4月1日(土) 2006 J2リーグ戦 第6節
湘南 0 - 1 鳥栖 (14:04/平塚/4,029人)
得点者:'60 新居辰基(鳥栖)
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試合の入り方は悪くなかったはずだ。湘南は前線からプレッシャーを与え、長短のパスを繋ぎ、ときにドリブルで仕掛ける。バックスタンドのチームフラッグに弛むことを許さない強い向かい風のハンデも感じさせない。逆に鳥栖はFW新居辰基がDFラインの裏を狙う動きを見せるも、ビルドアップ時の人の動きは少なく、パスを回しながらもリズムに乗り切れてはいなかった。丁寧なパス交換と表裏一体の停滞感には、守備に転じた際の湘南のポジショニングとボールに対する反応の鋭さに要因の一端があったといえるだろう。いずれにせよ、動き出しの速さは湘南が優っていた。
しかしペースを引き寄せても湘南の決定機には至らない。背景には、「高い位置でボールを奪えなければ引いて10人で守るよう指示していた」という松本監督の思惑が働いていた。開幕から早くも3敗を喫し、うち2試合で複数失点を記録している鳥栖にとって、「無失点」が今節の大きなテーマだった。そして守備を徹底し、カウンターをケアしながら慎重にパスを回す相手のペースに、じわじわと湘南が飲み込まれていく。立ち上がりに見せていた素早いプレスは次第に影を潜め、鳥栖の攻撃のテンポに同化していった。リズムを狂わされスピードを失った守備網は、相手のパス回しがシフトアップするたびに綻びを見せる。30分過ぎには山城純也のポスト直撃弾や新居の枠を捉えるシュートなど、ゴール前での決定的な場面も許した。
「よい入り方をしていながら自らペースを崩してしまった。もどかしい」試合後、上田監督は厳しい表情で語った。前半の終りから、またハーフタイムにも指揮官は修正を図っている。実際、後半に入るなり湘南は反応の素早さを取り戻し、ニヴァウドやアジエルを起点に相手ゴールを脅かすなどペースを取り戻しかけた。だが鳥栖もボールを奪うとシンプルにパスを繋ぎ、戻りの遅い相手のゴールに押し寄せていた。
一進一退の展開のなか試合が動いたのは60分のことだ。直前に湘南は、執拗なマークをかわしたアジエルのドリブルから、中央に走りこんだ坂本紘司が寸分の差でオフサイドの網に掛かり、惜しくも決定的なチャンスを逃していた。湘南にとっては、その残像も影響したのかもしれない。直後、鳥栖は尹晶煥がボールを奪うと、オフサイドラインギリギリを突いて飛び出した新居が左足を振り抜き、決勝点をあげた。その後、湘南は相手陣内に攻め込み、再三にわたるコーナーキックなどで得点の匂いを漂わせものの、鳥栖の守備の徹底は最後まで途切れず、ホイッスルを聴いた。
「総合力の高い湘南を無得点に抑えたことが今日一番のポイント。もっと点を取れたとも思うが、今後の発展のためにも大きな一戦だった」課題を踏まえつつ、松本監督はしてやったりの表情を見せた。対湘南を見据えて準備した戦略の徹底によって、初勝利に続く連勝を招き入れた手ごたえは大きい。一方、「我々の戦い方ができない部分があった」と、上田監督は振り返った。勝負の綾は残酷で、正直だ。そして勝負に終りはない。明暗を分けた魔物を駆逐することが、つぎへの道を開く。
以上
2006.04.02 Reported by 隈元大吾
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