●AFCアジアカップ2007予選大会 グループA
9月6日21:20キックオフ(日本時間)/イエメン・サナア
日本代表 対 イエメン代表
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日本代表は今から3時間後にアジアカップ予選第4戦・イエメン戦に挑む。そのイエメンについて少し紹介しておこう。
人口1,700万弱。産油国でないこの国は「アラブ最貧国」という不名誉な称号を与えられている。確かに首都・サヌアの町を歩いてもそんな印象が強い。車はボロボロ。人々が着ている衣服も古い。同じ中東のアラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアのような金ピカの建物など1つもないし、夜の町中は街頭がついていなくて真っ暗だ。
そんなイエメンには複雑な歴史がある。かつては260年間にわたる南北分離時代を強いられ、内戦もあった。第2次大戦後はアラブ唯一の社会主義国として生きる道を選んだが、1990年の南北統一によって方向を転換した。それでも他のアラブ諸国に比べると、経済発展はかなり遅れている。
発展途上国ゆえに、イエメン人は子だくさん。タクシー運転手も「うちは7人も子供がいるんだ」と笑顔で言う。サナア国際空港でも旧市街のスークでも働く子供の姿が目を引いた。幼かろうが生計を立てるために彼らは必死で働く。そんな苦労を背負っていても、なぜか子供たちの目は澄んでいた。大人たちもよりよい生活を求めてエネルギッシュに生きている。
そんなイエメンの活気を感じたければ、首都・サナアの旧市街へ行けばいい。この周辺にはイエメン建築の建物が数多くある。イエメン建築の特徴は石またはレンガ造りで美しい模様が外壁に彫られていること。窓の構造にも特徴があり、防衛の機能も備えているという。ここでは他の中東諸国ですでに失われてしまった「古きよきアラブの町並み」を垣間見ることができるのだ。
旧市街の入り口・バーバルヤマン(イエメン門)のあたりは労働者や観光客などでつねに熱気に包まれている。この門をくぐるとスークが広がる。ここは「スーク・アル・ミルフ(塩の市場)」と呼ばれる。2000年以上前、貴重品だった塩を紅海から運び上げ、周辺の部族民に売ったのが市場の始まりのようだ。人の波にもまれながら歩くと、香辛料や紅茶、短剣などの装飾品、衣料品などのお店が所狭しと連なり、客引きがひっきりなしに声をかけてくる。モスリム女性に必須のスカーフは1枚400イエメンリアル(約250円)。物価は日本の半分以下だ。もちろん値切りもOKだ。
イスラム教の戒律については、イエメンもアラブ諸国で特に厳しい国の1つである。女性たちはアバヤとスカーフで全身を覆っている。サウジアラビアの女性は顔を出している人も多かったが、サナアではほとんどが体だけでなく顔も真っ黒の布で覆っている。その徹底ぶりはすさまじい。けれども女性が1人歩きする姿も多く、サウジアラビアよりは規律が厳しくないようだ。
サッカーに関してはプロリーグはなく、選手はアマチュア。クラブチームも金銭的な余裕はないし、スタジアムなど環境面を見ても整備されていない。そんな土地柄だけに、選手たちのハングリー精神は人一倍ある。今回も代表選手たちは日本に一泡吹かせてやろうと躍起になっている。サッカー人気も高く、町の路地裏でボールを蹴る少年たちの姿もあちこちで見受けられた。今日の日本代表とのゲームは昼間(日本時間では21時20分)行われるが、サッカー好きの子供や大人がアリ・モーセン・スタジアムに押しかけるだろう。
以上
2006.09.06 Reported by 元川悦子
J’s GOALニュース
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