9月13日（土）J2 第35節 熊本 vs 仙台（18:00KICK OFF/熊本）
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　始まる前は“長い”と思っていたシーズンも、早いもので残り10試合となった。Jリーグ1年目の熊本にとって、これからはまさに未知の世界。J1昇格の可能性を残した上位チームが、得失点差をも考慮して容赦なく襲いかかって来るシーズン終盤、どれだけモチベーションを維持して臨むことができるかが、ゲームの結果を左右するのはもちろん、選手達それぞれにとっての来シーズンにかかわってくる。

　今節ホームに迎える仙台とは、ここまで2分けと相性は決して悪くない。しかし、山形以外の上にいるチームとの直接対決を残している現在5位の仙台にとって、ここで敗れると3位争いから一歩遅れをとることになる重要な一戦。今シーズンいまだ熊本に勝てていないということあり、是が非でも勝つという意気込みで乗り込んでくるに違いない。
　個の能力やチームとしての力に開きがあることは現在の順位からも明らかだが、試合に臨む上での気持ちの持ち方がそれをひっくり返すこともあるのがサッカーの面白さ。もちろん、それだけでゲームの流れを引き寄せられるわけではないが、それが土台にあるか否かで流れを変え、相手のリズムに“ズレ”を生じさせることはできる。熊本の狙いはそこにある。

　その点においても、2試合の出場停止が明け中盤に山本翔平が戻ってくるのは大きい。「放っておくと行き過ぎる面もある」と前置きしながらも、「翔平みたいに2つ3つ追うことができる存在の大きさを、この2試合で感じた」と池谷友良監督は話し、“積極的な守備”を表現する上で生命線となるボランチから、両サイドまでが絡んで仙台のボールの出どころに効果的なプレスをかけたいところ。まずはここでしっかり起点を潰してボールを奪うことがポイントとなる。当の山本も、「2週間ゲームから離れているけど影響はない。結果を求めて、目の前の相手に負けないよう、しっかり力を出したい」と意欲を見せる。

　対する仙台は、前節福岡を3−0で下し、8試合ぶりの勝利を挙げた。新加入のFWナジソンが初ゴールを決め、懸念だった得点力も改善の兆しが見られ、快勝にも気の弛みはない。平瀬智行との2トップは迫力もあり、第１クールの熊本戦で見事なバイシクルシュートから同点弾を決めた中原貴之も控えている。だが前線よりも脅威なのが、キャプテン梁勇基と関口訓充のスピードあふれる両サイド。頻繁にポジションチェンジを繰り返しながらサイドで起点となりつつ、前節・福岡戦での先制ゴールのように遅れてスペースに入る動きで好機を作っている。何より、守から攻への切り替えの早さ、ハーフウェイラインを越えてからのシフトチェンジのスピードはJ2屈指。ここ数試合で目立つカウンターによって、その体感速度は一層増している。
　熊本は今節、これまで左サイドバックだった車智鎬が左のサイドハーフの位置に入り、合わせて木島良輔が右に回る見通し。「サイドが仙台の落ち着きどころだと思うので、前、横の選手と関係を作ってしっかりアプローチをかけたい」とDF市村篤司が言うように、両サイドでの攻防が鍵。一方で、DF上村健一は「攻めている時の守備の意識が大事」と話し、中途半端な奪われ方でピンチを招かないよう、セーフティかつシンプルに展開し、シュートで終わることも大切だ。

　「先制点をやると厳しいので、まずは失点しないこと」（池谷監督）と、あくまで守備から入るスタンスはこれまで通り。この2試合で連動した守備ができなかったこともあって、仙台との一戦に向け、良かった時の映像を見せてイメージを植え付ける予定だという。点を与えないことで仙台を焦らすことができれば、自ずとチャンスはやってくる。そのために必要なのは、粘り強く、全員でハードワークすること。そしてそれをピッチ上で表現しようという意思だ。

以上


2008.09.12 Reported by 井芹貴志