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【J1:第4節 鹿島 vs 甲府 レポート】17歳の新人・内田とようやく覚醒したFWアレックス ミネイロの活躍で鹿島が3試合ぶり勝利。甲府は力の差見せつけられる。(06.03.21)

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3月21日(火) 2006 J1リーグ戦 第4節
鹿島 3 - 1 甲府 (14:04/カシマ/14,815人)
得点者:'26 内田篤人(鹿島)、'56 アレックスミネイロ(鹿島)、'72 オウンゴ−ル(甲府)、'76 アレックスミネイロ(鹿島)
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 開幕のサンフレッチェ広島に勝った後、横浜F・マリノスに敗れ、名古屋グランパスに引き分けるなど、今ひとつ波に乗れなかった鹿島アントラーズ。しかしこの日は違った。17歳の新人・内田篤人が1ゴール1アシストの大活躍でチームに活力を与え、ここ3試合無得点だった助っ人外国人FWアレックス ミネイロも2得点をマーク。深刻だった『決定力不足』を見事に解消し、今季J1初参戦となるヴァンフォーレ甲府にトップレベル経験と自信、実力を見せつけた。

 J1第4節、鹿島対甲府の一戦が21日14時からカシマスタジアムで行われた。東京で桜の開花宣言が出たこの日、鹿嶋も気温が16度まで上昇。穏やかな陽気に誘われて1万5000人近い観衆が集まった。

 何とか悪い流れを断ち切りたい鹿島のアウトゥオリ監督。左ヒザ負傷が癒えたフェルナンドを先発させると見られたが、彼はケガを再発させ、ベンチにも入っていなかった。スタメンは前節と全く同じだった。対する甲府は右かかと痛の癒えた背番号10・藤田健がついに先発に戻ってきた。藤田欠場の間には中盤を務めていた石原克哉がFWに入り、昨年末のJ1・J2入れ替え戦を戦った4-3-3にかなり近い顔ぶれだった。

 試合は立ち上がりから鹿島が主導権を握った。彼らは巧みなボール技術と鋭いパス回しを駆使し、相手陣内に攻め込んだ。しかし自陣に引いて守り、カウンターをしかけようとする甲府の意思統一された戦い方に苦しみ、思うように決定機を迎えられない。相手に危ない場面を作らせはしなかったが、点が入りそうで入らない展開に鹿島の選手たちは時間が経つにつれて苛立ちかけた。

 そんなもやもやした空気を払拭したのがルーキーの内田。前半26分、青木剛からのボールを右サイドで受けた彼は、突進してきたDF秋本倫孝を粘ってかわし、そのままドリブルで持ち込んで左足でゴールを決めたのだ。開幕からレギュラーをつかんでいる新人右サイドのJ初得点でやや沈滞していたチームのムードが一気によくなった。

 甲府は持ち前の運動量や攻守の切り替え、機動力あふれるサッカーがまるで出せなかった。エース・バレーも驚異的な爆発力が影を潜めた。「相手が鹿島ということで気持ちの面で受け身に回っていた。先手を取れずに全てが後手後手に回っていた」と大木武監督もおかんむり。後半から巻き返しを図ろうと、動きの悪かった長谷川太郎に代えて大西容平を投入する。これで多少なりとも流れが変わったかと思われたが、外に開いたバレーのクロスに飛び込んだ石原のタイミングが微妙にズレるなどどうしても得点が奪えない。

 もたつく甲府を尻目に鹿島は大きな挙げる。後半11分だった。先制点を挙げている右サイド・内田のクロスにアレックス ミネイロが反応。頭でこするような形でゴールを奪ったのだ。昨季15点を奪いながら、今季は得点感覚を取り戻せなかった彼のゴールで鹿島は勝利を力強く引き寄せた。

 敗色濃厚となった甲府はここからやっと反撃に出る。中2日の疲労が出てきた鹿島イレブンの足が止まったこともあって、両サイドを使いながらFWや中盤の選手たちがゴール前へ飛び出すアグレッシブなサッカーがようやく機能し始めた。27分には大西が右から上げたクロスをバレーが競りに行った。これがDF岩政に当たってオウンゴール。ラッキーな1点を得て、甲府の勢いは一段と増すかと思われた。その予想通り、30分にはエース・バレーがゴール前でパスを受けフリーになった。が、彼は野球に例えるなら『ホームランか三振か』といったタイプのストライカー。残念ながら今回は三振をしてしまう。彼がイージーなシュートを決められず、甲府は貴重な同点のチャンスを逸した。

 J1で9回もタイトルを取っている常勝軍団はそんな相手に引導を渡すことも忘れなかった。迎えた31分、カウンターから攻めあがった新井場徹が中央に折り返したボールを再びアレックス ミネイロが頭で合わせ3点目をゲット。「ここ最近のウチは2点を取ったらそれでガックリくるような雰囲気があったけど、今日はさらに畳み掛けることができた。3点目が大きかった」とキャプテン・小笠原満男も彼の働きを賞賛した。

 結局、試合は3-1で鹿島が勝利。勝ち点を7に伸ばし、順位も一気に5位(暫定)まで上げてきた。オウンゴールによる失点はあったが4試合を消化しようやく守りの連携が取れてきた。攻撃陣もアレックス ミネイロが目を覚まし、内田も新人ばなれしたのびのびしたパフォーマンスでチームに活力を与えた。これは非常に明るい材料だ。彼らから刺激を受け、柳沢や小笠原、本山雅志の得点力がアップすれば、鹿島が優勝戦線に加わるのは確実だろ。甲府はそんなJ1強豪チームに底力を見せつけられた格好となった。「後半はそん色なくやれていた」と大木監督は手ごたえも感じたようだが、クロスやフィニッシュなど勝負を決めるプレーの精度にはやはり差があった。そのあたりをいかに埋め、トップレベルのサッカーに慣れていくのか。今後へ新たなテーマが浮き彫りになった一戦だった。

以上

2006.03.21 Reported by 元川 悦子
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