●AFCアジアカップ2007予選大会 グループA
9月3日20:30キックオフ(現地時間)サウジアラビア・ジェッダ
日本代表 対 サウジアラビア代表
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オシムジャパンがサウジアラビア第2の都市・ジェッダ入りしてから2日が経過した。「そこは一体、どんなところなのか?」と興味を持つ方も多かろう。「敵を知る前にまず敵地を知るべき」ということで、ジェッダについて少し説明したい。
当地はカリフ・オスマン・ビン・アファンによって647年に建設された古都。ジェッダとはアラビア語で「広い道」を意味するという。確かに街中にはだだっ広い道があり、欧米の高級車がところ狭しと走っている。美しい紅海に面するジェッダは「アラビアのパリ」とも評され、訪れる観光客も多い。旧市街にはスーク(市場)などもあり、賑やかな雰囲気。商店にはモノがあふれ、この国の裕福な財政状態がよくわかる。とはいえ、この時期は最高気温40度・湿度90%という過酷な気候。日中に道を歩く人はまばらだ。
アラブ首長国連邦やオマーン、バーレーンなど他のイスラム教国とサウジアラビアが異なるのは「最も戒律の厳しい国」ということ。アルコールは一切飲めないし、女性は基本的に単独行動が認められていない。スーパーやショッピングセンターに行くにしても、女性は夫と子供など家族同伴が原則だ。しかも人前で顔や体の線を露出してはならず、アバヤといわれる黒いマントをかぶらないと外出できない。外国人といえどもそのルールを遵守する必要がある。もしもムタワ(宗教警察)につかまったら、そう簡単には釈放してもらえないという。
今回の日本代表遠征には数人の女性記者と日本航空のキャビンアテンダントが同行してきたが、彼女らもアバヤ着用が必須である。筆者もその1人で、入国前から戦々恐々としていたが、実際のところはそのルールもかなり柔軟だ。ホテルの中は「治外法権」ということでアバヤは必要ない。スーパーへ行くにしても単独で行っても特に問題にはならない。しかし頭にスカーフを巻いていないだけで男性の好奇の視線にさらされるから要注意ではある。練習場でも主に日本人と関係者しかいないため、アバヤを着ていなくても怒られることはなかった。ジェッダは首都・リヤドやイスラム教巡礼の地・メッカに比べると、比較的自由度の高い土地。こうした規制の緩さはそのせいかもしれない。
そんなジェッダの街でアジアカップ予選を戦わなければいけない日本代表。日本とサウジアラビアの過去の対戦を振り返ってみると、90年アジア大会(北京)が最初だった。横山謙三監督率いる日本は0−2で敗れている。当時の日本とサウジアラビアの実力差はスコア以上のものがあった。日本が初めてサウジアラビアを破ったのが、オフトジャパンがアジアカップを初制覇した92年広島大会決勝だった。高木琢也(現横浜FC監督)の値千金のゴールで1−0で勝利した壮絶な戦いをご記憶の方も少なくないはずだ。
次の対戦はそれから8年後の2000年アジアカップ(レバノン)。トルシエ監督率いるジャパンがかつてないほどの強さを誇ったのがこの大会だった。初戦でいきなり優勝候補筆頭のサウジアラビアと激突した日本は苦戦が予想されたが、前半から攻勢に出る。柳沢敦(鹿島)の先制点を皮切りに、高原直泰(フランクフルト)が追加点を決め、前半だけで2−0とリード。そして後半に入ると柳沢〜名波浩(C大阪)のホットラインから3点目を決め、名波のスルーパスから小野伸二(浦和)がダメ押しとなる4点目を奪う。サウジアラビアは日本守備陣の連携ミスから終盤に1点を取ったものの、終わってみれば4−1の圧勝。ゴールマウスを守った川口(磐田)も「今までサウジには五輪代表の頃から苦しめられ続けてきた印象だったんで拍子抜けした」と驚いていたほどだ。
この大敗で監督を更迭したサウジアラビアは、瞬く間にチームを建て直し、勝ち星を積み重ねてファイナルまで上がってきた。日本はこの強国とアジアタイトルをかけて再戦することになるのだが、宿敵は初戦とは全く別のチームになっていた。
初戦で日本に敗れた時には3−5−2でボールポゼッションをしながら攻撃を組み立てるサッカーを試みたサウジアラビア。しかしその後は本来の4−4−2に戻し、タテパスからのカウンターという伝統的スタイルを採って来た。決勝の日本はこれに苦しみ、何度かビッグチャンスを作られる。これを守護神・川口や守備のリーダー・森岡隆三(清水)が確実に防ぎ、逆に日本は中村俊輔(セルティック)のFKに飛び込んだ望月重良(横浜FCを退団)がゴール。これが決勝点となり、1−0で何とか逃げ切って、2度目のアジア制覇を成し遂げたのだ。この大会の日本代表は「史上最強」と言ってもいいほどのチーム完成度で、とにかく強かった。
あれから6年。当時のメンバーのほとんどがドイツワールドカップで代表を離れ、輝かしい歴史を知る者は川口1人になった。10代の梅崎司(大分)や20歳そこそこの西川周作(大分)、伊野波雅彦(F東京)らはこうしたサウジアラビアとの激闘を全く知らないかもしれない。こうした新世代の選手たちとともに、オシム監督は「考えながら走るサッカー」を実践できる新たなチームを作ろうとしている。ドイツワールドカップで1次リーグ敗退を余儀なくされたとはいえ、サウジアラビアがアジア屈指の強国であることは間違いない。しかも今回はサウジアラビアとのはじめてのアウェーゲームである。新生ジャパンとしてはこの一戦を飛躍への契機にしたいところだ。
以上
2006.09.02 Reported by 元川悦子
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【今後の試合スケジュール】
9月6日15:20キックオフ(現地時間)イエメン・サナア
AFCアジアカップ2007予選大会 グループA
日本代表 対 イエメン代表
以上
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