6月7日(水) 2006 J2リーグ戦 第20節
山形 1 - 2 横浜FC (19:04/山形県/4,522人)
得点者:'10 小原章吾(山形)、'58 アウグスト(横浜FC)、'73 三浦知良(横浜FC)
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後半開始から投入されたアウグストが、ピッチの上を自由に泳いでいた。
手数を掛けずシンプルにさばくことでボールに多くからみ、それがチームにリズムを持ち込んでいた。起点となったのは主に中央のバイタルエリア。前半、横浜FCがなかなか使うことのできなかったスペースだ。
前節で開幕戦以来の敗戦を喫した横浜FCは、出場停止のボランチ山口とCB早川のほかにも、CBトゥイードと左SB中島が怪我で欠場。守備の連携に不安を抱えていることからまずはバランス重視、持ちすぎの嫌いがあるアウグストはベンチスタートとなった。その横浜FCの立ち上がりはいわゆる「どん引き」状態。三浦、城の2トップはセンターサークルの手前まで戻り、山形はボランチさえもフリーでボールを持つことができていた。
その山形も万全のメンバーが組めずにいた。前節からボランチ永井と左SB内山を怪我で欠く影響で、臼井を5試合ぶりにDFラインに戻し、右SHにはようやくコンディションを戻してきた佐々木が入ったが、その佐々木がキレのあるドリブルで右サイドを再三突破する。移籍後初出場となる左SB小林をかわしてクロスを供給したが、その勢いに乗り、今季わずか4失点の牙城を崩したのはセットプレーだった。前半10分、山形が左60度、ゴールまで約30メートルの位置でFKを得る。曲線を描きながら、放って置いても枠のなかにきれいに飛び込みそうな財前のクロスは、マークを巧妙に外した小原の頭で方向を変えてそのままゴールネットに突き刺さった。
1点のビハインドとなった横浜FCは、状況に応じて2トップがプレッシングのポジションを若干上げてはいたが、全体的に攻撃に掛ける人数が少なく、カウンターで山形を慌てさせる場面はほとんどなかった。ただ、城の足元にボールが収まったときのキープ力は相当なもので、山形の攻撃参加を1〜2枚削ぐだけの抑止力が感じられた。
後半に入り、アウグスト投入で横浜FCの攻撃力が増したとは言え、山形にも引き離すチャンスがなかったわけではない。4分には財前がドリブルから左クロス、しかし折り返しを林がふかす。10分にもレアンドロが一人でシュートまで持ち込んだが、これもバーの上。何度か訪れていた追加点のチャンスを逃すと、それを懸命に耐えていた横浜FCに順番が回ってきた。きっかけをつくったのは内田。後半13分、中盤で受けたボールを後ろの小野に戻し、自らは前線へ駆け上がる。ロングフィードを受け、キープしながら右サイドにマーカーを引っ張ったところでボールを近くの城へ。その城から中央でパスを受けたアウグストが横にスライドしながらコースをこじ開け、左足を振り抜いた。
同点とされた山形はさらに高く、厳しくなる横浜FCのプレスに苦しみながら、レアンドロを中心にゴール前のチャンスをつくった。しかし、ここでも枠をとらえることができずにいるうちに、カウンターから2点目を奪われる。中盤に空いた大きなスペースでボールを受けた内田がゴールへ向かいドリブル。それと同時に右サイドのスペースを目指していたアウグストが完全に裏を取る形でパスを受け取り、右足シュート。バーの跳ね返りを、中央から詰めていた三浦がしっかりと押し込んだ。1点ビハインドとなった山形は前掛かりに攻め込むことになったが、5分間のロスタイムを使っても枠をとらえることができず、シュート数では15対5と圧倒しながら、決定力の違いを見せつけられての敗戦となった。
前節の敗戦を引きずることなく、メンバーの大幅入れ替えという厳しい状況のなか逆転で手にしたこの勝利を、横浜FC・高木監督は、「我々にとってこの勝点3というのは、それ以上のものがある」と表現した。それは、まだまだ続く長いリーグ戦を戦いきるだけの手応え、と置き換えていいだろう。仙台が東京Vに敗れたことで再び浮上した2位というポジションは、守るものではなく、あくまでも勝ち取るもの。ピンチをバネに、チームはひと回り大きくなろうとしている。
山形は前節の引き分けに続き、今節では7試合ぶりの敗戦。いずれも先制しながらリードを守りきれなかったもので、第2クール開始からの4連勝は、もはや一時の勢いだったと定義されても仕方のないところまで来ている。現在7位。2位以下が大混戦だった昨年、一昨年と違い、今季はJ2の格差が拡大しているため、第2クール残り試合の結果如何では、厳しい現実を突きつけられ兼ねない状況だ。先制点は取れているし、シュート数も少ないわけではない。つかみ取らなければならないのは、それを勝点3につなげる方法だろう。
以上
2006.06.08 Reported by 佐藤円
J’s GOALニュース
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