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【第85回天皇杯5回戦:広島 vs 清水レポート】満身創痍の清水が、ルーキーの活躍により、広島にリベンジ!(05.12.10)

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●第85回天皇杯5回戦
12月10日(土)13:01/広島ス/3,015人
広島 0−3 清水
得点者:10'久保山 由清(清水)、11'兵働 昭弘(清水)、57'マルキーニョス(清水)
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 「2週続けて、同じチームに負けられるか!」
 怪我人が続出し、満身創痍の清水を支えていたのは、その意地だけだった。その意地がモチベーションとなり、立ち上がりの広島の猛攻をしのいで反撃する活力と粘りを清水にもたらした。まさに気持ちでつかんだ快勝劇だった。

 清水は、悲惨なチーム状況にあった。センターフォワードのチョ・ジェジンの怪我は回復せず、練習にもまだ合流できない上にチェ・テウクもベンチに入れない。平松や北嶋はベンチ入りまでこぎつけるのが精一杯。斉藤・佐藤・杉山・山本真希・太田と主力と目される選手もことごとく怪我で出場できない。それに加えて、リーグ終盤に清水の中盤を支えてきたルーキー・枝村も、練習中に右足首を捻挫してしまった。

 本来であれば休ませたい。しかし、枝村不在ではチームが組めない。長谷川監督はギリギリの段階で彼の先発を決断し、枝村は痛み止めを飲んで試合に出場した。だが、結果として、この決断が「吉」と出たのである。

 ディフェンス面で枝村は、ベットと森崎和を兵働と共にどう抑えるか、という課題を長谷川監督から与えられた。森崎和の展開力とベットの個人技は広島の脅威であり、彼らを自由にやらせると、前週と同じ結果となる。そこで枝村は、まず森崎和にボールが入ると厳しくプレスをかけた。さらに、ベットが内側に切れ込んでくると兵働とマークを受け渡し、彼の圧力に対して必死に抵抗した。

 それでも試合開始当初は、広島の猛攻を受けた。が、そこをDFラインの集中によって跳ね返すと、今度は枝村が攻撃で躍動する。伊東に守備とチームバランスは任せ、ペナルティエリアにどんどん飛び込む勢いを見せたのだ。両MFがサイドに開いた清水のシステムにおいて、FWかボランチのどちらかがトップ下に入ってこないと、厚みのある攻撃はできない。今日は枝村がそこにどんどんと飛び込んできたために、マルキーニョスと久保山がよりゴールに近い場所で、プレイすることができるようになった。

 実際、この試合の流れを変えた1点目は、枝村が前に出てボールを受け、左に正確にボールを配球したことから生まれた。そして、高木純のクロスに対して枝村が飛び込むことにより広島の守備が乱れ、久保山がフリーでシュートを決めることができたのだ。さらに流れを決定付ける1分後の追加点は、相次ぐ怪我人のため右サイドに回らざるをえなくなった兵働が決めた。左ききの兵働にとって、右サイドからクロスを入れることは難しい。しかし、巻き込むようなシュートを放つのであれば、逆に右の方がやりやすいわけだ。失点とミスに動揺した広島のマークが甘くなったこともあるが、逆サイドのネットに突き刺したループ気味のシュートは、「美しい」の一言につきる。

 この2点で完全に流れをつかんだ清水だが、前半終了間際では中盤でのミスが相次ぎ、広島に攻め込まれている。大木の頭脳的なディフェンスからボールを奪われ、ベットの個人技による飛び出しにさらされ、一時はDFラインもパニックに陥っていた。もし、40分の大木と42分の森崎和が見せた「飛び出し」からのシュート、そのどちらかが決まって1点差になれば、試合はどうなっていたかわからない。

 後半、広島の小野監督は李に代えて桑田を投入し、打開を図る。が、その桑田の守備のほころびから清水はチャンスをつかみ、57分にはマルキーニョスが決定的な3点目を叩き込んで勝負を決めた。枝村と兵働の攻守にわたる活躍でゴールを奪い、青山が広島の攻撃を自信を持って跳ね返して勝利をつかむ。ボロボロの状態で広島に乗り込んだ清水は、ルーキートリオの活躍で、見事なリベンジを果たしたのである。

 一方の広島は、今年最後のホームゲームに駆けつけたサポーターの期待を、完全に裏切る結果と内容のゲームとなった。ミスから失点してしまうとそこからネガティブになってしまうメンタル面の悪癖は、結局最後まで広島のアキレス腱となったのだ。「声は出ている。でも、逆境になるとその声がバラバラになってしまう。そこを僕がまとめてないといけないなんだが…」とキャプテン・森崎和は唇をかむ。このずっと指摘され続けたメンタル面の課題を解決していかないと、広島のタイトル奪取は実現しない。来季に向け、大きな課題が突きつけられた試合となった。

以上

2005.12.10 Reported by 中野和也
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