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【ヤマザキナビスコカップ 甲府 vs C大阪 レポート】良くも悪くも甲府らしい負け方。今のスタイルを貫くにはプレーの精度をあげることが課題。(06.05.11)

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5月10日(水) 2006 ヤマザキナビスコカップ
甲府 0 - 1 C大阪 (19:02/小瀬/7,093人)
得点者:'89 西澤明訓(C大阪)
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■特J!プレイヤー: 苔口 卓也選手(C大阪)
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「こんなに1勝を欲しいと思ったことがない」
監督会見の後、C大阪の塚田監督は言った。会見でも「この試合は特別な思い入れがあった」と建前無しに正直に話した。山梨県出身で、山梨のサッカーに貢献してきた塚田氏は甲府がJ2に参戦したばかりの苦しい時期に監督を務めた人物。J1に昇格した甲府に対して、自分が他のチームの監督として対戦するとは夢にも思わなかっただろう。C大阪の監督に就任して5試合目で掴んだ初勝利は、故郷のクラブ・サッカー仲間に対するに強烈な恩返しになった。

お互いに勝利を渇望する状態で対戦した甲府とC大阪。甲府は立ち上がりからポゼッションではC大阪を上回った。しかし、今の甲府は、ここからなかなか先に進むことができない。甲府はガチガチに守ることが出来るチームではないし、そうする意思もない。攻撃的にゲームを組み立てて勝利を目指すスタイルは、昨年もJ1に昇格した今年も変わらない。ただ、今年は攻撃的に前に出る中で、ボールを失いカウンターを受けることが少なくないし、相手の狙いにもなっている。「ボールだけに食いつかず、シンプルに飛び出してくる2人目、3人目の動きに対して組織を作る」という趣旨の狙いをC大阪は持っていた。

個で崩すことが難しい甲府は、組織でゾーンをしっかりと埋められてしまうと苦しくなる。前半は、ポゼッションしながらもシュートは3本と、C大阪の4本を下回ってしまう。フィニッシュの精度はもとより、フィニッシュの1歩、2歩手前でボールを奪われてカウンターを受けることが最大の理由。シュートで終わればカウンターはないのだから。

前半の前半は、ポゼッションが出来ながらもシュートチャンスが増えない甲府。このことで迷いが生まれたのか、思案するようにボールを下げて回す場面が出て、そこからリズムがC大阪に移った。なかでも、FWに起用された苔口がスピードを活かして前半のチャンスの殆どに大きく貢献した。塚田監督は「(苔口は)前半、全然駄目。やることを整理しないと後半10分で交代だ」とハーフタイムに伝えたが、これは期待の裏返しでもあったのではないだろうか。結局、苔口は後半33分までピッチに立ち続けることが出来た。

後半のC大阪は、立ち上がりに下村→苔口とパスを繋いで、前掛りの甲府に脅威を与えた。コンビネーションではもっと期待する部分があるのだろうが、1対1において苔口が素晴らしい素質を持つ選手であることは明らか。そして、最初に動いたのは大木監督。アンカーの奈須を鶴見に替える。18分にはロングクロスの精度が高いアライールを投入して攻撃的に行くメッセージをピッチ内に伝えた。塚田監督は27分に森島と西澤を同時に投入してくる。ゲームが動かない中、選手交代が続き、最もスタンドが沸く瞬間がやってくる。3月7日にヘルニアの手術を行ったスーパーサブ・須藤の登場だった。気合の入った泥臭いゴールが魅力の選手が予定より早く戻ってきたことを、サポーターは大歓迎した。須藤が入ってからスタンドだけでなく、ピッチ内も活力が蘇ったように感じた。須藤の投入で甲府はシステムを4−4−2のボックスに変更して、2トップは山崎と須藤となった。35分には左サイドに流れた石原がセンタリングを入れ、保坂がヘッドで合わせるが角度を変えきれずにゴールの枠を外れてしまう。非常に惜しいシュートだった。

このようなチャンスにゴールが決まれば相手が前に出てくるようになり、甲府の攻撃力が生き、リズムが生まれるのだが、ここで決めきれないために苦労しているのが今の甲府。そして、ロスタイムに中盤の判断と技術的なミスからボールを奪われ、カウンターを受けてしまう。前掛りになっていた甲府は、ビジュと秋本しか残っておらず、2対3の状態になっていた。そして、フリーでゴール前に詰めていた西澤が森島からのボールをインサイドキックで確実にゴールに流し込んで勝負が決まった。喜びをかみ締めるように静かに抱き合うC大阪の選手たちの背中に、1ヶ月以上勝ちから見放されていた苦悩を感じることが出来た。「塚田監督と小林前監督のためにも勝ちたかった」という言葉にも選手の責任感が表れていた。

勝利で気持ちを切り替えるチャンスを得たC大阪に対して、甲府は良くも悪くも甲府らしい負け方だった。引き分けを狙って、最後はセーフティに行くという選択肢を取らないところが甲府らしい。J1の、殆どのチームに対してリズムを作れることに対する自信はあるだろうが、それを継続するためにはゴールが必要。しかし、そのゴールが遠い。いいリズムでゲームを進めていても、ミスでリズムを失ってしまう。そして、カウンターを受ける。今のスタイルを貫く以上、シュートを含めたプレーの精度を上げるしかないのが現状ではないだろうか。

甲府に残されたナビスコカップのゲームは大宮、磐田とのアウェー戦が2つ。2連勝できれば2位通過の可能性は充分にある。大宮戦、磐田戦は見逃すことができない戦いになるだろう。

以上

2006.05.11 Reported by 松尾潤
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