11月4日(日) 第87回天皇杯4回戦
清水 3 - 3(PK 5 - 4)明治大学 (13:00/日本平/5,038人)
得点者:35' 林 陵平(明治大学)、70' 兵働 昭弘(清水)、82' 青山 直晃(清水)、89' 増田 洋平(明治大学)、103' 林 陵平(明治大学)、115' 青山 直晃(清水)
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「完全な負け試合だった」。辛くもPK戦で5回戦進出を決めた清水の長谷川監督は、試合後の記者会見で開口一番こう語った。試合内容からみても、その言葉の中には、大健闘した明治大学へのリップサービスは含まれていなかった。
清水のスタメンは、FW岡崎とGK山本海の五輪組2人以外は先週のG大阪戦に快勝したG大阪戦と同じ。あくまでいつも通りの戦いをするという姿勢を見せた。対する明治は、普段は4バックで戦うことが多いが、清水の強力な2トップに対してしっかりとマークをつけ、キャプテンの石井を1人余らせるという狙いで3-5-2の布陣で臨む。
しかし、いざフタを開けてみると、清水はボールを支配するものの攻撃の過程でイージーミスが目立ち、いつも通りのサッカーを見せることができない。一方の明治は、全員がよく動いて、ボールに対しても素早い寄せを見せ、完全に崩される場面を作らせない。とくにチョ ジェジンのマークについたストッパーの近藤(3年)は、身長172cmでチョとは13cmの差があったが、しつこいマークと高い身体能力で空中戦でも自由にさせず、明治の粘り強い守りを象徴するような働きを見せた。
また明治は、FWのところでボールを収めてタメを作ることはできなかったものの、切り換えの速い攻撃でサイドから攻め、左アウトサイドの斎藤が繰り出す正確な左足クロスから何度か見せ場を作った。ポゼッションでは清水が上回ったが、明治も押されっぱなしという展開ではなく、高さで上回る清水のセットプレーにもよく耐えて、ほぼ互角と言えるほどの戦いを見せた。
そんな中で、清水が徐々に前がかりになっていった35分、清水のミスをついたカウンターでトップ下の橋本がドリブルでスペースを上がり、絶妙なタイミングで動き出したFW林に狭いところを通すスルーパス。これでGKと1対1になった林が、飛び出してきたGK山本海の脇を抜いて、なんと明治が堅守を誇る清水から先制点を奪った。
しかも、試合前から狙っていた通りの鮮やかな速攻からのゴール。これで明治の選手たちは、さらに自信と勢いをつかみ、清水の選手たちは慌てて反撃に出るが、前半の残り時間で流れを変えることはできなかった。
後半は、清水がチョに代えて矢島を入れ、明治は腰痛で休んでいた五輪代表経験もある長友を投入。清水のほうは「きれいに(点を)取ろうとして、むずかしいことをしすぎていた」(長谷川監督)という反省から、「もっとシンプルな攻撃を」という指示を受け、大きなサイドチェンジを使いながら明治の守りに揺さぶりをかけていく。とくに、左サイドでポゼッションしてから右にサイドチェンジという得意の形で右サイドバック・市川の上がるスペースを作り、そこからの攻めで明治のDFラインを下げさせて、徐々に自分たちの流れを作っていった。
だが、最後のところでは明治のDF陣とGK関がよく踏ん張り、なかなか清水に同点ゴールを与えない。中盤のプレッシャーも衰えず、清水のミスを誘って完全には主導権を渡さなかった。
しかし、それでも後半25分には、市川のパスを西澤が落としたところから兵働が豪快に蹴り込んで、プロの意地を見せる同点ゴール。さらに37分には、セットプレーの2次攻撃から矢島の落としを青山が右足で決め、何とか逆転することに成功する。
ただ、普通ならこれで意気消沈してしまうところだが、明治の選手たちはまったく下を向くことはなかった。最後まで勝利をあきらめることなく、積極的な仕掛けを続け、ロスタイムに入ったところでペナルティエリア左手前からのFKを獲得。ここで橋本が柔らかいボールを入れ、ボランチの増田がうまく頭で合わせてゴール右に決め、土壇場で同点ゴールを奪うという驚くべき粘りを見せた。
延長戦に入ると、しばらくして目に見えて清水の運動量が落ち始め、流れが明治に移っていく。そして延長前半の13分、足が止まった清水DF陣のスキをついて橋本のスルーパスから林が裏に抜け出し、1点目と同じパターンで再逆転の3点目を奪った。この時間帯は明らかに運動量で明治が上回り、清水がチャンスを作れなくなっていただけに、清水サポーターにも「まさか」という思いが頭をよぎったシーンだった。
しかし、延長後半に入ると、清水も最後の意地を見せる。DFの青山を前線に上げ、前線に次々とハイボールを放り込んでいくパワープレーで、本当になりふり構わず攻めたてた。これにはさすがの明治DF陣も跳ね返しきれず、ラインが下がって清水に押しこまれる展開に。そんな中、明治はセットプレーの連続にもよく耐えていたが、強引な攻撃を続けた清水は、10分に市川の右クロスから青山が頭で同点ゴールを決め、かろうじてプロの面目を保った。
そしてPK戦では、明治のほうが3アシストと大活躍した橋本がバーに当ててしまったのに対して、清水は5人全員が決めて120分間の死闘に決着をつけた。
だが、PK戦はあくまで5回戦に進むチームを決めるためのもの。サポーターからブーイングを受けながら重い足取りでロッカールームに戻っていく清水イレブン。去りがたいようにピッチを1周しながら、清水サポーターにも丁寧に感謝のあいさつを行ない、拍手と明治コールを受けながらすがすがしい表情で引き上げていく明治イレブン。そこには、スコア上の勝者・敗者の関係とは、まったく逆の姿が見られた。
以上
2007.11.04 Reported by 前島芳雄
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