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【FCWC特集】南米代表チャンピオンとなったリガ・デ・キト(エクアドル)のクラブの歴史と現在を紹介!(08.12.05)

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数々の名門クラブを撃破し、南米チャンピオンに輝いたリガ・デ・キト。ブラジル、アルゼンチンなどのクラブに比べれば日本での知名度は低いが、エクアドル随一の人気クラブだ。そして今年のFCWCではマンチェスター・ユナイテッドを倒すべく入念な準備をしている。そんなリガ・デ・キトとはどのようなクラブなのかをみっちりと紹介!

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 リーガ・ウニベルシタリア・デ・キト(Liga Universitaria de Quito)、通称リガ・デ・キトは、赤道直下の国、南米エクアドルの首都キトに本拠地を置くクラブである。サポーターからは、「リーガ」または「ロス・アルボス(白衣軍団)」の愛称で呼ばれている。数々の南米強豪を抑え、エクアドル勢として初の南米選手権(コパ・リベルタドーレス)制覇を成し遂げ、今年のFIFAクラブワールドカップへの出場権を獲得した。ここでは、日本において知名度が低く、ほとんど知られていないリガ・デ・キトとエクアドル・サッカーを、ほんの少し紹介していきたいと思う。ブラジル・サッカーとアルゼンチン・サッカーが主流と思われている南米サッカーではあるが、エクアドルにおいてもサッカーの人気は根強く、国技と言っても過言ではない盛り上がりがある。

 エクアドルのサッカーリーグは、セリエA(12チーム/1957年誕生)、セリエB(10チーム/1971年誕生)の2つのディビジョンで構成されており、キトには、リガ・デ・キトをはじめ、ウニベルシダ・カトリカ、エル・ナシオナル、デポルティボ・キトの4チームが存在する。キトのサッカークラブは、海抜2850mという高地にあるため、特に海外チームとのホーム試合においては、対戦相手泣かせと言われる。
LDUは元々弱小チームであったが、クラブ誕生から78年の歳月を経て、近年は9回の国内リーグ優勝、南米大陸でも頭角を表し、2004年のコパ・スダメリカーナでは準決勝まで進出。そして、2008年7月2日、歴史的偉業であるコパ・リベルタドーレスで優勝を飾り、ついにエクアドルのみならず南米最強クラブとなった。また、エクアドル代表にも大きく貢献しており、2002年日韓W杯、2006年ドイツW杯の代表チームに多くの選手を送り出している。

 これまで、エクアドルのような小国のクラブがコパ・リベルタドーレスの激戦区を突破するのは困難に思われてきたが、1980年代後半を境に、エクアドル・サッカーは大きな成長を遂げた。  
90、98年には、エクアドルの第二都市、グアヤキル(港湾都市、首都キトの外港)に本拠地を置くバルセロナCSがコパ・リベルタドーレスの決勝まで進むが敗れている。また、代表レベルでは、2002年日韓W杯で、エクアドルは初のW杯出場を決めている。予選リーグで敗退したものの、この功績は、エクアドル国民に大きな喜びと希望をもたらした。そして、リガ・デ・キトの今年のコパ・リベルタドーレスの歴史的快挙は、紛れもなく、エクアドル・サッカーの歴史、そして、未来に、新たな希望をもたらせた。

余談であるが、2002年初のW杯出場を機に、「si se puede!(シ・セ・プエデ!=成せば成る!)」が、エクアドル国民をはじめ、サッカーサポータの口癖、合言葉となっている。今大会のリガ・デ・キトサポーターは、このフレーズを各試合で大合唱するに違いない。横浜での決勝を夢見るリガ・デ・キトにとって、大きなモチベーションを与える魔法の言葉であり、リガ・デ・キトの日本サポーターにも、是非覚えていただき、「シ・セ・プエデ!」の掛け声で応援していただきたいものである。

【エクアドルサッカーの歴史】
エクアドル・サッカーの起源は、19世紀初頭に遡る。英国から帰国した、ある留学生グループがグアヤキルに持ち帰ってきたお遊びから始まったと言われている。その時から、サッカーに魅了されたエクアドルの青年たちは、学生チームや企業型チーム、地域型チーム…といったように、仲間内でさまざまなサッカーチームを結成していった。やがて、サッカーは国中に広まり、州大会レベルまで発展したのが現リーグのはじまりである。1957年、公式に国内のプロサッカーリーグが発足された。

リガ・デ・キトは、1930年11月、エクアドルのセントラル大学のサッカークラブとして、医大生とその教師たちによって結成される。いわゆる、医大生坊ちゃんたちのアマチュアチームとしてスタートしたのである。未だに金持ち層クラブのイメージが付いているのは、この頃の名残りである。初代のユニフォームは、医師の白衣にちなんだホワイトカラーに赤ラインの入ったTシャツ、ショーツは青であった。年々デザインに多少の変化は加えられてきたが、クラブ結成当時の選手をはじめ、サポーターの多くが医大生であったことを重んじ、未だユニフォームカラーは変更されたことがない。クラブ・ロゴのUはユニバーシティー(大学)とユニバース(宇宙)を意味し、赤と青に染められた逆三角形のロゴは、知識と真心、キト市(赤と青はキト旗のカラー)を表している。

1969年、リガ・デ・キトは初のリーグ優勝を飾るが、その後低迷し、セリエBに降格する。しかし、コロンビア出身のレオネル・モントヤ監督指揮の元、74年にセリエAに返り咲き、74年、75年と連続のリーグ優勝を果たす。同時に、連続してコパ・リベルタドーレス準決勝まで進出する。当時のリガ・デ・キト最強チームを構成していた、ポロ・カレラ、オスカル・スビア、ホルへ・タピア、グスタボ・タピア、ワルテル・マエソ、ラミロ・トバル、J.J.ペレス、ルベン・スカリセ、ルイス・デ・カルロス、ロベルト・ススマンらの名は、黄金期の名選手たちとして、クラブの歴史に大きく刻まれている。その後、2度のリーグ準優勝を果たすが、1990年代に入るまで、実に15年もの間、ビッグタイトルから遠のくのである。

低迷を続けていた1990年、74-75年の黄金期のスター選手の一人、ポロ・カレラが監督として指揮を執っていた。シーズン前半は、チームのセリエB降格が危ぶまれるほどにチームは最悪な状態に陥ったが、シーズン後半から、不死鳥の如く奇跡的な復活を見せ、15年振りにリーグ優勝を飾った。以降、1998年、1999年、2003年、2005年、2007年とタイトルを獲得。エクアドル・リーグの強豪チームとして、常に優勝争いに加わる、エクアドルを代表するクラブへと成長した。

【現在のリガ・デ・キト】
コパ・リベルタドーレス優勝後、大会におけるMVPを獲得した攻撃の要であったジョフレ・ゲロン(MF)がヘタフェ(スペイン)へ、右サイドをカバーしていたエンリケ・ベラ(MF)がアメリカ(メキシコ)へ移籍した。このことにより、中盤を支える貴重な中核選手を二人も失い、大きな戦力ダウンを余儀なくされている。更に、怪我人が続出し、8人の主戦力選手を失い、リズムが狂い、コパ・リベルタドーレス優勝当時のチーム状態ではなく、最近まで瀕死の状態に立たされていた。しかし、ここ数ヶ月、散々なチーム状態であるにも関わらず、国内リーグにおける順位は3位と、リーグ優勝は遠のいたが、現在も南米王者としての意地は保っている。ただ、ゲロンとベラの穴を埋めるのはかなり困難であり、中盤に大きな爆弾を抱えている。しかし、ここへ来て、負傷選手が続々と復帰し、不安定ながらもクラブワールドカップに向け調子を上げてきている。

チームを引っ張るのは、リガ・デ・キトのスター選手、ホセ・セバジョス(GK)、パトリシオ・ウルティア(MF)、ルイス・ボラーニョス(MF)、クラウディオ・ビエレス(FW)、アグスティン・デルガド(FW)の5名。特にキャプテンのパトリシオ・ウルティアと守護神、ホセ・セバジョス(GK)が中心となっている。ウルティアの広い視野を活かした守備、盛んに攻撃参加しながらの献身的なプレーはサポーターから深く愛されている。セバージョスは、コパ・リベルタドーレス決勝の運命のPK戦で、3つものスーパーセーブを見せ優勝に大きく貢献している。37歳の大ベテランだが、バルセロナCS時代にはコパ・リベルタドーレス決勝、2002年の日韓W杯を経験している、エクアドル・サッカー史上屈指のゴールキーパーと言われている。今年、4年振りに代表に返り咲き、南米予選に招集されている。経験に裏打ちされた落ち着いたセービングでリガ・デ・キトを救ってきた。

ボラーニョスはコパ・リベルタドーレスでチームの得点王(5ゴール)となっている、攻撃的なMFである。チームが攻撃に徹すると、アンブロッシ(FW)とコンビネーションを組み、左サイドから多くのチャンスを生み出してきた。ビエレル(FW)は、常に1トップとしておかれるが、守備にも盛んに参加する。チームの大事な局面では必ず得点する、勝利には欠かせない絶対的存在である。控えにはかつてのエクアドル代表の重鎮ボランチ、アルフォンソ・オブレゴンや、エクアドル史上最高のストライカー、2002年日韓W杯でも活躍した、アグスティン・デルガド(FW)もいる。

そして、忘れてならないのが、アルゼンチン出身のバウサ監督である。彼は多くのアルゼンチン人選手を起用しながら、基本的には3-6-1のワントップシステムで、守備重視のオフェンシブなサッカーを目指している。アルゼンチン・サッカーがここ最近、大事な試合で守備の崩壊から、痛い敗戦を喫している反省を活かし、守備を固めることで試合を支配し、数少ない、まさにワン・チャンスで確実に得点を決める、南米サッカーの本流を融合させたチーム作りに成功していると言えるだろう。怪我人や主力選手の移籍で、やや不安が残るが、守備的布陣から一転爆発的な攻撃を仕掛ける、言わば「新・南米スタイル」ともいうべき南米王者リガ・デ・キト が、FIFAクラブワールドカップという大舞台で、その実力が発揮できるか注目したい。

リガ・デ・キトの詳細なクラブの紹介記事はこちらから!

Reported by 中谷綾子・アレキサンダー
協力:ラミロ・クエバ
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