5月17日（水）J2 第16節 水戸 vs 愛媛（19:00KICK OFF/ひたちな）
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　平松が、倉本が、河野が足をつりながらも懸命に守備をし、そして最後はGK武田が体を張ったセーブで相手の猛攻をしのぎきった。前節、東京V戦はまさに『魂の勝利』と言っていいだろう。これにより水戸は今季2度目となる2連勝を挙げ、7位に浮上。第2クールを最高の形でスタートを切っている。

　好調の原因はなんといっても2試合で4得点を決めているアンデルソンの活躍だ。「チームメイト、コーチングスタッフが日本のサッカーを教えてくれた」と話すように彼自身が日本のサッカーや土地に慣れ、調子を上げてきたということも大きいが、前々節の札幌戦で「自由にやらせた方がいい」（前田監督）として1トップシステムに変更したことがターニングポイントとなった。彼の周りに大きなスペースを作ることで持ち前の馬力を生かしたドリブル突破は威力を存分に発揮し、ゴールへと向かうシーンは確実に増えた。『攻撃はアンデルソン頼み』という傾向は進むこととなってしまっているが、現有戦力を見たときには最も現実的な起用法と言っていいだろう。彼が『個』で打開できることで、守備もバランスを崩すことがなくなり、水戸は相手から見るとさらに戦いにくいチームとなっている。

　しかし、水戸の好調の原因はアンデルソンだけではない。MF椎原もまたシステム変更により持ち味を発揮しはじめた1人なのである。「水戸のボランチは守備ありき」（椎原）ということもあり、それまでのボランチ起用では守備に追われる時間が長かったものの、前々節の札幌戦からトップ下に配置されたことにより、優れたパスセンスを発揮できるようになった。中盤で起点がつくれないため、チームとして攻撃は縦へ急ぎすぎるきらいがあったが、彼が前線でタメをつくることでそれは解消されつつある。さらにこのポジションで経験を積めば水戸の攻撃力はさらに上がることだろう。今節の相手は愛媛。この2人を軸とした攻撃力を武器に前回の対戦でシュート2本で終わったという汚名を晴らしたいところである。

　対する愛媛は7試合勝利から見離されているものの、第13節の山形戦ではロスタイムまでリードを奪う展開を見せ、第14節の東京V戦も相手のシュートを3本に抑えるなど内容面では決して悪い戦いをしているわけではない。それだけに今節は勝利に固執した姿勢を見せてくることだろう。ポイントはやはりアンデルソンをいかに抑えるかということになるが、これまで通り組織された3ラインでコンパクトな守備を保つことで彼のスペースを消せるはず。彼へのボールの配給源も前線からの守備で防げるだろう。あとはリーグ最少得点の愛媛が堅守の水戸をいかに崩すかということだが、攻撃の核でもある濱岡を中心にサイドから攻めることで穴は開くはず。前節、東京V戦も水戸は右サイドを何度も崩されており、愛媛はそこを突いてチャンスを生かしたい。

　3連勝を狙う水戸にとっては前節の東京V戦で見せた『魂』を今節も見せることが必要となる。相手は下位チームだからと言って甘く見てかかると痛い目に遭うだろう。愛媛は週末の試合がなく、休養十分。中2日での試合で疲労度の高い水戸にとっては辛い90分となることだろう。そういった面を含めて、今節も水戸の勝利への条件は『気持ち』を見せることに他ならない。

　そして、今節は平日開催で、さらに本拠地『笠松』ではく、『ひたちなか』での開催であり、厳しい観客動員が予想される。それだけに『水戸』にゆかりのある人はぜひともスタジアムに足を運んでほしいし、周りの人にも声をかけあって1人でも多くの人を連れてきてほしい。スタジアム全体で選手を後押しすることができるか。3連勝に向け、サポーターの力も必要だ。

以上

2006.05.16 Reported by 佐藤拓也