8月1日(金)J2 第29節 岐阜 vs 水戸(19:00KICK OFF/長良川)
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「7月シリーズはどの試合も勝点1以上は必ず取ることを目標としている」と松永英機監督が語ったように、7月は試合を落とさないことを目標として戦ってきた。結果は4試合を戦って、1勝1敗2分。この結果は岐阜にとっては、非常にポジティブな結果だ。なぜならば、1敗しかしなかったことはもちろん、山形、広島、湘南、仙台と上位陣を相手にこの成績は大きな価値がある。
第一クールでは前線からハイプレッシャーをかけて、リスク覚悟で攻めに出たサッカーと、第一クール終盤と第二クール序盤はリトリートディフェンスを軸にした、相手の長所を消すサッカーを展開。第二クール終盤の7月シリーズは、この2つを融合させたサッカーを展開し、しっかりと結果を残した。守備が安定し、どんな相手にも守りきれるようになり、チームとしての戦うベースは着実に構築されつつある。
8月シリーズはチームとしてのベースのさらなる構築と、積み上げの段階に入る。積み上げとは勝点3を取るために、ゴールを奪うということ。「上に行くために、これからは点を取られないことより、点を取ることを強調したい」と松永監督が語ったように、『負けないサッカー』から『勝つサッカー』へ転換するために、ゴールに直結するプレーをチームとして増やしていかなければいけない。
これまでやってきたことのグレードアップ。まさに8月は岐阜にとって、来季以降を占う大事な月となる。その8月シリーズの初戦となる水戸戦は、岐阜にとって非常に重要な一戦だ。
ゴールに直結するプレーの向上のためには、ラストパスの精度やフィニッシュの精度はもちろん、チーム全体の攻守の切り替えの速さの向上が挙げられる。「まだ攻撃に人数が足りない。守備のほうに頭が行き過ぎている。カウンターに入っても人が足りずにスピードダウンしてしまう。もっとスピードアップしないと、迫力がなくなってしまう」と北村が語ったように、ボールを奪ってからの動き出しが遅く、奪ってから短時間でシュートまで持っていくというカウンターの鉄則をこなすことが出来ない。さらに数的優位を作ることが出来ず、3人目、4人目の動きの絡んだ連動した攻撃が仕掛けられず、攻撃に厚みが生まれない。
岐阜は攻撃に高い連動性を持つチームであるが、この連動性は遅攻の時に生まれることが多い。つまり、相手の守備陣系が整っていたり、人数が揃っている段階のため、連動しても最後まで崩しきることがなかなか難しくなってしまう。やはり高い連動性を活かすには、相手の守備陣系が整っておらず、人数が足りていないボール奪取した直後が一番である。
いかにチーム全体が守備意識だけでなく攻撃の意識を持って、長い距離を走ったり、リスク覚悟で攻撃のためのビルドアップを仕掛けられるか。前線では片桐がタメをしっかりと作ってくれるだけに、彼の献身的な動きを活かさなければならない。
攻守の切り替えの速さ。そして全体が守備を意識しながらも、いかにリスクを冒すポイントを感じ取って実行できるか。これが水戸戦を含めた8月シリーズのテーマとなるだろう。
一方、アウェイ長良川に乗り込む水戸は、7月に入り3連勝を飾るも、ここ2試合は2連敗。第二クールに入って連勝と連敗を繰り返しており、調子の波が激しい。
ただ、今の水戸は明るい材料が多く、攻撃陣が非常に活気付いている。ここ6試合で5得点を挙げている、チーム得点王のFW荒田智之、藤枝東高校時代から天才パサーとして名が通っていたMF赤星貴文、U-19日本代表候補にも選出されたFW遠藤敬佑と、若手が非常にはつらつとしたプレーを見せている。
特に赤星が存在感を発揮しているのは大きい。彼はもともと中盤でフリーマン的にプレーし、バイタルエリアでこそ力を発揮するプレーヤーであった。しかし、当初は守備に追われ、攻撃面で力が発揮出来ないでいた。それがプレーメーカーとしての役割を果たせるMFパク・チュホの加入や、荒田と遠藤が前線でタメを作ってくれるようになったことで、高い位置でボールが動くようになり、彼がより高い位置でプレーできるようになった。
岐阜としては、彼をいかにバイタルエリアでプレーさせないように、高い位置でボールを奪って攻撃を仕掛けられるか。まさに8月シリーズのテーマを実践するのに、この上ない相手である。
若手の台頭が今のチームを突き動かす。不安定さは抱えていても、それ以上に大きなポテンシャルを抱えている水戸が、第一クールのリベンジを果たすのか。それとも岐阜が8月シリーズ初戦を飾り、チームのグレードアップの足掛かりとなるのか。この一戦は、単なる一戦ではなく、限りなく大きな意味を持つ。
以上
2008.07.31 Reported by 安藤隆人
J’s GOALニュース
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