8月19日（土）J1 第18節 新潟 vs 川崎Ｆ（19:00KICK OFF/新潟ス）
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新潟にとっては負けられない一戦。現在4連敗中、しかも川崎Fは、開幕戦で0対6で敗れた相手でもある。ホームで雪辱を果たし、連敗を止められれば、一気に上昇気流に乗ることも可能になる。そのカギを握るのは、ボランチで初スタメンが濃厚のMF松下年宏だ。6月にG大阪から期限付き移籍し、ここまで途中出場で3試合をこなした。豊富な運動量で中盤を活性化させ、攻守のリズムをつくる。
対する川崎Fは関塚隆監督のベンチ入り停止が解ける。DF箕輪義信も出場停止から復帰。ここ2試合引き分けが続いているが、チーム状態は悪くはない。万全の体制で勝点3を奪いに来る。

気負いはない。松下が意識していることはシンプルだ。「出場した試合は勝ちたい。チャンスをもらったわけだし、しっかり戦いたい」。17日の紅白戦では寺川能人とボランチのコンビを組んで、主力組に入った。「周囲とのコミュニケーションは取れています。テラさん（寺川）ともいい関係でプレーできる」と手応えをつかんだ。

新潟はフル出場を続けていた不動の司令塔・シルビーニョが、前節の千葉戦で左足を故障した。本間勲も千葉戦で故障し、万全ではない。松下に巡ってきたスタメンのチャンスは、蓄積してきたものを出す場になる。

千葉戦では後半25分からボランチで出場。得点こそならなかったが、飛び出しからバーをかすめるシュートを放った。「いいタイミングで抜け出す力がある」と鈴木淳監督は評価している。4連敗の間、新潟はわずかに1得点と決定力不足に悩む。松下の持ち味は攻撃に厚みを加えられる。

移籍後、ここまで3試合に途中出場したが、いずれも敗戦。中盤でボールが動かなくなった状況を変えようとしたが、相手の勢いをしのぐことで精一杯だった。スタメンなら流れを最初から把握できる。「ボランチがボールを奪って動かしているうちはうまくいくけど、そこを抑えられたら苦しい。常にボールを動かせるようにしたい。周囲にパスの受け方など、要求するところはきちんと要求したい」と、すでにプランを描いている。

中盤にタレントがそろうG大阪では出場機会に恵まれなかった。新潟へのレンタル期間は異例の19カ月。「半年くらいでは、何もできないまま終わってしまう。腰を据えて力をつけて、チームに貢献したい」と自ら望んだ長期契約だ。川崎F戦はその意気込みを形で示す最初のチャンスになる。

川崎Fはようやくチーム全体の布陣が整った。関塚監督、第16節大分戦での退席処分により、前節の横浜FM戦はベンチ入りできなかった。指揮官が復帰したことでチームのムードが落ち着くことは間違いない。大分戦、横浜FM戦といずれも1対1のドロー。勝ち切れてない印象があるが、調子そのものは悪くはない。
守備は安定している。前節は横浜FMのツートップを封じて、追加点を許さなかった。攻撃も新潟のプレスが甘いようだと、一気に攻め込む力がある。特に我那覇和樹は、開幕戦でハットトリック、昨季も1得点と新潟とは相性がいい。

新潟の鈴木監督は「サポーターも期待しているでしょうし、我々も開幕戦の雪辱を果たしたいという気持ちが強い」と静かな口調で言った。普段以上にモチベーションが高まる。それを空回りさせずに、90分間走り続けられるかどうかが連敗脱出のポイントになる。川崎Fは新潟の勢いをうまく吸収して、カウンターを仕掛ける。

歯車がかみ合った方に大量得点が入っても、おかしくはない。

以上

2006.08.18 Reported by　斎藤慎一郎