5月17日（水） 2006 J2リーグ戦 第16節
柏 2 - 1 仙台　（19:04／柏／6,041人）
得点者：'32 李忠成（柏）、'42 ボルジェス（仙台）、'89 ディエゴ（柏）
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前節の鳥栖戦では、後半のロスタイム同点弾に、ポロリと手から落としてしまった勝点2。
「90分間の大切さを忘れてはいけない（柏・GK南）」「前半で得点してからの戦い方が大切（柏・石崎監督）」と課題にした深い反省と悔しさをバネに、降りしきる雨の中でも最後の最後の1分まで気を抜かなかった柏イレブン。
いや、イレブンだけではない。冷たい雨に打たれながらもホームと首位の意地を見せる柏サポーターが、試合前から試合終了のホイッスルが鳴るまで暗い雨空に応援の声を強く響かせていた。

その声が歓喜となって、最高潮に達した瞬間がやってきた。
「今日の勝利は、選手とベンチとスタッフと、そしてスタジアムのサポーターとの喜びを感じて一体になれた」とDF岡山がしみじみ振り返ったその瞬間とは、まさに終了間際の後半44分だった。右サイドをあがったDF小林（亮）と中へ少し入った谷澤との見事なワンツーでDFを交わし、最後はMFディエゴが中央から左足でシュート。ヒーローインタビューで「最後の最後でレイソルの力になれて嬉しい」と話したディエゴが、90分間とその後のロスタイム3分終了までの集中力を、気持ちに込めた決勝弾となった。

キックオフ直後からは「内容は五分五分だった。両チームともゴールを求めてプレーしていた」と仙台のジョエル　サンタナ監督が会見でも話した通り、スリッピーな中での細かいパス回しでも柏ペース、仙台ペースと攻撃の流れは両チームに見られていた。
そんな中で先制したのは、前半32分の柏。左に入ったDF小林（祐）からFW李、ディエゴとパスされたボールは、再び中央の李忠成へ。GKと1対1になったところを、右足でループ気味に浮かせてのゴール。「イメージ通り。落ち着いていた。とにかく点を決めたくて集中していた（FW李忠成）」という、8節から始まった連続8試合出場で3点目を決めた。
10分後の前半42分。仙台MFロペスからのボールを柏がクリア。そのこぼれ球を拾った仙台FWボルジェスが右足で鋭くゴール。「ふと、瞬間的に出た（FWボルジェス）」というパフォーマンスもあり、アウェイバスツアーでやってきた仙台サポーターが陣取るゴール裏が沸く。暫定首位に近づく同点弾となった。総得点数24（Ｊ２最多）で並んでいた両チームの得点も、再び25と並んだ。

前半が終わり、まさに「後半が勝負（柏・石崎監督）」とスタンドも気を引き締めるムード。「次の試合のことや足の状態を考えず、その試合その試合を120％やらないと（柏・DF岡山）」と臨んだ後半も、両チーム互いにチャンスを作りあった。
柏は仙台の攻撃の起点・ブラジル人3選手をMF山根を中心に中盤から止め、仙台は堅守で柏のブラジル人コンビMFディエゴ、MFリカルジーニョをケア。
両チームの志気が高まる中で決勝点が生まれた理由を挙げるならば、リカルジーニョに代わって後半34分に入ったFW宇野沢を前で使うため、1列さがったディエゴへの対応で仙台に一瞬の迷いが出たことかもしれない。今節出場停止となったボランチ・千葉の代わりに入ったMF磯崎は「最後の失点は自分がマーカーだった。自分のミスでやられた。マンマークで徹底して付けば良かった。チームのみんなに申し訳ない」と振り返り肩を落とした。FWボルジェスは「我々の良くないプレーから失点してしまった。誰かのミスというのではなく、チームとしてのミスだと思う」と悔しがった。

一方の柏は、「今日の試合で次郎（特別強化指定選手で10日に登録されて以降2試合スタメン出場のDF鎌田次郎）もレイソルの1員になれたと言えるかも。全力を尽くし、気持ちでも集中できた」と前節の課題克服に加えて、チームの絆をも垣間見せた。上位対決でライバルから勝点3を取って首位を守った柏。しかし、監督は気を緩めることなく次なる課題へと目を向けた。「今日の失点で、時間帯と点差によって（攻守のバランス・タイミングを）考え直さなくてはいけないところがあるんじゃないかと思う」。

第2クールとはいえど、今季のJ1昇格へのターニングポイントとなる一戦の匂いがした好ゲームだった。


以上

2006.05.18 Reported by 脇本カオル