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【J2:第43節 水戸 vs 甲府】レポート:組織力を欠く水戸。2つのPK、2人の数的優位を生かせずに敗戦。甲府は主力4人を欠きながらも、サポーターに勝利のプレゼント。(08.11.23)

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11月23日(日) 2008 J2リーグ戦 第43節
水戸 1 - 2 甲府 (13:04/笠松/4,023人)
得点者:2' 宇留野純(甲府)、44' 赤星貴文(水戸)、67' 宇留野純(甲府)
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 試合終了間際に得たPK。赤星貴文が放ったボールはゴールマウスの上に逸れていき、水戸は1対2で敗れることとなった。2人の数的優位、2つのPKを得るという恩恵を生かせずに敗戦。だが、この敗戦が赤星の責任ではないことだけは自明のこと。最後までチームとしての一体感を見せることができなかったことが最大の敗因と言えよう。

 水戸は「中盤を流動的にして後ろから出て行った方が優位に戦える」(木山隆之監督)ことを狙い、通常の4−4−2ではなく、4−5−1を採用。また、「両サイドを積極的に使いたかった」(木山監督)ため、攻撃的な金澤大将を右サイドバックに起用して試合に臨んだ。しかし、チームはまったく機能しなかった。1トップになったことで前線からプレスをかけられず、「チームとしてプレッシャーをかける位置があいまいでうまくいかなかった」(平松大志)。甲府のパスワークに翻弄され、開始からわずか2分、左サイドを崩されて失点を喫してしまった。

 その後も攻守において連動性のない水戸は再三サイドの裏のスペースを突かれ、ピンチの連続。ビジュと平松が奮闘し、なんとかゴールを守ったものの、主導権を握れないまま時間は過ぎていった。だが、水戸に幸運が訪れる。前半ロスタイム、左サイドから強引な格好で切り込んだ小澤雄希がペナルティエリア内で倒されてPKを獲得。赤星が落ち着いてゴールに蹴り込み、ラッキーな形で同点に追いつくこととなった。

 しかし、後半に入っても甲府ペースは変わらず、水戸は67分にCKから失点し、再びリードを許してしまう。なかなかリズムがつかめない水戸だったが、75分、金澤に対して激しいスライディングタックルを見舞った輪湖直樹が一発退場となり、数的優位に立ったことで主導権を握ることとなった。

だが、その状況を生かすことができないのが今の水戸の現状である。「相手が1人減ってもチームに落ち着きがなかった」(金澤)水戸はボールを前に送るだけで、攻めているように見えたものの、意図的に作り出したチャンスは皆無。「攻撃の工夫が足りなかった」と平松が振り返るように、数的不利となり引いて守る相手に対して、スペースを作る動きや相手を引き出す動きなど連動性のある攻撃を繰り出すことができなかった。終了間際、ペナルティエリア内で大和田真史が倒され、PKを獲得するという幸運が訪れるものの、これも生かすことができず、水戸は敗れることとなった。

長かったリーグ戦も残り3試合、1年間の集大成を見せたいところであった。しかし、この日の水戸からそれを見ることができなかった。それはこの試合に限ったことではなく、リーグ戦終盤、ずっと続いていることである。特に攻守において個人に頼りすぎるプレーが目立っており、組織力はリーグ中盤の頃と比べて明らかに低下してしまっている。攻撃に関しては簡単にロングボールを蹴ることが増え、相手のミスを狙って攻めるという偶然性に頼ったサッカーとなっており、守備に関しても「プレスの位置があいまい」(平松)で、平松やビジュの守備能力がチームを救っている状態だ。そうした状態が顕著に現れたのが、右サイドバックである。これまでの鈴木和裕や中村英之といった「守備がメインの選手」(木山監督)に代わり、攻撃的な金澤が起用されたが、チームとして彼を生かす術がなく、そこから一貫したチームコンセプトを見出すことはできなかった。

「水戸は個の力が高い」と甲府・安間貴義監督が言うように、今季の水戸の個の能力は過去最高と言えるものである。また、木山監督が植えつけてきた攻撃的なサッカーも浸透し、チームは明らかに変化を見せている。だが、そこに組織力が加わらない限り、次のステップに行くことはできないだろう。1桁順位という目標があるが、水戸の真の目標はそこではない。本物の強さを身につけ、上のステージへと羽ばたくことである。次節ホーム最終戦でその夢を感じさせてくれるようなサッカーを見せてくれることに期待したい。急に組織力がつくわけではないが、今季の選手たちならば、必ずできるはずだ。今季の水戸はこのまま終わるチームではない。

甲府にとっては貴重な勝利と言えるだろう。大黒柱であるマラニョン、石原克哉を出場停止で、大西容平と藤田健をけがで欠くという厳しい状況の中、第18節以来の先発出場となった宇留野純が2ゴールを決め、さらに羽地登志晃や保坂一成などここまで出場機会に恵まれなかった選手たちが力を発揮して勝利をもぎ取った。

だが、そうしたチームを支えていたのはサポーターに他ならない。前節C大阪戦に敗れ、昇格の夢は断たれたものの、多くのサポーターが笠松に駆けつけ、「ホームのような雰囲気」(宇留野)を作りあげた。そして、スタジアムに着いた選手たちを大きな拍手で迎えるなど、そうした熱い思いが選手たちに響いたことは間違いない。「拍手をされたときはうれしかった。サポーターの力がこのチームの強み。この状況でも支えてくれる人がいるから、自分たちも手を抜けない」と宇留野は感謝の言葉を口にした。サポーターとともに、甲府は笑顔でJ1に向けての再出発を果たした。

以上

2008.11.23 Reported by 佐藤拓也
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