6月20日(水)J1 第16節 広島 vs 川崎F(19:00KICK OFF/広島ビ)
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■注目プレイヤー: 佐藤 寿人選手(広島)
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広島には、川崎Fサポーターがその名前を口にするのも嫌がるであろう「天敵」がいる。広島のエース・佐藤寿人、その人だ。
カップ戦を含めた公式戦11試合で9得点。しかも広島時代だけでなく仙台の時も川崎F相手に点をとっているわけだから、その「キラー」ぶりは本物だ。昨年も、等々力決戦ではハットトリックの大爆発。試合前は大きなブーイングで出迎えた川崎Fサポーターを沈黙させてしまった。仙台時代には、3分のロスタイムで2点をとって同点に追いつき、川崎Fを奈落へと突き落としたことも。
「なぜか、点がとれてますよね。だけど、特に川崎FのDFがやりやすいとは思いません」と佐藤は言う。
「川崎FのDFは高さがあるだけでなく、それぞれ特徴が明快。例えば、箕輪(義信)さんは人に対して激しく守ってくるし、伊藤(宏樹)さんは頭が良くてスピードもある。みんな個性があるリスペクトすべき相手だと思います」
では、どうして点がとれるのか。
「川崎Fは前に出て攻撃的なサッカーをするチームだから、裏にスペースがありますからね。ただ、点もとれるけれど、一方でこちらも失点する可能性が高い」
確かに、佐藤は川崎F相手に、点はとっても勝てていない。彼の得点が勝利に結びついたのは仙台時代にたった一度あるだけで、広島移籍後に出場した5試合で5点とっているのに、結果は2分3敗。「簡単に勝てる相手ではない。ミスを減らし、少ないチャンスをものにすることが絶対に必要」と佐藤が語るのも、当然だ。
一方の川崎Fにも、「広島キラー」がいる。黒津勝だ。対広島公式戦で6試合出場6得点。彼が昨年までJ1で決めている通算10得点中4点が広島戦。昨年記録した7得点のうち3点が広島戦なのである。彼が点がとれなかったのは2005年の第21節だけで、広島のホームで行われた3試合の公式戦では、全てゴールを決めている(4得点)。おそらく、日本中で誰よりも彼の怖さを理解しているのは、広島のサポーターだろう。
ただ、黒津個人にしてやられた、というシーンは意外と少なく、中村憲剛やジュニーニョを中心とした川崎Fのチームとしての攻撃に崩された結果の失点ではある。ただそこで最後にゴールに押し込むのは、我那覇和樹でもジュニーニョでもなく、やはり黒津なのだ。彼のゴール前に抜け出す感覚や位置取りを、広島守備陣がつかみきれないのである。
広島の守備陣は、鹿島でその弱点を露呈している。DFの人数がそろっているのにマルキーニョスのドリブルを許し、「アタック」を躊躇している間にシュートを決められた。相手よりも先に身体を入れているのにクリアではなく攻撃を意識した結果、後ろからつつかれて失点したのが先制点の場面だった。
広島が失った28点のうち、崩された結果の失点は数えるしかない。ほとんどが、守備陣形はできているのに、ミスでやられている。ギリギリの局面で適切な判断ができていないわけで、そのあたりはやはり経験が不足しているのだろう。
「川崎Fを相手に(鹿島戦と)同じようなミスの連発は許されない。サッカーだからゼロにはできないが、出来る限り減らさないと」とペトロヴィッチ監督は言う。当然の言葉だが、その実行はどんなチームでも難しい。ただ、もし広島の選手たちが鹿島戦の大敗から学んでいなければ、またも「キラー黒津」にしてやられることになるだろう。
広島側のポジティブな情報とすれば、左ふくらはぎを痛めていたウェズレイが戻ってくることがあげられる。昨年の等々力では、CK・スルーパス・クロスとすべて違うパターンで佐藤のハットトリックを演出。一瞬の隙があれば、二人で点を取り切ってしまう抜群のコンビネーションが爆発すれば、今のJリーグには敵はいない。さらに、2試合連続ゴール中の柏木陽介をはじめとする広島MF陣も好調。ペトロヴィッチ監督が徹底して叩き込んでいる「3人目」「追い越し」という動きが、ようやく連動性を持って表現できつつあることは、強力2トップの存在以上に川崎F守備陣の脅威となるだろう。
1試合平均得点がリーグ2位の川崎Fと4位の広島。攻撃が看板の両チームの戦いだけに、ゴール前のシーンが頻発する激しい試合になることが予想される。実際、昨年9月の等々力での決戦も、広島が先行し川崎Fが追いつく激しい点の取り合いとなった。ゴール前での戦いが多くなるはずの今回の試合を勝利するには、互いのチームに存在する「天敵」をどう抑えきるか、そこを考え抜くことが絶対条件であることは、言うまでもない。
以上
2007.06.19 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
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