止めていた。
しかし前半41分、梁のパスから右に流れたナジソンに裏をとられ、そのままドリブルで持ち込まれて右からの強烈なシュートで先制点を奪われてしまう。徐々に守備を修正しつつあった時間帯だけに、ミスも絡んだワンチャンスからの失点は非常に痛かった。
だが、前半の内容をポジティブに受け止めていたオフト監督は、「この3ヶ月で最もいい試合をしている。このまま続けろ」と言って選手たちを後半のピッチに送り出す。選手たちもその言葉通り、狙いは前半と同じで、より積極的に戦うという姿勢を全面に出した。前半で右肩を痛めていた鈴木が、開始2分で大井健太郎と交代したが、急に出番が来た大井もうまくゲームに入ることができていた。
そして後半8分、駒野の右クロスに前田が競って、落としたボールからジウシーニョが後方に下げ、松浦が左足でミドルシュート。これが鮮やかにゴール右に突き刺さり、磐田は貴重な同点ゴールを奪うことに成功。「左足だからかえって力まずに蹴れた」と振り返る19歳の松浦の一発が、窮地に立たされていたチームを救い上げた。
その後、ホームの仙台も勝利を狙って攻めに出てきたが、展開は徐々に磐田ペースになっていく。前半で見えた守備の問題点もかなり改善され、仙台の動きが少し落ちてきた中で、前半より高い位置でボールを奪える場面も増えて、DFラインを高く保ちながら相手陣内で戦う時間が多くなった。
前田が前線でボールをキープできる場面が多くなったことも、その流れに拍車をかけた。前田を経由してサイドに展開すれば、中盤の押し上げができ、クロスが入ったときもゴール前の人数が増え、セカンドボールもより多く拾えるようになる。
15分にジウシーニョに変わって入った萬代宏樹も、慣れ親しんだ古巣のピッチでよく攻撃に絡み、28分の松浦のシュート、30分に前田が裏に抜け出した場面など惜しいチャンスを作って、ゴールの匂いを漂わせ始めた。とくに33分の攻撃では、村井→前田→松浦とワンタッチでつないで鮮やかに左の裏をとり、松浦からの折り返しは萬代に通らなかったが、磐田らしい崩しを披露した。
だが、最後のところでは仙台に粘られて勝ち越し点を奪うことはできず、ときおりカウンターからヒヤリとする場面は作られたが、それも抑えきってスコアは動かないまま1-1のドロー。アウェーで勝利するチャンスがあったことを生かせなかったのは残念だが、後半の戦いは、第2戦に向けて良い手応えを残すものであったことは間違いない。
ただし、「我々が成し遂げたことはまだ0%。今日は前半が終わっただけ」とオフト監督が言うように、すべては次のホームゲームにかかっている。この試合で見えた収穫と課題をしっかりと反芻(はんすう)し、土曜日のゲームにすべての力を尽くすだけだ。
以上
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