7月25日（月）REAL MADRID WORLD TOUR 2005 IN JAPAN
Life CARD CUP
東京V 3-0 レアル・マドリードC.F.（19：15/味スタ/30,125人）
得点者：6分　小林大悟（東京V）、26分　ワシントン（東京V）、53分　山田卓也（東京V）
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　両チーム共に中1日という強行日程で行われた東京V対レアル・マドリードの一戦。レアルに至っては前日に中国から移動してきたばかりで、主力選手のコンディションがいいはずはない。しかし、ルシェンブルゴ監督の「ファンに楽しんでもらいたい」との言葉通り、欠場が懸念されていたベッカムを含め、ベストの布陣がスタメンに名を連ねた。

　味の素スタジアムの３０１２５人の観客は、そのベッカム、ロナウド、オーウェン、ジダン、ラウル・・といったスター選手を大歓声でピッチに迎え、これから目の前で繰り広げられるであろうスーパープレーに思いを馳せる。周囲のボルテージが高まる中のキックオフとなった。

　立ち上がりにチャンスを作ったのは大方の予想どおりレアル。開始直後、ロナウドがペナルティエリア内でシュートを放てば、5分にはベッカムがエリア外からミドルシュート。が、レアルの勢いを感じたのはここまでだった。1分後、東京Vに先制点が決まってからは、ゲームは終始東京Vペースで進むことに。その先制点は前半6分、MF林が出したパスは相手DFに当たりながらもゴール前、小林大悟のもとへ。これを左足で落ち着いてゴールを決めた。「絶対本気にさせてやろうと思っていた。その為には先に失点しちゃだめだと思っていたら、（早い時間帯に）大悟のゴールが決まっておもしろくなった」とDF戸川が振り返ったように、これではずみのついた東京Vは、平本が中央から、相馬・山田が左右からレアルのDF陣を崩しにかかる。

　守っても「林くん、戸田、戸川の4人でBOXを作っていこうと話していた。うまく連動できたと思う（DF上村）」。レアルの見せ場は10分頃のベッカムからオーウェンに入れたクロスくらいか。ジダンを中心に、ラウル、ベッカム、オーウェン、ロナウドとパスを繋いでくるレアルに対し、東京VのDF陣はプレッシャーをかけ続け、チャンスを与えなかった。そして生まれた追加点は26分。MF山田からボールを受けたFWワシントンが冷静にGKを交わしゴール、レアルを突き放した。

　時間の経過と共に、レアルの運動量は明らかに減少していた。連戦、移動の疲れに加えて湿度80％という気候は選手達の体力を奪っていく。そしてこの展開。中盤での寄せも甘くなり東京Vの選手達がボールを保持する時間が増える一方、相手DFのファウルにベッカムが声を荒げるシーンがあるなどいくつかピッチ内で小競り合いもあり、レアル選手のイライラはスタンドまで伝わってくるほど。更にジダンが怪我でベンチに下がってからは、レアルらしい攻撃はほとんど影を潜めたまま前半は終了した。

　0-2というスコアに、レアルが後半どれだけ「本気度」を出してくれるのか期待した。しかし後半に入っても、何かが大きく変わることはなかった。積極的に点を取りに来るかと思われたのの、いや、その気持ちはあったのかもしれないがうまく歯車が噛み合わない印象。パスが繋がりはしてもサイドバックが上がってくることも少なく「最後は真ん中にくるから守りやすかった」とDF上村。逆に東京V・相馬が左サイドから何度も突破を図り、スタンドの歓声を受ける。追加点も、この相馬がもらったCKから。53分、キッカー小林大悟が入れた低いクロスに山田が頭で反応して試合を決定付ける3点目を決めた。

　Ｊリーグチームを相手に屈辱的な3失点。57分にラウルに変わってフィーゴが投入されてからは、レアルは攻撃に落ち着きを取り戻し、東京Vゴールを脅かす場面が増えはした。しかし、結局90分間ピッチに立ち続けたロナウド、オーウェンからも得点が生まれることはないまま試合終了のホイッスル。降り出した大雨の中、早々とピッチを去るレアルの選手達と東京Vの選手達がユニフォーム交換をする姿も見ることはできなかった。

　「疲れ以外の敗因の要素はありません」と試合後のルシェンブルゴ監督。小林大悟選手も「去年の半分くらいの本気度だった」と、レアルが本調子でない中の勝利であることを認めている。しかし、「それでも3点取って失点ゼロは自信になる（小林大悟）」。DF戸川も「最近勝ちがなかったからね。素直に嬉しい」と笑顔。この日デビューを果たした新外国人MFジウもキレのあるドリブル、スピードを見せ、東京Vにとっては収穫ある試合となった。対するレアルマドリードは再び中1日で磐田と対戦（27日・味スタ）する。「次は気を引き締めて臨む」と話すルシェンブルゴ監督の言葉に期待したい。

以上

2005.07.26 Reported by 高木聖佳