6月3日(土) 2006 J2リーグ戦 第19節
札幌 2 - 2 山形 (14:04/札幌ド/12,425人)
得点者:'9 レアンドロ(山形)、'35 レアンドロ(山形)、'38 フッキ(札幌)、'63 相川進也(札幌)
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互いに主導権を握ろうとする、いわゆる自分たちでアクションを起こしてサッカーをしようというチーム同士の対戦を、試合後の会見で山形・樋口監督は、このようにゲームを振り返った。
「無意図なロングボールは目立たず、両チームがともにしっかりとパスをつなぐサッカーを意識して、狙いを持った守備を見せたテクニカルな好ゲームだった。もちろん、ミスはいくつもあったが、どれもプレーの意図が見えるものだった」
山形はカウンタースタイルのサッカーを展開したが、それは後方に人数を割いての守備的なものでは決してなく、高い位置から積極的にボール奪取を狙うもの。後方でボールを持った場面でも中盤の永井を経由してしっかりとタメを作り、ビルドアップの場面では両サイドバックが起点になる。常に複数のパスコースを確保し、パスの角度に気を使った、東欧サッカーを彷彿とさせるようなスピーディな攻撃を繰り出した。前半9分、35分に生まれたレアンドロの2ゴールはどちらもそうした特長がしっかりと表れたものだ。
「相変わらず簡単に失点してしまうことはいただけないが、サッカー自体はいいゲームをやっていると思う」。札幌・柳下監督は自チームをこう評した。「札幌にボールをポゼッションされる時間が長かった」と相手の樋口監督が言うように、大塚、鈴木の守備的MFが中盤をうまくコントロールした札幌がアグレッシブなサッカーを展開していた。最終ラインでボールを戻す場面もあったが、この日はそこで手詰まりになることがほとんどなく、そこからアウトサイドに起点を作り直すことができていたのだ。出場停止明けのエース・フッキもキープ力を発揮し、このフッキが中盤に引いてくる場面でもトップ下の砂川がそのスペースへ飛び出すことでバランスは保たれた。柳下監督の言葉通り、ちょっとした隙から簡単に決定的なピンチを作られてしまうという悪癖をこの日も露見してしまったが、それは山形の鋭い攻撃も重なってのこと。繰り返しになるが、ホームの札幌もアウェイの山形も、相手の良さを消すことよりも自分たちの積極的なサッカーを展開した好ゲームだった。
ポゼッションで上回りながらもちょっとした隙から簡単に2失点する守備のモロさを見せてしまった札幌。狙い通りの形から得点しながら、PKとセットプレーから失点し2点のリードを守り切れなかった山形。どちらも互いに試合運びの拙さ、そしてナイーブさを露にしてしまったが、それを補って余りある積極的なサッカーを見せてくれた。
2−1でリードしたハーフタイムに樋口監督が山形イレブンへ与えた指示は「全体的にもう少し押し上げること」。前半で6つのオフサイドを取っていた最終ラインに、さらに押し上げを要求したのである。ビハインドがあるのならばまだしも1点のリードがあるのだから、リアリストに徹して勝ち点3を目指すのであれば、ラインを下げてセーフティな戦い方をするという選択が妥当だったはず。だが、そうはせずに、よりアグレッシブなサッカーを目指したところにこのゲームの面白さがある。
このドローゲームにより山形は連勝を4で止め、札幌は9試合勝ち星から遠ざかった。しかし、両チームが最後までしっかりと自分たちの目指す積極的なサッカーを貫いたこのゲームは、ある意味では勝敗を超越した重要な価値を持っているだろう。
以上
2006.06.03 Reported by 斉藤 宏則
J’s GOALニュース
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