今日の試合速報

ACLE
ACLE

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第44節 甲府 vs 福岡】レポート:ホーム最終戦で一発に沈んだ甲府。誇りたくても誇れない、もどかしさと悔しさが残った。(08.11.30)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
11月29日(土) 2008 J2リーグ戦 第44節
甲府 0 - 1 福岡 (14:03/小瀬/10,729人)
得点者:85' 中村北斗(福岡)
携帯でこの試合のダイジェスト動画を見るなら - ライブサッカーJ -
J2 2008シーズン投票 | ウルトラフォトクイズに挑戦!

----------
サポーターが作った試合の始まりの雰囲気は完璧で荘厳だった。しかし、終わりは心の抵抗が崩れて「どうでもいいや」となってしまうのが怖い終わり方だった。

「甲府がチャンスを作って、相手にチャンスを与えない内容。でも一発のチャンスを決められて負けてしまえば、『自分たちのサッカー』に対する誇りをアピールすることも出来ないし、評価もしてもらえない。だから余計に悔しい」
FWの大久保哲哉(190センチ)に合わせる福岡に対して、後半はボールの出所に対するプレスのやり方を修正して殆どやられる気配はなかった。しかし、85分に中村北斗のミドルシュート一発で誇りをアピールするチャンスも意欲も封じ込まれたホーム最終戦。甲府GK・阿部謙作はこう悔やんだ。

J1昇格争いから脱落してしまった甲府(7位)と福岡(9位)の戦いは、お互いに凄く良い訳ではないが、悪くもない内容で立ち上がった。チームを去る選手を「勝って送り出そう」という雰囲気があった甲府だが、ボールの失い方に問題があって決定機を作る前の段階でチャンスを減らしていた。しかし、守備ではボールの出所に対するアプローチがある程度徹底出来たことで、思わず「キャー」と言ってしまうような場面は殆どなく、前半の45分間は長くも短くもない印象のまま0−0で終えた。福岡の左サイドバックの中島崇典が素晴らしい選手であることは判ったが、彼の能力の高さを消すディフェンスは出来ていた。ただ、試合後の監督会見を聞くと、「(失点)ゼロでロッカーに帰ってくることが出来て(前半の)目標は達成できた」(篠田善之監督)と、福岡にとって0−0の前半は価値ある内容だった。

後半は甲府のプレスの修正が出来て、福岡のチャンスは前半より少なかった。しかし、甲府のチャンスが劇的に増えたわけでもなかった。その流れが少し変わったのは60分に宇留野純がサーレスに代わって出場してから。8人の選手の契約満了が発表された11月25日ではなく、試合前日の28日に宇留野も契約満了が発表された。彼にとっても小瀬をホームに戦うのは最後。「遅すぎた」と本人は言うが、終盤になってキレのあるプレーでチームに貢献してくれた宇留野は、美尾敦とのコンビネーションの良さを発揮してチャンスを作る。「2人のコンビネーションはもともと良かったんだけど、(マラニョン、サーレスの加入後は試合に出られない期間が長かったので)2人が同時にピッチに立つチャンスが殆どなかった」と宇留野は言う。その1枚が欠けることは残念としか言いようがない。

後半の20分過ぎから始まった甲府のチャンスタイム。福岡は選手交代をしながら凌ごうとするが、思うようなサッカーが出来ないことで選手がイラついていることはスタンドからも判った。しかし、耐えてチャンスを活かすという意欲は失っていなかった。37分にはロングスローと思わせて甲府の選手を下げさせてから、短いボールを入れて、フリーでクロスを蹴って決定機を作った。福岡FWハーフナー・マイクのヘッドは枠の外で不発だったが、チョット嫌な場面でもあり、福岡の選手の強かさを見た気がした。内容判定では2‐1で甲府の勝ちのような雰囲気だったが、多くの人が思っていたであろう嫌な予感が当たってしまう。85分に右サイドから福岡FW田中佑昌が大久保を狙って上げたクロスが裏に流れて、それを拾った城後寿が中央の中村に入れる。ゴール前でサイドチェンジをやれた形になった甲府の選手はマークをやり直すが、中村はダイレクトで打たずに寄せてきた選手をかわして、インフロント気味に打ったシュートでゴールネットを揺らした。この一発で福岡は7月26日以来のアウェーでの勝点3を手にし、甲府は中位以下には取りこぼしていないという最近の評価と自分たちのサッカーを誇るチャンスを失った。

フランス代表チームで将軍と呼ばれたミシェル・プラティニ(UEFA会長)が「サッカーに真実はない」と言ったと何かの本に書いてあったが、甲府のサッカーも2つ以上の真実をもったまま08シーズンを終えようとしている。この現状がもどかしく悔しい。現時点で公表されている9人と、これから追加されるであろう名前に何人もの主力が含まれていれば、19世紀のサッカーに戻ってしまうという不安は残ったまま。J1(レベル)の選手がJ2に落ちてJ1に戻った広島と、J2の選手がJ1に上がってJ2に落ちた甲府を同列に見てしまった今シーズン。補強の必要性を言った海野社長の直感は当たっていた。

甲府・安間貴義監督が会見で言った「本当の甲府の姿」を、甲府に関わる全ての人が同じ価値観で持ち、共有できなければ来年もつまらない齟齬が火種になる可能性が残る。安間監督に続投要請があったと地元紙に書いてあったが、契約交渉で「来年は4−4−2のゾーンディフェンスでやる」という話を聞かされた選手もおり、秘密の場所では多くのことが決まっているようだ。「自分は器用ではないので最後の試合が終わるまでそのことは考えられない」と安間監督は答えを保留している。サッカーはシステムでやるものではないが、「4−4−2のゾーンディフェンス」が「J1昇格」を果たすためだけのサッカーではなく、「日本人が世界で戦うためのサッカー」であることでも祈っておけばいいのだろうか。

以上

2008.11.30 Reported by 松尾潤
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

テレビ放送

一覧へ

明治安田J1リーグ 第37節
2024年11月30日(土)14:00 Kick off

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/11/25(月) 10:00 【週末のゴールをイッキ見!】明治安田J3リーグ全ゴールまとめ【1124】