8月12日（土） 2006 J1リーグ戦 第17節
川崎Ｆ 1 - 1 横浜FM　（19:04／等々力／20,144人）
得点者：'2 田中隼磨（横浜FM）、'16 我那覇和樹（川崎Ｆ）
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勝ち切れない。またしても…。約2週間前の前節（新潟戦）、いいムードで勝利を収めた横浜FMだったが、開幕（4連勝）以来の連勝も、川崎Fとのダービーマッチ連敗ストップもかなわず、悔しいドローゲームとなった。
立ち上がり、電光石火の先制点は横浜F・マリノス。右サイド田中隼磨。後ろのマグロンに預けて脱兎のごとく前へ。マグロンのダイレクトパスを受けた田中隼は、右コーナーの深い位置から素早くクロスを上げると、これが何とそのままネットインしてしまった。「狙ったわけじゃない。中にはサカティ（坂田大輔）一人しかいなかったので、ぶれるボールを蹴ろうと思った」。開始わずか2分で、横浜FMはいとも簡単に試合をリードする。

昨年ことごとく川崎Fに先制を許し、横浜FMが3連敗を喫した神奈川ダービー（天皇杯を含め）。初めて自分たちが優位に試合を進める展開になったことで、受け身になったのかもしれない。ダブルボランチであるマグロン、上野良治がいずれも最終ラインの前でボールを受ける。川崎F得意のショートパスも、序盤こそ横浜FMの守備網に引っかかっていたが、それも徐々に崩されていく。
15分、左からのパスを中央で受けた川崎F・中村憲剛が左足でスルーパスを出す。相手の裏をついたマギヌンだったが、トラップは大きく流れた。しかし、1分後、同点弾は横浜FM・マルケスのパスミスから生まれる。右サイドでカットしたジュニーニョから流れるように、我那覇和樹へ。GKと1対1になり、落ち着いて右足で決めた。
追いつかれた横浜FMは、直後の19分、左サイドから平野孝がドリブル。受けた山瀬功治も突っかける強引なドリブルからスペースをつくり、坂田にパスを渡すが、坂田のシュートはワクを捕らえられない。川崎Fも27分、谷口博之から中村のワンタッチパスでジュニーニョが飛び出すが、この試合で復帰の中澤佑二にうまくカットされた。前半は同点に追いついた後、川崎Fが押しまくるも、横浜FMのバックラインが耐えて1-1で折り返した。

ハーフタイム、横浜FM・岡田武史監督の指示は「攻撃時にもっとバランス良く積極的に行こう」。上野の1ボランチにして、前線に人数をかける作戦が功を奏し、チャンスの数で上回る。50分、右のコーナーキックから中澤のボンバーヘッド。51分、山瀬が倒されて早いリスタート。マグロンが胸トラップで前方の坂田に送るが、手前でクリアされる。55分、それまでマッチアップの森勇介に押されていた平野から、小宮山尊信（特別強化指定選手）に代わると、左サイドからのチャンスメークも多くなる。65分には今ひとつ調子の上がらないマルケスに代え、大島秀夫を入れポストプレーにも期待する。
後半の川崎Fは、シュート数などチャンスの数では横浜FMを下回るも、質の高さで相手を脅かす。67分、中村のクロスにマギヌンのヘッド。GK榎本達は見送るしかなく、ポストに救われた。直後にも右サイドでジュニーニョと連動したマギヌンが逆サイドに浮かせる。逆サイドの我那覇にはわずかに合わなかった。横浜FMも決定的な場面をものにできない。74分、コーナーキックからこぼれ球がゴール前、マグロンの足元に入るが、混戦でシュートできない。77分には左から坂田が絶妙のラストパスを出し、大島がスライディングで押し込みゴールと思われたが、オフサイド。松田の執拗な抗議には勝利への執念すら感じられたが、認められるはずもなかった。

その後、タイムアップのホイッスルを聞くまで両チームともに攻め続けたが、暑さと湿度の高さにあと一歩及ばず、痛み分けとなった。追いかける横浜FMにとっては、悔やみきれないドロー。しかし、サポーターからは惜しみない拍手が贈られた。なかなか勢いに乗れないが、いまは半歩の前進を良しとすべき時期なのかもしれない。この後、川崎Fとは約1ヵ月後にホームで再びまみえることになる（9月9日・第22節）。それまでの連戦をタフに乗り越え、リベンジすることでこの引き分けが意味を成してくるだろう。


以上

2006.08.13 Reported by 近藤泰秀（インサイド）