9月24日(水) AFCチャンピオンズリーグ
浦和 2 - 0 アル・カディシア (19:30/埼玉/41,790人)
得点者:31' 相馬崇人(浦和)、54' 田中マルクス闘莉王(浦和)
ACL特集
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この日、埼玉スタジアムを包んだ空気はどこか、いつもとは違っていた。スタンドからの光景に何か違いがあるわけではない。ただ、どこからか湧き出る緊張感。そしてそれが、赤いユニフォームを着た選手たちのプレーにも影響したことは間違いないだろう。
リーグ戦では見られないハイ・パフォーマンスと言ったら、言い過ぎだろうか。それほどまでにこの日の浦和はすばらしかった。
敵地クウェートでの第1戦の結果は2−3の負け。つまり、浦和はホームで2点差以上、もしくは1−0、2−0の勝利が求められた。「とにかく、先制しなければ」とは多くの選手が試合前に口にしていたことだ。
立ち上がり、もちろん積極的な出足を見せたのは浦和だった。ただ、それが返ってガードを緩くすることにもなってしまった。前への気持ちが出過ぎてか、アル・カディシア得意のショートカウンターの餌食になるところだった。
16分、再三浦和守備陣の背後をうかがっていたアルモタワがGK都築と1対1になる決定機。このシュートが入っていれば、おそらく試合の流れは大きく変わっていたことだろう。しかし、アルモタワの右足から放たれた強烈なボールは体を投げ出して懸命のセーブに出た都築に当たってゴール方向ではなく空中に消えていった。
「あれが刺激になった」とエンゲルス監督が振り返ったように、このプレーが前がかりになっていた浦和に危機意識を芽生えさせたことは確かだろう。その意味では、以降に生まれた2つのファインゴール同様、都築のセーブには価値があったように思う。
その後は、浦和が完全にペースを握ることになり、ゴールも文句なしの形だった。距離は22〜23メートルといったところか。31分、相手のクリアボールを相馬が豪快な左足ボレーでゴール左隅に叩き込み、前半を1−0で折り返すと、54分にはポンテのFKを胸で受けた闘莉王が、左サイド深い位置から角度のない逆サイドへ鋭いシュートを突き刺した。クロスにかぶった相手DFがお粗末だったとも言えなくもないが、それも闘莉王のすごみに屈した結果かもしれない。気合いのみなぎっていた“闘将”はそれほど攻守に効いていたといえるだろう。
浦和がすばらしかったのは、何もゴールだけではない。2点目につながるFKを獲得した場面では、平川のインターセプトからの仕掛けが相手のファウルを誘ったわけだが、とくに両サイドの積極性が光った。
「先制した時点で、攻撃のスイッチが切れてしまう」。それがいつものパターンだが、この日は2点を取ってなお、さらに攻める姿勢がうかがえた。それを象徴したのが65分の両翼の2人が絡んだプレー、相手陣地深い位置からの相馬のクロスが大きく逆サイドに流れると、これを拾った平川が再び中央へ上げて、最後は高原が合わせるという形だった。
ただ、ラスト15分は守備固めというか、指揮官の消極的な選手交代もあって、ゴール前を固めるだけの、いつもの悪い癖が見られたのも事実。それでも無失点で終えれば、言いがかりに過ぎないかもしれない。試合を通して、2〜3の危ないシーンは見られたが、それは積極的に攻めに出た結果で、チャンスの数では相手を圧倒したといえるだろう。勝たなければいけない、あとのない状況で見えた浦和の底力。「毎試合毎試合こんな試合をしたら選手は死んでしまう」(エンゲルス監督)。だが、残るは準決勝と決勝。“こんな試合”ができれば、浦和のアジア連覇は時間の問題かもしれない。
以上
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