6月20日（水）J1 第16節 磐田 vs 大宮（19:00KICK OFF/ヤマハ）
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■注目プレイヤー： 前田　遼一選手（磐田）
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　エースの復帰とともに一気に復調した磐田が、3試合ぶりにホームに戻ってくる。菊地直哉の残念な事件の後、初めてのホームゲームでもあり、磐田サポーターとしては複雑な気持ちで迎える試合。だが、純粋に試合内容から言えば、選手たちの気持ちの面も含めて楽しみな要素のほうが断然多い。

　前回のホームゲーム、新潟戦で後半16分にケガから復帰（今季初出場）した磐田のエース・前田遼一は、次の甲府戦で今季初先発。この試合で、いきなり前半17分に今季初ゴールとなる先制点を決めてチームに火をつけ、6-1という大勝に導いて連敗を3でストップ。次の横浜FC戦でも、後半4分に逆転ゴールを決めて、2連勝に絶大な貢献を示している。
　例えば横浜FC戦でのゴールを見ると、太田からのクロスが入る直前にファーサイドに逃げる動きを見せ、それをフェイントにニア側に動き直して、DFの前に身体を入れ低いクロスに合わせた形。FWとしては基本的な動きではあるが、これがあまりに見事だったためハマナチオ（横浜FC守備陣）としても為す術がなかった。前田のストライカーとしての質の高さがよく表われていたシーンだ。

　もちろん、前田が貢献しているのは、そうした決定力の部分だけではない。1トップとして前線でターゲットになり、ハイボールでも足下のボールでも強さとキープ力を発揮。前線でタメができるため、磐田の中盤としては押し上げや追い越しがしやすくなり、太田や成岡の飛び出しが非常に生きるようになった。

　また、前田はしっかりキープして時間を作るだけでなく、速攻のときには簡単にさばいて流れを止めないため、ファブリシオ、前田、太田らが絡んだカウンター攻撃も、大きな武器のひとつとなっている。とにかく攻撃のビルドアップの面でも、決定力の面でも、わずか2試合で大きくチームを変えるだけの存在感を示しているのだ。

　そのためチームとしても、遅攻も速攻もOKになり、攻撃のバリエーションは大いに増えた。さらに守備では、田中の復帰によりDFラインの安定感が向上。マルキーニョスパラナがケガで離脱し、菊地が外れたボランチ陣についても、ファブリシオと上田の2枚でバランスがとれている。
　ホームでは、2列目の船谷に代えて、中山やカレンを入れて2トップにすることも可能だろうし、DF陣のケガ人もほぼ復帰して、磐田らしい層の厚さが生きてオプションが多くなってきた。

　そんな状況の磐田に挑む大宮は、ここ6試合負けがなく（2勝4分）、順位も徐々に上がってきて、こちらも上り調子。特に、6試合で失点わずか3という守備の堅さは素晴らしく、攻撃でも小林大悟が復帰して流れが良くなり、ワンチャンスを生かす力も増している。
　そう考えると、ホーム・磐田の攻撃vsアウェイ・大宮の守備という非常にわかりやすい構図が見えてくる。特に大宮は、先制点を奪われると非常に苦しくなるため、まずは絶対に先制点を与えないという戦い方をしてくるだろう。
　ただ、磐田のほうも立ち上がり15分間の失点がJ1でもっとも多く（7点）、ここは大宮にとっては狙い目、磐田にとっては最大の注意点となる。

　試合としては、大宮が先制点を奪ったほうが白熱するだろうが、磐田サポーターとしては、ホーム2連敗中で、しかも嫌な事件の後だけに、何としてもすっきりとした勝利を見せてほしいゲーム。もちろん選手たちも、応援を続けてくれるサポーターの気持ちに少しでも応えるために、ホームで完勝したいという思いは非常に強い。
「信頼を少しでも回復するためにも毎試合勝っていきたい」（成岡）、「みんなで一丸となって戦っていくしかない」（田中）といった磐田イレブンの熱い気持ちが、ピッチでどれだけ表現されるのか、最終的にはそこが最大の見どころとなるだろう。

以上