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【日本代表 対 イエメン代表 レポート】シュート30本でたったの2点。ボールと人の動くサッカーができず。オシム監督も不満を露にしたイエメン戦。(06.08.17)

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●アジアカップ2007予選
8月16日(水)19:20/新潟ス/40,913人
日本代表 2−0 イエメン代表

得点者:'70 阿部勇樹、'91+佐藤寿人
★ハイライト&会見映像は【こちら】
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「今日の試合はみなさんも不満の残る内容だったのではないですか?」

 試合後のオシム監督は大半の報道陣やファンが抱いている思いをズバリ口にした。
 終わってみればシュート30本で2得点。この数字だけを見ても不完全燃焼感は否めない。気温30.3度、湿度75%に前日までのハードな練習、過密日程なども災いしたが、それを差し引いても前半は運動量が少なすぎた。「ディフェンスラインのボール回しが遅く、各駅停車のようだった。しかも駅の多い各駅停車」と指揮官は表現したが、速いパス回しから何点か奪うというゲームプランとは程遠い内容だった。オシム監督自身、ハーフタイムには声を荒げる場面があったという。

 そんな沈滞したムードを変えたのが、ジェフ千葉でオシムイズムを学んできた羽生直剛。「自分を入れるということは運動量が少ないという意味。ムダ走りでもいいから走って、1人でも2人でも相手を引き連れてスペースを作ろうと思った」と話す27歳の遅咲きの男が切り替えと動き出しの速さ、相手を惑わす走りを披露。ようやく攻撃の糸口が見え始める。そして同じ千葉の阿部勇樹が先制点をゲット。終盤には途中出場の佐藤寿人(広島)がセットプレーからもう1点を追加し、3連覇のかかるアジアカップへ勝ち点3を得るというノルマは何とか果たした。しかし指揮官の考える理想のサッカーにはまだまだ遠い。今回の大苦戦を前向きに捉え、いい教訓にしていくしかない。

 16日、19時20分から新潟スタジアム(ビッグスワン)で行われたこの一戦は、来年7月にベトナム、タイ、マレーシア、インドネシアで共同開催されるアジアカップの出場権を賭けた公式戦。若手をずらりと並べた1週間前のトリニダード・トバゴ戦(東京・国立)とは違い、オシム監督もある程度、国際経験があって計算できるメンバーを抜擢した。

 スタメンはGK川口能活(磐田)、DF(右から)加地亮(G大阪)、坪井慶介、田中マルクス闘莉王(ともに浦和)、駒野友一(広島)、ボランチ・阿部、鈴木啓太(浦和)、2列目・遠藤保仁(G大阪)、三都主アレサンドロ(浦和)、FW田中達也(浦和)、巻誠一郎(千葉)の4−4−2。川口、加地、遠藤ら6人がドイツ大会経験者だ。一方のイエメンは5−4−1とも3−6−1とも取れる超守備的布陣。徹底して引いて守り、カウンターを狙ってきた。

 この相手を走力とスピードで攻略しなければいけなかった新生ジャパン。ところが前半の試合内容は、まさにジーコジャパン時代の悪い時に逆戻りしてしまった。「足元でもらうのが得意な選手が多かったのもあって、ボール回しが遅くなってしまった」と、前半光っていた数少ない存在である鈴木も残念そうに話した。

 イエメンが自陣を固めてくるのは予想できたはず。それを崩すため、事前合宿では2列目・3列目の飛び出しやサイドからのダイナミックな攻めが強調されていた。にもかかわらず、遠藤や三都主らはジーコ時代の悪い癖が出たのか、自分のポジションから動かず、前線へほとんど飛び出さない。両サイドもえぐる動きが少なかった。2トップも不発。前半14分の駒野のクロスに反応した巻のヘッドがポストを叩き、田中達也が詰めるなど決定機もあったが、これを決め切れない。監督とメンバーが代わったからといって、すぐに「決定力不足」の課題がクリアされるわけではないのだ。その「厳しさ」と「難しさ」も突きつけられる前半45分間だった。

 指揮官は歯切れの悪いチームにいち早くカツを入れ、後半開始早々から秘蔵っ子の羽生を起用。2列目に入った彼が長い距離を動いて相手を揺さぶるようになったのだ。重要な1点目を演出したのも彼の動き。闘莉王とのワンツーで強引にペナルティエリア内に突進してCKを取ったのだ。これを三都主が蹴り、阿部のヘッドで先制点が生まれた。

「羽生君がリズムを変えてくれたことは大きい。相手を引き出し、飛び出しで真ん中のスペースを空けてくれた。さすがは(オシムイズムを)知った選手だなと思った」と鈴木も認める「考える走り」がチームを救った。

 オシム監督は「羽生のそんなに素晴らしくもひどくもなく平凡なものだった」と淡々としていたが、こういった「リスクを冒すプレー」のできる選手が1人でも2人でも増えてこないとチームは強くならない。そんな言葉をこの日、多くの選手たちが口にしていた。今の時点ではやはり千葉勢の理解度が抜きん出ている。その現実が改めてハッキリした試合でもあった。

 とはいえ、千葉勢だけで代表チームを作れないこともまた事実。他クラブの能力ある選手たちもオシムイズムを理解しなければ、日本全体がレベルアップしない。今回ピッチに立った選手もそうでない選手も含め、1人1人が「考えながら走るサッカー」の意味をもう一度、問い直してみるべきだ。

 オシムサッカーを体現するには、ムダ走りでもいいから労を厭わない走りが必要である。その基本を徹底させた先にこそ、成功がある。「この場に来て走る重要性を実感した。Jリーグの試合からそれをやっていきたい」と遠藤も話していた。代表合宿でだけ意識を高めたところで何も始まらない。今こそクラブと代表の連動が強く求められているのではないだろうか。

 次の9月のアウェイ2連戦ではメンバーの入れ替えも考えられる。激しい競争を通じて選手たちにはより意識を高めていってもらいたい。

以上

2006.08.17 Reported by 元川悦子
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