7月26日（火）Bolton Wanderers FC-Japan Tour 2005「震災10年神戸からの発信」
神戸 1-1　ボルトン・ワンダラーズFC（19：35/神戸ユ/10,845人）
得点者：51分　北本久仁衛（神戸）、63分　エル・ハジ・ディウフ（ボルトン・ワンダラーズFC）
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　試合前、神戸ユニバー記念競技場に向かう人の群れの中に多く見られた背番号『11』のレプリカユニフォームを着た人たち。年輩の男性から、小さな子供まで、幅広い年齢層に背番号『11』の男、FWカズ（三浦知良）が愛されたことが見てとれる見慣れた風景だ。それはスタジアムに足を踏み入れてからも同じこと。詰め掛けたサポーターは10,845人と決して多くはなかったものの、スタンドのあちこちから「カズ〜」との声が飛び交う中、プレシーズンマッチ『ヴィッセル神戸VSボルトン・ワンダラーズ』戦が幕をあける。

　もちろん、先発メンバーには、この試合をもって横浜FCへの完全移籍が決定しているFWカズが、6月11日のナビスコカップ第6節・大宮戦以来、約1ヶ月半ぶりに名を連ねる。キャプテンマークを左腕に巻き、イレブンの先頭に立ってピッチへと足を踏み入れるFWカズ。
「神戸はとても愛着がある街。サポーター、市民の皆さんからは、応援してもらっているという気持ちがいつも伝わってきていました。そういう人たちに僕自身がいつも勇気をもらっていたからこそ、これまで4年半やってこれました。その感謝の気持ちを込めて、ボルトン戦を戦いたいと思います」という気持ちのもと、試合開始のホイッスル直後から、背番号『11』がピッチ上で躍動する。

　先に見せ場を作ったのは神戸。0分。MF朴のパスを受けたMFホルヴィが思いきりよく左足を振り抜くが、ボールはバーを越える。さらに7分にもMFホルヴィのフリーキックにDF北本が高さのあるヘディングで合わせるも、放ったシュートは右ポストにあたって跳ね返り、こぼれ球も拾うことができず。
　FWカズの見せ場は26分。中盤で繋いで最後は右ポスト前からのFW平瀬のパスに合わせてシュートを狙うが、ボルトンGKが正面でチャージ。36分にも左サイドDFホージェルのグラウンダーのパスに、ダイレクトでゴールを狙うが、こちらも、枠をとらえられない。その間には、ボルトンがリスタートから何度かゴールチャンスを得るも、GK荻の好セーブもあり得点を許さず。0-0のまま後半を迎える。

　後半、ハーフタイムを終えて再びFWカズがピッチに登場すると、サポーターから『カズコール』が沸き起こる。神戸は3人の選手を交代してスタート。その神戸がゴールを奪ったのは、キックオフから6分後のこと。51分、右サイドのMF坪内からのセンタリングにDF北本が頭で合わせ、待望の先制点を奪い取る。だが、ボルトンも負けておらず、63分ゴール前、神戸GKのクリアボールをDFラジ・ジャイティがFWエル・ハジ・ディウフへと繋ぎ、それをヘディングで流し込んで、すぐさま同点に追い付く。
　以後は、両者ともにメンバーを入れ替えながら、ややペースダウンした展開に。それでも、神戸が攻撃態勢に入るたびに『カズコール』がスタジアムに響き渡ったが、残念ながら、待望のカズゴールは見られることなく84分にFW大江に交代。神戸のピッチをあとにしたFWカズ。終盤はボルトンがやや攻勢に出る中で、あわやゴールかと思われる場面も多く見られたが、結果的にはロスタイム2分を含め両者にゴールは生まれず、1-1のまま試合終了。

　試合後のセレモニーでは、スタンドのファンに見守れながら、また、多くの報道陣のフラッシュを浴びつつ、マイクの前に立ったFWカズ。「この4年半、ヴィッセル神戸で戦えたことを誇りに思う。そしてこの神戸で得たことを次の横浜FCで絶対に活かしたいと思います。チームメイトには本当にお世話になりました。いつも僕をフォローしてくれて、いつも勇気づけ、助けてくれてありがとう。そしてサポーターのみなさんにも本当にたくさんの勇気を貰いました、ほんとうにありがとうございました。しかし、まだまだ自分のサッカー人生は続きます。次の場所に行っても、自分の魂と精神を忘れず、一生懸命やりたいと思います。これからも応援お願いします」と力強く話し、最後は大声で「大好きな神戸、ありがとう！！！」と締めくくった。


以上

2005.07.27 Reported by 高村美砂