3月21日(火) 2006 J2リーグ戦 第4節
湘南 1 - 0 仙台 (13:04/平塚/6,826人)
得点者:'51 横山聡(湘南)
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プレビューで私は、前節で露見した弱点を克服したほうが勝利に近づくという旨を記していた。その観点で言えば、弱点としていた右サイドをさして狙われる場面もなく、さらに右だけでなく左のサイドアタックで決勝点のきっかけを生み出した湘南と、対照的に前節とはまた別の、新しい弱点をさらけだしてしまった仙台とが戦えば、おのずと結果は見えている。
まず仙台から語ると、FWロペスとボルジェスは共に未だ守備での動きがちぐはぐ。湘南が一度ボールを低い位置に引くと、仙台はボール保持者にプレスに行く人員が足りなくなり、そこからロングボールやサイドチェンジなど、まさに好き放題やられていた感がある。中田が「どこでボールを取りに行ってよいかわからないから、パスを回されたら常にゴール前まで持っていかれていた」と振り返ったのも無理はない。
そしてこの日の仙台は、こうした湘南の揺さぶりの影響もあるのだろうが、とにかくサイドの守備がもろかった。両サイドで簡単に数的有利を作られ(と言うよりも、勢いに乗って襲ってくる湘南のサイドアタックに対して、サイドバック1人で応対を求められる場面が多すぎて)、チェックの及ばない範囲でのクロスや、サイドバック裏へのスルーパスなど、サイド攻撃のお手本かと思える湘南の攻勢に終始さらされてしまったのだ。後半半ばでは、まず仙台の左サイドで、寄ってきた佐藤が磯崎の裏に走りこむ須田へ完璧なスルーパスを通し、さらにその直後、今度は右サイドで、坂本が中田の裏に出た尾亦へ同様にスルーパス…と、左右で場所と人を変え、全く同様の形で崩された。
一方でそれは、湘南が自らのホームゲームで、弱点を克服してみせた光景でもあった。前節で攻め上がりを削がれ、魅力を半減させていた右サイドバックの須田は、仙台の守備プレッシャーのゆるさにも助けられ、右サイドで再び勇躍していた。さらに右サイドの課題を解決した湘南は、同時に左サイドにある新たな武器を確認した。左サイドバックの尾亦と、この日左サイドハーフでスタメンに復帰した坂本は相性抜群。前述のシーンだけでなく、その他様々な形で仙台の右サイドを侵食して行った。その影響をもろに受け、スタミナを浪費させられた仙台の右サイドバック中田は、前節同様後半途中に交代させられている。
決勝点が生み出されたのは、この左サイドからだった。51分、左サイドを突破しかけられた仙台は、梁が強引なファウルで止める。湘南は早いリスタートで仙台に揺さぶりをかけ、ショートパスの交換から最後は佐藤がフリーでセンタリング。急なピンチに準備が遅れた仙台守備陣の間隙を突いて、ゴール正面でフリーとなった横山が渾身のダイビングヘッドをお見舞いする。強烈にネットを揺らしたこのゴールが決勝点となり、湘南は内容に対する最低限の報酬とも言える勝点3を手にした。
最少得点差で敗れた仙台にも、全く光明がなかったわけではない。後半途中から投入された村松は、左サイドでのチャンスメークという自らの持ち味をしっかり理解し、短い時間でチームの流れを改善させていた。彼のように各々の持ち場で計算できる選手が見つかれば、それもまたチーム力の向上に直接つながる。徳島戦の大勝で忘れられた部分もあったが、サンタナ監督は開幕前「開幕から5試合はチームを作る時期、上手くいかないこともあるかもしれない」と語っていた。今節は確かに辛い内容であったが、まだ悲観するには早すぎる。「まだシーズンは長いです」サンタナ監督の、今日の締めの言葉である。
一方、完璧といえる内容だった今節の湘南。次節が休みなのが惜しいくらいだろうが、無理矢理に課題を見出すとすれば端的に言って決定力不足。カウンターで何本も決定的なチャンスが続いた前半半ばに1本でも決まっていれば、もっと試合を楽に進められたはず。特にアジエルが今後も同様の使われ方をすれば、今日くらいのチャンスを得られる可能性も大きいだけに、彼の決定力向上はそのままチームの成績上昇につながるだろう。
以上
2006.03.21 Reported by 佐々木聡
J’s GOALニュース
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