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【FCWC特集】北中米代表パチューカのクラブ紹介Vol.1 Jクラブのモデルになる先進的な運営をするクラブ(08.09.22)

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2年連続、北中米代表の座を勝ち取ったパチューカ。メキシコ最古のクラブであり、世界的に見ても先進的なクラブ運営をしており、Jリーグのクラブ運営のモデルにもなるところが多数ある。そんなパチューカのクラブを2回に分けて徹底紹介する第1回。

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 創立1901年。クルブ・デ・フッボル・パチューカは、当時のイダルゴ州で盛んに行われた鉱山開発によるレアル・デル・モンテ&パチューカ社のイギリス人技師と炭鉱夫によって結成されたメキシコ最古のサッカークラブだ。愛称は“TUZOS(トゥソス)”。日本語に訳すところ“穴ねずみ”は、鉱山の町ならではというもの。
現在の本拠地は、それまでのレボルシオンスタジアムから、93年に完成したイダルゴ・スタジアム、別名“ウラカン(ハリケーン)”に移された。町の中心に位置する会場だが、かつて鉱山を掘り起こした土砂の山を掘り込んで建設したため、外観は岩肌が見えるばかり。だからパッと見ではスタジアムと思われないかもしれない。収容3万人のサッカー専用スタジアムなので、選手と観客の距離が近いのが特徴。キリスト教の国柄、試合前にはスタジアム内にあるチャペルで選手とスタッフがミサに参加している。
クラブ紋章にはパチューカ市のシンボル、スペインからの独立記念時計台がデザインされている。紋章の周りに今は星が9つ並ぶ。青はプリメーラ(国内トップリーグ)での優勝回数で、金は国際大会でのタイトル獲得数を表すものだ。しかし、100年以上の歴史を持ちながら、初めて星を獲得したのは99年(9年前)、と非常に最近の出来事なのが意外なのである。

 そう、パチューカにとって結成から現在に至る道のりは決して平坦なものではなかった。何と言ってもプリメーラから実に4度の降格と昇格を繰り返すという苦悩を重ねているのだ。4度目の昇格を果たしたのが98年で、その翌年に再び夏季リーグに降格の危機を迎えている。しかし、そのピンチを乗り越えると、ハビエル・アギーレ監督(現アトレティコ・マドリー監督)の指揮下、99年冬季リーグで初めての国内制覇を果たした。その後、現在までチャンピオンの座に就くこと5回、そして、国内王者であることの付加価値として、国際大会への参加が実現し始めると、02年に初めてCONCACAF(北中米カリブ海地区)王者に輝いた。今となっては同地区のサッカーレベルの上昇に伴い、実力の拮抗が見られるが、かつてはメキシコの一人勝ちの状態だった。そんな中、06年にパチューカが招待参加したコパ・ニッサン・スダメリカーナ(南米選手権)での優勝は大きなメリットを持つものだ。なにせCONCACAFに属するメキシコのクラブが、CONMEBOL(南米地区)の大会で優勝してしまったのだから。

 組織としてパチューカを見ると、95年以降の新首脳陣によって打ち出されたクラブ哲学が、同クラブをトップチームとして存続させるために社会との関係を築くために重要な役割を果たしているのがわかる。そこではスポーツのみならず学術、社会、商業の4つの分野でクラブとして明確な考えを打ち出している。
フエルサス・バシカスと呼ばれるユース育成機関は11歳から学年ごとにカテゴリー分けして、ここ10年間でトップチームには40人のプレーヤーを送り出している。メキシコ国内のみならずアメリカやプエルトリコといった近場の外国(アメリカやプエルトリコ)も含めて50以上のサッカースクールを所有し、各地から随時入団テストを行っている。
さらに、サッカーのみならず“スポーツ一般でのプロ育成”という概念から、これはメキシコだけでなくラテンアメリカで唯一の「サッカー・スポーツ科学センター大学(通称:サッカー大学)」と呼ばれる教育機関を設立した。毎年、同大学が年末に開催する国際会議には、世界中のサッカー著名人が駆けつけて講演を行い、年々スケールが拡大している。
 クラブと社会のつながりについて、まずクラブサポーターに対しては、アウェイゲームへのサポーターたちの移動の便宜(安価な移動手段を探すなど)を図っている。選手たちには、社会との関わりを当然のものとして認識させ、テレビやラジオのインタビューにしっかり応えることはもちろん、普段の練習を見学に来たファンにサインをプレゼントするのは日常的な光景で、そこには選手とファンの間に壁を感じさせない。そして、各選手につき1ヶ月に4回の社会交流(慰問やイベント参加)が義務付けられている。
 マスメディア関連では、パチューカがメキシコのクラブの中では突出している。クラブ内にあるスタジオでテレビ及びラジオ番組が作られ、たとえばテレビに関しては“TUZOCCER(トゥソッケル)”という1時間のテレビ番組がスペイン語版FOX SPORTS(フォックススポーツ)で毎週放送されている。インターネット版のTUZOSTV.COMでは日替わりでニュースを配信。クラブの情報誌も独自に編集創刊している。つまり、クラブ自らが情報発信源として機能しているのだ。
 ビジネスにおいてもホテル、レストラン、コンベンションセンター、ショッピングモールと町と一体化して大きく展開しており、常にパイオニアな姿勢を崩さない。まさに地域密着型だがそのスケールといったら計り知れない。メキシコ国内で一際強い個性を放っているクラブがパチューカなのだ。

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Reported by 信藤大輔

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