5月14日(日) 2006 J2リーグ戦 第15節
鳥栖 2 - 2 柏 (14:05/鳥栖/7,047人)
得点者:'11 岡山一成(柏)、'20 平山智規(柏)、'86 高地系治(鳥栖)、'89 廣瀬浩二(鳥栖)
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「終了の笛が鳴り終わるまで、何が起こるかわからない」
サッカーでは良く使われるフレーズだ。今節の鳥栖vs.柏の一戦は、まさにこのフレーズがぴったりの試合となった。
約2週間ぶりにホーム鳥栖スタジアムは、鳥栖イレブンを迎えた。サポーターも飢渇の思いで迎えたに違いない。ホーム戦の間が長ければ長いほど、サポータの期待度は上がる。しかも、今節の対戦相手は、前回の対戦で完敗を喫した柏であるから、なおさらのことである。
しかし、開始の笛とともに柏が鳥栖ゴールに襲い掛かった。ディエゴが中盤から前線までを自由に動き、李が鳥栖DFの間を我が物顔で通り抜ける。山根と谷澤はサイドを駆け上がり、DFの小林までもが高い位置でフリーになっている。これらのバランスをリカルジーニョが埋めている。ボールを支配し、鳥栖イレブンを弄ぶかのようにパスをつないでいく。この状態が85分まで続いた。
「今日は勝ちたいです」と力強くキャプテンの高橋は語った。
「抑えるべきところは分かっている」とDF飯尾は自信を見せた。
試合前の鳥栖イレブンは、久しぶりのホーム戦にかける想いをそれぞれの胸に秘めて試合開始の笛を聞いた。
しかし、その思いとは裏腹に柏の猛攻を耐えることになる。
11分に3度目のCKを柏が得た。ゴール前にはDF岡山が上がっている。マークするのは189cmの金裕晋。当たり前に競っていてはゴールを奪うことができない。3度とも柏選手は入り方を変えた。この変化に金裕晋は付いて行けず、先制点を岡山のヘディングで先制点を許してしまった。
20分には、鳥栖CKのこぼれたボールを李・リカルジーニョ・平山とつなぎ、追加点を奪われた。
鳥栖は更なる追い討ちを受けることになる。30分には攻撃の要である尹晶煥が負傷退場し、39分には金裕晋が2枚目の警告を受けて退場になってしまった。
この時点で試合の大勢は決まったと誰もが思っていたと思う。そして後半開始から攻守のバランスを取り続けていたリカルジーニョを永井に代えて来た。
だが、鳥栖の選手たちは数的不利と2点のビハインドを取り返すべく必至に戦っていた。尹に代わった山口がFWとDFのバランスを取りつつ、サイドにボールを供給し続けた。72分には疲れの見えた山城に代えて、スピードのある廣瀬を入れた。75分過ぎからは3バックに変えてDF高地を中盤にあげて攻勢をかけようと試みた。怪我で出遅れた加藤の復帰があったからこそのシステム変更である。この交代枠で入った選手が、それぞれの能力を発揮して、終了間際のドラマへとつながっていく。
86分に山口からボールを受けた高地が、左サイドで積極的に仕掛けて右足で柏ゴールを揺らした。終了間際には、左サイドからの山口のセンタリングに廣瀬が頭で押し込んだ。このわずか5分ほどの鳥栖の猛攻が、85分間の柏のポゼッションを台無しにし、85分間の鳥栖の苦境を救った。
サッカーには作戦タイムはない。監督は選手交代でその意図を伝えるしかない。
鳥栖の松本監督は、尹が負傷するとゲームメイクができる山口を入れた。金が退場になるとFW奈良崎を下げてDFに加藤を入れた。廣瀬を入れたタイミングで4バックから3バックに変えた。
1枚目の交代で、システムの変更を行わず攻めの姿勢を見せた。2枚目には、数的不利な状態になったので守備の意識を見せた。3枚目では、2点差を取り返す姿勢意識を鮮明に見せた。
一方の柏石崎監督は、2点差の優位を持ったまま、79分に李に代えて初出場となる長谷川で2枚目の交代カードを使った。1点差に詰め寄られた直後には、平山に代えて石館でカードを使い切ってしまった。
結果論かもしれないが、この日の両監督の選手交代の意図には、必至さと慢心の差があったように思える。
このことは選手に対しても言えることがある。
ロスタイムに入って柏はCKを得た。当然のごとくコーナー付近で終了のホイッスルを待つ作戦である。ボールキープ力のあるディエゴがこの任にあたっていた。鳥栖DFは必死に奪いに行く。続けて柏がCKを得た。セットプレーでは相手選手は10ヤード離れていないといけない。時間をかけるには最高のシチュエーションである。が、ディエゴはこのCKをゴール前にいた長谷川に向けて蹴ったのである。結果的にこのボールはゴールキックとなり、ロスタイムの鳥栖の同点弾となった。
サッカーは終了の笛が鳴るまで何が起こるかわからない。
引き分けだったが、柏は勝ち点2を失い、鳥栖は1を得た。
以上
2006.05.14 Reported by サカクラ ゲン
J’s GOALニュース
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